「ピンクの豹」
TV映画「ピンクの豹」ブレイク・エドワーズ監督63年米。7月28日放映。粗筋はgooより。ドーラ姫(クラウディア・カルディナーレ)は形見の“ピンク・パンサー"という銘の貴宝を肌にヨーロッパへ亡命した。その頃、ヨーロッパ各都市は宝石泥棒“まぼろし"の横行にほとほと手を焼いていた。一方パリのジャック警部(ピーター・セラーズ)は、この事件解決のカギは“まぼろし"の手先と思われる女の逮捕にあるとにらんでいたが、彼の妻シモーヌ(キャプシーヌ)も同意見だった。アルプスのスキーの殿堂コルティーナ・ダンペッツォの恒例の競技大会の選手の中にチャールズ卿(デイヴィッド・ニーヴン)の顔があった。ジャック警部夫妻がロッジにやって来たが、夫人は夫の留守を見計って隣合わせのチャールズ卿の部屋に入り、愛のシーンを展開させた。スキー場で知り合ったドーラ姫とチャールズ卿達が食事をしているとき、卿の従弟ジョージ(ロバート・ワグナー)が思いがけず現れ、ドーラ姫を横取りされた。プレイボーイの卿は姫をなんとか取り戻そうとヤッ気になった。一方、姫の持つ高価な石のこと、卿のおつきのアルトフが卿の雇人と同一人だということを聞いたジャック警部は卿を逮捕したが、証拠がなく夫人までが卿を弁護し、結局失敗に終わった。ドーラの別荘のパーティーの日、卿は金庫破りを実行に移した。が、存在を気にはしていたジョージが反対側から秘密作戦に参加していた。張り込みの警部はナンなくこれを捕らえた。裁判の日、警部は自分の女房とドーラが仕組んだ芝居にひっかかり、彼が真犯人にされた。彼のポケットから宝石が転がり落ちたのだ。ところが警部、留置所の中で市民たちがおくる“まぼろし"への讚辞に気を良くし、自分の吹く大ボラに得意気である。出所した方の2人はシモーヌ夫人とドーラともども南アフリカへロマンス旅行へ。卿曰く「心配するな。向こうへ着いてコトの次第はイタリア警察に報告するから」「ティファニーで朝食を」のマーティン・ジュロー製作、「酒とバラの日々」のブレイク・エドワーズが演出、彼と共に「ペティコート作戦」を書いたモーリス・リッチリンが共同でオリジナルシナリオを執筆したピンク・コメディ。撮影はフィリップ・ラスロップ、音楽は「ティファニー…」でアカデミー賞を獲ったヘンリー・マンシーニ、「大脱走」のフェルナンド・カルレが美術を、イブ・サン・ローランが衣裳をそれぞれ担当した。出演者は「山猫」のクラウディア・カルディナーレ、「北京の55日」のデイヴィッド・ニーヴン、「アラスカ魂(1960)」のキャプシーヌ、「喰いついたら放すな」のピーター・セラーズ、「史上最大の作戦」のロバート・ワグナー、TVのフラン・ジェフリーズ、「九月になれば」のブレンダ・デ・バンジーなど。ピンク・パンサー・シリーズはたいてい見ているはずなのだが、どうやらこの記念すべき第一作だけは見ていなかったようだ。ここでの主演は、あくまでデビッド・ニーブンのファントム。クルーゾーは単なる脇役でしかない。作を重ねるごとに狂気の度を増していくドレフュス警視も、同じく作を重ねるごとに存在が現実離れしていくケイトーも出てこない。とはいえ、クルーゾーのドタバタはすでに全開で、ほとんど「ひとりドリフターズ」の様相を呈す。クルーゾーが暴威を振るっていながらも、ヘンリー・マンシーニの優雅な音楽とクラウディア・カルディナーレの華麗な容姿も相俟って、作品全体にそこはかとなく上品さが感じられるのは、やはりブレイク・エドワーズ。