とんぼ玉工房「MASUMI」ますみのとんぼ玉日記

2005/11/25(金)00:41

貧乏神と福の神(後編)  「まんが日本昔ばなし・3」

本・映画・ドラマ・ゲームなど(41)

けれども、どちらにしても、この家には、あと少しで福の神がやってくるのです。それは変わりません。 男と嫁御と貧乏神の三人は、どうしたら、福の神に帰ってもらえるかと、あれこれと相談しました。 その時、思いついたように、突然貧乏神が嫁御に言いました。 「そうじゃ、頼む。わしに餅を食わせてくれ。そうすりゃあ、福の神なんぞやっつけてやる!」 早速、貧乏神は、餅だけでなくお酒までご馳走になり、さっきまでの弱々しさは何処へやら、元気いっぱい、上機嫌になりました。 「わっはっは! いつでも来い! 受けて立つぞ、福の神!」 やがて、夜も更けてきました。 ゴオーン……ゴオーン…… 除夜の鐘が鳴り始めました。 と、その時です。 トントン、トントン 誰かが戸を叩いています。 三人は、はっとしました。 「福の神め、とうとう来おったか!」 貧乏神は、キッと、音のする戸をにらみました。 がらりと戸を開けて、にこにこ顔で入ってきたのは、やっぱり福の神でした。 「わっはっは……。やあ~、お待たせ、お待たせ。わしじゃよ、福の神じゃよ!」 その大きな体格、恰幅のいい身体は、まさに幸せを呼ぶ福の神。大きな袋を担いでいます。 貧乏神とは正反対の外見でした。 にこにこ顔で夫婦を見た福の神は、その横に貧乏神がいたのに気がつきました。 「お前は貧乏神だな! まだこの家にいるのか。さっさと出て行け!!」 さっきのにこにこ顔とは一変し、福の神は怖い顔で貧乏神に怒鳴りました。 ところが、貧乏神も負けてはいません。 負けじと怖い顔で、福の神をにらみました。 「なんだと~!? お前こそ出て行け!! ここはわしの家じゃ!!」 「ふん、出て行かぬなら、力づくでつまみだしてやるわ!!」 「このっ!! 放せっ!!」 「お前なんぞ、貧乏しかもたらさぬくせに、大きな顔をするでない!!」 さあ、大変です。二人の神様の取っ組み合いが始まってしまいました。 何とか穏便にと思っていたのに、そうはいかなかったようです。 慌てた夫婦は、何とか二人の神様の戦いを止めに入りました。 「お、落ち着きなされ!」 しかし、こうなっては、二人の神様は、もう後には引けません。 しかし、やはり体格が違いすぎました。 大きな身体の福の神は、ひょろひょろで小さい貧乏神をひょいとつかみ上げて、外に放り出そうとしました。 さすがは福の神。圧倒的な強さです。 貧乏神が危ない! 慌てて止めていた夫婦は、貧乏神に加勢し出したのです。 「やめろ!! 貧乏神を放せ!!」 「!?」 「貧乏神!! 負けるな!! わしらがついてるでな!!」 夫婦まで一緒になって、貧乏神を応援しました。 三人にかかられては、いくら強い福の神とはいえ、かないませんでした。 とうとう、逆に、福の神が追い出されてしまいました。 福の神は、驚いたのなんのってありません。 今まで、貧乏神ではなく、福の神を追い出す家なんて、遭遇したことがなかったのです。 「はぁ……!? わし……わしが福の神だったよな? わしが福の神なのは間違いないが……なんで中にいるのが貧乏神? だったらどうして? いったいこの家は何なのだ?」 福の神は、わけがわからず納得できない様子で、首をかしげなから、とぼとぼ帰っていきました。 「うわ~い!! ばんざーい!! 福の神を追い払ったぞ!!」 これで、この家にずっと居られるのですから、貧乏神は、飛び上がって喜びました。 「良かっただなあ、貧乏神!」 夫婦もまた、手を叩いて、喜びました。 さて、一夜明けて、めでたいお正月。 ほんの少しではありますが、餅も魚も、お酒もあります。 決して豪華ではありませんが、三人は、仲良くお正月を祝いました。 あんなに泣いていた貧乏神も、今はにこにこです。 それからは、この夫婦の家は、それほどお金持ちにはなりませんでしたが、仲良く幸せに暮らしたそうです。 さて、あの痩せっぽちの貧乏神はどうしたかというと、今でも、この家の天井裏に住んでいるそうです。 もちろん、夫婦を見守りながら……。                〈終わり〉 いかがでしょうか? いいお話でしょう?(⌒-⌒) はじめは、「普通、福の神を追い出すか?」と思ったのですが……。 このお話の男のように、働いても働いても、貧乏から抜け出せなかった昔の人は、「いっそ、貧乏神と手を組んでしまおう」と、そういう内容の昔話をたくさん語ってきたらしいのです。\(◎o◎)/! 大抵、大晦日の晩に、福の神がやってきて貧乏神が、出て行くというしきたり?のようなことがあり、その福の神を追い出すのですから、すごいことですよね。(これも、わたしならやりませんね。(^_^;)) このお話は、最後、貧乏神と夫婦が、幸せそうに笑っています。ここからあの格言「笑う角には福来たる」「笑って損した者はなし」が出てきて、「笑い」を大切にしたのです。 また、「本当の幸せとは何なのか?」ということを、考えされられるのですね。 おもしろいことに、このお話の別名は「福の神になった貧乏神」なのです。 案外、この別名からも、このお話の意味が分かる気がしますね。 Yahooでも、やはりたくさん出てきた「貧乏神と福の神」ですが、びっくりしたのが、なんと、同じタイトルでも、「貧乏神と福の神」は、話の内容がたくさんあるということです。まあ、昔話はそんなところが多いらしいですが……。(^_^;) 「まんが日本昔ばなし」の「貧乏神と福の神」と同じ話の筋の内容を紹介しているサイトは、こちらです。↓ 貧乏神と福の神 http://members.aol.com/michinos/essayNo4.html また、一度目の、「大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~」についても、今回、Yahooからの検索結果のサイトが出ました。こちらも、わたしが過去blogにした話の内容は、ハッピーエンドでしたが、実は黒姫が龍にされてしまう悲惨なアンハッピーエンドがあるようです。\(◎o◎)/!(@_@;) こちらも、他にもたくさんあります。↓ 黒姫伝説 http://www2.plala.or.jp/kurohime/densetsu.htm 黒姫伝説 http://www.janis.or.jp/users/kouriki/kurohimedensetu.htm また、黒姫伝説のblogは11月でもけっこう前なので、過去blogも上げておきますね~。ご確認ください。(≧▽≦) 過去blog 大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~(前編)  「まんが日本昔ばなし・1」 http://plaza.rakuten.co.jp/masumitonbodiary/diary/200511030000/ 大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~(後編)  「まんが日本昔ばなし・1」 http://plaza.rakuten.co.jp/masumitonbodiary/diary/200511030001/

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