|
カテゴリ:SF小説
奇跡の4B 橋の名前 決められた日の当日 決められた時間、午前6時。 決められた集合の地。それは・・・すでに名前が 変わっている! そう言えば・・・ バッハは思い出した。 ウェ―ルズ国王と打ち合わせの時。 「陛下、あの『森へ行きましょう橋』のことですが」 「うむ、あの橋がどうかしたのかな?」 「はい、あの橋のたもとに立つとき私はいつも思うのですが あの橋を渡り、今、第2の人生をやり直している人たちは、それぞれの世界でどうしている?・・・元気でいるのだろうか・・・そんな事を考えてしまうのです」 「ふむ・・・確かに、それは私も同じだ」 「え!陛下も同じでございましたか」 国王はバッハの言葉に頷いて・・・。 「そうすると、何かもっと相応しい名前が・・・」 そして国王は肘掛けに右手を置くと指先でコツコツと肘掛けを軽く叩く。それは深く思いを巡らす時の国王の癖なのである。 こんな時、モーツァルト侍従長は、口をつぐみ、深慮する国王の邪魔にならないように身じろぎもせず、ただ訪れる時を待つ。 バッハも、モーツァルトに倣い沈黙を守っている。 やがて、肘掛けを叩く音が止まった。 国王が顔を上げた。その両眼は澄み切っていて、無尽蔵と言われる英知の中から、宝物を見つけたかのように、その喜びは顔中に広がっていく。 モーツァルト侍従長とバッハは、国王の口からどんな名前が出てくるのか、期待の余り身を固くして見守っている。 そして国王のの口が開いた。 「『面影橋』・・・かつて訪れたことのある古の江戸という都市に『神田川』という名の川が流れていた。その川に架かるあまたの橋の中に、今もなお心に残るあの風情、その名前・・・どうかねバッハどの、『面影橋』(江戸の頃は『俤の橋』と呼ばれていたという)という名は?面影というのは、心に残る人の顔や姿ということなのだが。あの名を借り受けるとしたいが・・・』」 「国王陛下、それは、とても素晴らしい名前かと存じます」 隣で聞いていたモーツァルト侍従長も 「私もバッハさんの言われたことに強く同意致します」 国王は大きく、嬉しそうに頷いた。 「よし、これで決まった!これからはあの橋を『面影橋』と 呼ぶことにする」 目前に、領土の橋の改名を宣言する国王の晴れやかな姿を見た。 二人は、深く頭を垂れた。 今日の好きな曲は、 The Stranger / ビリー・ジョエル です。 たまに聴きたくなる曲です♪ Upして頂いたMrMoonligtt さま、いつも有難うございます。 いつも応援ポチをありがとうございます。 今日もどうぞよろしくお願い致します♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[SF小説] カテゴリの最新記事
|