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テーマ:ショートショート。(573)
カテゴリ:短いお話
誰にでも秘密はある。 出来れば隠しておきたいと思う。だがその反面、そんな気持ちを誰かに聞いてもらいたかったりもする。 頑なに隠していた秘密を人に話したとき、思う事は主に二つある。「すっきりした」気持ちと「言わなければ良かった」気持ち。 この二つはだいたいの人は経験したことがあるのではないだろうか? かく言う俺もその一人だ。 秘密を話した直後は「すっきりした」気持ちでいっぱいだったのだが、その後時間がたつにつれて、やめておけば良かった、まさに「言わなければ良かった」気持ちが押し寄せてくる。 車の中や夜中の電話などはそんな機会にうってつけではないだろうか?密室の車中、そして静まり返った夜中の電話。この二つの独特な雰囲気は、人間の心を解放するのには絶大な力を発揮する。 ちなみに俺は後者の方だ。 あの日俺は古い友人に電話をして「自分の生い立ち、失恋話、心の葛藤」などを話しまくった。そしてそんな俺の話を友人は黙って聞いてくれた。 だがあの日以来、俺は恥ずかしいやら、なにやら複雑な気持ちも混ざって、その友人に連絡をすることが出来なかった。
そして今日、その友人から届いたメールがこれだった。
「成仏してくれ」
だから今俺は後悔をしているんだ。
「言わなきゃ良かったと…」
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