川村記念美術館
先月になりますが、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館に行ってきました。ここに来るのはまだ2度目なのですが、3月末で閉館するそうなのでお別れ訪問に。広大な敷地に緑と池、白鳥も泳いでて、素敵なところなのに残念です・・京成佐倉駅からシャトルバスに揺られること約30分。たくさんの方がお別れ訪問に来ててバスも補助席まで満席でした。平日でこれだから週末はもっと大変なことになるんだろうな・・かわいい屋根のエントランス。日差しにきらきら輝く池をぼーっと眺めました。レンブラントやシャガール、ルノワール、ピカソ、ポロックなど素晴らしい作品を堪能できましたが、今回の一番の目的はこのロケーションと、世界に4か所しかないロスコルームを改めてじっくり味わうことでした。ロスコルーム、よかったなあ・・ロスコの「シーグラム壁画」と呼ばれる大型の抽象絵画7枚が一室をぐるっと囲むように展示されています。ほとんど赤と赤褐色のみの、面と太い線で構成された作品群・・部屋も暗めだし最初は色も見分けにくいけれど、じーっと見ていると色が浮き上がってきたり、色が燃え上がったり感じられます。真ん中のソファに座って思い切り色に包まれました。また、瞑想的な薄暗いロスコルームと180度変わってその上の階には光あふれる白い展示室がありました。両脇にRを描くガラス窓、外の木々の緑と日差しに挟まれた空間。普段は正面の壁に作品が展示されてるそうですが、今回はあえてからっぽになってました。この光の空間自体を味わうコンセプトのようです。窓一杯の緑が何より美しく、その緑そのものが窓枠という額縁に区切られた最高のアート作品のようだなあと思い至った瞬間、風が吹いたのか一斉に緑が揺れさんざめき、その思いに応えてくれたかのようでした。緑の息吹の新鮮な気が体内に流れ込んでき、至福の思いでした。と、同時にこのロケーションはもう失われるのだ、という哀惜の念も。諸行無常。お別れ訪問できてそれらの思いを感じ取れてよかった。素晴らしい作品群とロケーションをありがとうございました。