横峯式幼児教育論
スーパーキッズ育成者横峯吉文さん〈ゴルファー横峰さくらの叔父さん〉が書いた本、たまたま読んでみました。横峰保育園については前にも書きましたが、今回はその3です。「天才は10歳までにつくられる」 by横峰吉文子どもをやる気にさせるスイッチを押すためのポイントは四つ 1 子供は競争したがる 2 子供は真似したがる 3 子供はちょっとだけ難しいことをやりたがる 4 子供は認められたがるまあ、それはそうかもしれませんが、そういう子どもの特性を逆手にとった、スーパーキッズ養成法がいかにトンデモなことか、と確信。〈幼児期からロボット育成された上海雑伎団のごとし〉Q&Aのところでの、あるお父さんのクエスチョン。 「勤め先が夜遅くまでの残業が多く、子どもとかかわる時間が少ない。 育児参加があまりできていないが、子どもの成育に悪影響はないか?」という趣旨の質問設定に、横峰さんは次のように答えていました。 家計を支える父親は子育てに参加をしなくてもいいです。 そんな時間があれば、もっと稼げ!といいたい(笑)。 必要以上に父親が子育てに参加するのは、子供にとってはマイナスな ことも多いのです。 子供への影響力も、一緒にいる時間の多い母親ほどではありません。 父親は外で自分たちの家族のために一生懸命働いている、と子供たち が思うほうが、中途半端に父親が口出しするよりも、ずっといい影響 があります。その父親を母親も尊敬しているという形が理想的。 ですから、お母さんはお父さんを子供の前でバカにしないでください。 子育ては母親に任せて、父親は仕事を。そして母親が子育てに迷い、 冷静さを欠いたときにアドバイスをしてあげてください。」全体に〈やっばりな〉という観念がこの人を支配しているのですがそこのところの段で確実に致命傷かと思われます。母親のスキンシップも、もちろん大切ですが、なによりも父親の子育て参画がいかに大切かは、子どもの育成にとって最重要課題であるのにまるで前時代的、戦前戦中観念から発している誤った妄想でしょう。朝鮮半島伝来、日本伝統の「家父長制」でさえ、父親たる家父長の威厳で成り立っていたことを思えば、いかに父親の存在、子孫育成に大切かは自明のことなのですが、まず言えるのは、その家父長制を誤解して父親は外で懸命に働けばよし、いつも一緒に居る母親にまかせろ足りないところはおらが保育所がやる。スーパーキッズはおらが育てる。とまぁ、そういう主張らしいんですね、どう読んでも。では、そういうスーパーキッズが小学校に進んでどうなるか。そのあとの中学高校大学社会人でどのように活躍しているのか。横峯さんはその重要なところを明らかにしてませんが、容易に想像がつきます。自分から発動した確固たる動機に基づかず、競争したがる、真似したがる、ちょっとだけ難しいことをやりたがる、認められたがる、の子ども特性をくすぐられ、泣こうが喚こうが「大人の期待」に応える自分の姿だけに追いやられた子は、たとえその時期、スーパーキッズであろうとも大抵は挫折するだろう。〈軍隊式キンタロー飴教育は、けっしてやってはいけないこと〉そのように確信〈予測含む〉させられた本でした。