2009/01/08(木)11:59
『テロリストのパラソル』 藤原伊織 感想
東野氏がオススメしてたんだよぅ。どうせ私はミーハーさ。
手に取って眺めてたらそういえば夫もオススメしていたんだっけ。でもそっちは華麗にスルー
1995年9月発行、2007年再版。
第41回江戸川乱歩賞、第114回直木三十五賞受賞作。
アル中バーテンダー島村は、過去を隠し20年以上もひっそりと暮らしてきた。
新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。
ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れ、
知らぬ間に事件に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た事実とは……。
めっさハードボイッてました( ̄ー ̄)!!
氏の作品は初挑戦で、後でハードボイルドなジャンルをお書きだと知りましたので、基本ミステリ大好きっ子の私はきっとハードボイルドと書かれていたら手にとっていなかったのかもしんない。
ヤク ザが出てくるとハードボイルド。アルコールが絡んでくるとハードボイルド...という風に私のイメージが定着しつつあります。
それでも現実にはアル中・ヤ クザに対する印象というものは良くないわけですけども、小説という架空の世界でだけは、どうもイイ人が勢ぞろいしている気がします
その方が面白いのは分かりきっちゃーいるけども。
まず文章がとても美しかったわざとらしい情景の描写なんてなく、自然にメインになるところに溶け込んでいるかのようでした。
「十月のその土曜日、長く続いた雨があがった」
一見普通の一文にしか思えないのに、パラソルというタイトルを無駄にさせないイメージがここで始まりました。ハードボイルドに似合ってないのがよかったのかねぇ。
ストーリーはテロの犯人にされている男が自分の過去と真相に向かっていくもの。
ウン十年前の学生運動の話が盛り込まれています。どうもこの手は苦手です
全く今のご時世の若者たちにリンクさせることが出来ませんから、他作品でも高校生の熱い思いについていけなくって肩透かしだったことがあります。
もちろん授業で習ったことではありますから知ってはいますが、当時のクラスメイトも「ナニコレ?どういうこと?」状態でしたね
当時を知る人にはメインキャストに当たる男女3人の気持ちを理解できてさくさく読めたんじゃないかと思います。
犯人の動機に(嫉妬)という言葉を垣間見ましたが、そこんとこはよく出来ているなと...巻き込まれた人にはたまったもんじゃないけども。
どんでん返しが面白いらしいですが、犯人と対峙するあのシーンにドキドキすることが出来ませんでした。〔そろそろくるな...〕とは軽く期待はしていたんですが、いつの間にか登場しててちょっと拍子抜け。
学生運動が絡んでたっていうのがちょっと私には合わないとこだったのかも~。
1960年代の若者達の気持ちを理解し、ハードボイルド小説として理解した上で読むとまた違った面白さがあったんだろうなと思うと、個人的に残念でした。
ってか、私の趣味が偏りすぎ