ノベルの森

2018/04/03(火)21:21

奇跡の4B  奇しき出会い

SF小説(245)

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​奇跡の4B  奇しき出会い​ (さてと・・・) モーツァルト侍従長が心の中でそう呟いた時、ドアをノックする音が、分厚いドアを存分に振動させてモーツァルト侍従長の部屋のみならず、廊下にも響き渡った。 「困ります!バッハさん、そんなに強くノックされては!この階 の全員が目を覚ましてしまいますから」 「あ、これは申し訳ない!気を付けましょう!」 「ですから、もっと小さな・・・」 (ホフマン君、君の声も大きすぎるのだが・・・これは、早く中 に入ってもらった方がいいようだ・・・) モーツァルト侍従長自らドアの把手に手をかけて引いた。 ホフマンは、声を掛ける前に開いたドアの前に、モーツァルト侍 従長が立っている姿を見つけると、思わず気を付けをした。 ホフマンは、彼自身の目が恐らく大きく見開かれているであろう ことを、瞬時にさとりながらも言うべきことを口にした。 「侍従長、申し訳ありません!つい大きな音を・・・」 ​ん!いつものように、モーツァルト侍従長の『その先は分かってるよ』という合図の、例のあの手が上がらない!​ 「大きな音を立ててしまいまして、お許しください。バッハ氏を お連れ致しました!・・・」 ​(最後まで言えた!侍従長に、ご報告を最後まで言うことが出来た!)​ 些細な事でと、笑わないでやって欲しい。ホフマンが警備主官に 任命されてから、最後まで報告できたのは恐らく初めての事なの だから。思い切って言ってみれば、モーツァルト侍従長は、自身 の頭の回転の速さが尋常ではない事をちゃんと認識すべきなので ある。 モーツァルト侍従長、さすがにわかっていたのである。部下に仕事を気持ち良く完遂させてやることも必要なこと。上に立つ者としてそれを忘れないように努めるべきだと・・・ ただ、多忙のあまり日頃忘れがちな自分を知っていた。それが故に、この時は目にも優しさを浮かべることを忘れずに言った。 「うむ、ご苦労だった。ホフマン警備主官、後は交替で休んでいてくれ給え」 「はい!それではこれで失礼いたします」 ホフマンは達成感に満ちた顔でそう言うと踵を合わせ上半身を少 しだけ前に倒して戻し、回れ右をして警備詰所へ戻った。 部屋に招き入れられたバッハは、緊張の面持ちを崩せず夜分に尋 ねた非礼に対してお詫びの言葉を述べた。 モーツァルト侍従長は、確かに遅い訪問ですな、と言った後で バッハの顔を注視しつつ驚くべきことを口にした。 「偉大なるバッハ、貴方は私にお詫びをしてくださいましたが、 私は貴方にお礼を申し上げます。実は、下界で少年時代の私に作 曲を教えてくださったのは、貴方の一番年若いご子息、ヨハン・ クリスティアン・バッハ先生でした」 ​※【これはフィクションではなく、偉大なるバッハの末子、ヨハン・クリスティアン・バッハはロンドン時代に少年モーツァルトと出会い、作曲を教えているのです】​ バッハは、ただ首を傾げるしかなかった。モーツァルトはバッハ が亡くなった6年後に生まれたのだから、バッハは自分の子供と モーツァルトがバッハの亡き後に出会っていたなどとは、知る由 も無かったのである。 ​※一般的に良く知られているバッハと言えば、ヨハン・セバスティアン・バッハのことだが、モーツァルトが手紙などで単にバッハと記した場合は、ヨハン・クリスティアン・バッハのことを指す。​ 今日の好きな曲は、John Denver-Rocky Mountain High(From"Around The World Live"DVD)です。 Thank you Eagle Rock for up this song. ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ いつも応援ポチをありがとうございます。 今日もよろしくお願いします。(^^♪ ​​

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