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趣味の漢詩と日本文学

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April 23, 2006
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カテゴリ:漢詩・漢文
送邵州判官往南(一作皇甫冉詩) 劉長卿
看君發原隰、駟牡志(一作去)皇皇。
始罷滄江令、還隨粉署郎。
海沂軍未息、河■(「六」のしたに「兄」。エン)歳仍荒。
征税人全少、榛蕪虜近亡。
新知行宋遠、相望隔淮長。
早晩裁書寄、銀鉤佇八行。
【韻字】皇・郎・荒・亡・長・行(平声、陽韻)。
【訓読文】
邵州判官の南のかたへ往くを送る。
君を看れば原隰を発し、駟牡志(一に「去」に作る)皇皇たり。
始めて罷む滄江の令、還つて随ふ粉署の郎。
海沂軍未だ息まず、河■(エン)歳仍ほ荒れたり。
征税人全く少に、榛蕪虜近く亡(に)げん。
新たに知りぬ宋に行くことの遠く、相望めども淮を隔つること長きを。
早晩書を裁ちて寄せよ、銀鉤八行を佇(ま)たん。
【注】
○邵州判官 未詳。邵州(治所は邵陽県、すなわち今の湖南省邵陽市に在り)の刺史で、かつて判官を務めた者。
○原隰 高原と低湿地。
○駟牡 四頭だての馬車をひく雄馬。
○皇皇 大きなようす。
○粉署 尚書省。漢代に胡粉を壁に塗ったのでいう。
○海沂 黄海と沂水のほとり。山東省と江蘇省の一部。
○河■(エン) 黄河と■(エン)水のほとり。山東省西北部。
○歳仍荒 その年、農作物がよく育たぬこと。凶作の年。
○征税 租税をとりたてる。
○榛蕪 草木茂り荒れ果てる。
○虜 捕虜。
○宋 河南省商邱県あたり。
○裁 みごとな詩文を錦繍にたとえるので、詩文を仕上げるのを「裁」といったものか。
○銀鉤 草書の筆勢がみごとなこと。
○八行 律詩。
【訳】
邵州の刺史で、かつて判官をつとめていた友人が南方へ出掛けるのを見送った詩。
きょう君馬車に駒つなぎ、高原湿地あとにする。
滄江の令やめたのち、尚書の郎となられよう。
黄海あたりまだいくさ、山東あたり飢饉とか。
税をとるにも民離散、捕虜も林へにげかくる。
いまさらながら宋遠し、淮水なかを隔ており。
いずれ律詩を詠み贈れ、達筆の詩を待ち望む。


【参考】
 送鄒判官赴河南(一作劉長卿詩) 皇甫冉
看君發原隰、四牡去皇皇。
始罷滄江吏、還隨粉署郎。
海沂軍未息、河畔歳仍荒。
征税人全少、榛蕪虜近亡。
所行知宋遠、相隔歎淮長。
早晩裁書寄、銀鉤佇八行。





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Last updated  April 23, 2006 05:46:16 PM
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