ノベルの森

2008/11/29(土)15:08

映画のようなラブ・ストーリー < 子犬に名前を >

思い出を小説に(18)

  「わたしがこの犬に名前を・・・」きくさんは、マツさんを振り返って聞いた。「さっき、この子犬が私と作ちゃんの役に立ってくれるって言ってたけれど、どんな役目?まだ小さいのに」「良く聞いて下さいました」と言いたげな表情を見せて、マツさんのやや得意気な説明がはじまった。「この子の母親は私の実家で、6年前から飼っているんですが、たいそう賢い犬でして。一度教えたことは決して忘れません。 名前は白といいますが、その白が3月前に3匹の子犬を産んだと聞いていましたので、1匹もらって教えてみようかと思いつきまして・・・」「何を・・・教えるの?」マツさんは、 お嬢様がきっと喜んでくださると思って と前置きをしてから、とっておきの秘策を明らかにした。「伝書鳩のように手紙を運ぶ、・・・伝書犬 です!」きくさんは、両手で口を覆った。目は大きく見開かれて・・・両手の内側に隠れて口も大きく開かれている!『あ!』という形で・・・「じゃあ、マツさんは その為に実家へ帰っていたの?」黙って頷く マツさん・・・「マツさん・・ありがとう・・・ありがとう・・・」きくさんはマツさんの手を取って何度も、そう言った。涙を拭おうともせずに・・・

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