2008/07/16(水)15:25
もういちど名前を呼んで 2度目のファーストキス つづき
真紀子が振り返ったとき、柚子は顔をくしゃくしゃにして泣いていた。口はへの字にゆがみ、
大きな目からは玉のような涙が零れ落ち、への字にゆがんだ口の端を通って顎まで濡らして・・・
どんなに綺麗な顔でも、こうなると浩二以外の人には見せられない。
真紀子はとっさに己の思いが誤まりであったことを悟った。そして猛反省した。
「ごめん!柚子!つい、ついよ!ほんとについ、なのよだから許して!
泣かないで、ごめん、私ったら最低よね、ごめん!悪かったわ何でもするから、許して!」
それでも気が済まない真紀子は柚子の肩を抱きしめた。
「ねえ、柚子!お願いだから許して!」
今度は真紀子の方が泣きだした。それを確かめたかのように柚子は顔を上げ、ピタリ、と泣きやんだ。
「はい、もうそれくらいにして、顔を上げて」
え!
真紀子は顔を上げてみて、なんだかきつねに化かされたような気分になった。
それほど柚子は、いつもの顔に戻っていた。
「柚子、あなたさっきのまさか・・・お芝居?」
「まさか、・・・いいから早く浩二と私の謎を解いてみせて」
真紀子はまだ、納得出来てない頭をほっといて
「あ、うん、・・・わかった」
と言った。首を傾げながら。