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ノベルの森
「多次元文章世界」 エッセイ、SF、たまにノンフィクションも混ぜた内容となります。 ※このサイトの小説、その他すべての文章はマトリックスA(沢田 佳)のオリジナルです、無断での転載、転用お断り致します。
カテゴリ:ライトノベル
「あの梅の木は」 第9話 「俺が本気だとか言うけど、お前は、香織はどうなんだ、さっき 滝沢精肉店の反応を自分で確かめたんだろ、どう思った?」
「・・・正直に言うとね・・・認めたくないんだよね」 「認めたくない?」 「うん、だって・・・本当に裕也が次元の隙間に落ちて 裕也とは別人ってことにならない?『アナタ』は・・・」
香織が口にした『アナタ』は裕也にとんでもない衝撃を与えた。 その衝撃は、裕也の中に後悔の念を呼び起こした。
(あの梅の木に違和感を感じることさえ無かったら・・・ 例え違和感を持ったとしても、こんなこと、誰かに相談した ところで解決できるとは思えない。そんな難問を打ち明けられた 香織をどれだけ悩ませたんだ! 俺は香織との間に大きな溝を作ってしまったのか?)
香織は香織で、裕也の表情の変化から彼が今、大きな衝撃を 受けていることを感じ取っていた。
(『アナタ』の一言、それは口にすべきでは無かった!一番 辛いのは異次元に跳ばされてしまった裕也本人なのに!)
「裕也!ごめんなさい!さっきは『 別人だ』なんて言って、 おまけに『アナタは』って、冷たい言い方をしてしまって・・ 傷付いたよね、本当にごめん!」 「いや、香織は全然悪くない、悪いのは、今日香織に確認して もらってこの不安を共有してもらおうとした俺の方なんだ」
「・・・・・・・・」 「男のくせに情けない奴だ俺は!」
香織が首を振って裕也の言葉を否定する。
「そんなことない!こんなこと経験したひとなんて誰一人いない んじゃない!?、それこそ『事実は小説より奇なり』っていう 類のことでしょう?男も女もないわよ、自分のこと責めることない!」
危なかった、裕也はよそを向いて瞼を指でぬぐった。
「ああ、もう今日はこれまにでしとこう!言い出しっぺが言うのもなんだけど」
「そうね・・・今夜はもう飲んじゃうお酒!」 「え、それって俺も・・・」 「しょうがない、お酒の力でも借りなきゃ眠れないでしょ今夜は!」
とは言え、そうそう朝帰りを続ける訳にもいかず、今日は香織の家で 夕食に続いて飲み始めた。そしてまた例の人が墓穴を掘ることに。
「裕也君はそのソファで寝ていいから」 と裕也と香織が座るソファを指さした。
例によって香織ママが助け船を出す。
「そんな可哀そうなこと言わないの、裕也君は香織の部屋で寝るでしょ 婚約してるんだから」 「またそんなこと言って、お母さんは少し軽すぎないか?」 「あら、夜中にソファを抜け出して私の部屋に忍び込んで来てた のはどなたでしたっけ?」 「おい、かあさん、娘の前でそんなこと言うなよー」
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