島田裕巳「なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか」
本書によると、わが国の神社数ベスト10はダントツの八幡を筆頭に次の通り。1.八幡 2.伊勢 3.天神 4.稲荷 5.熊野6.諏訪 7.祇園 8.白山 9.日吉 10.山神これらに出雲、春日、住吉を加えて順に解説していくのだが、タイトルにある「なぜ八幡神社がいちばん多いのか」についてはほとんど言及されていないので、実のところよくわからない。八幡が半島由来の神であり、宇佐から石清水に勧請されて全国に広まったことはわかったが。わが国の神社は、大別すると記紀由来(伊勢、出雲)、渡来系(八幡、稲荷)、人を祀った神(天神)ではあるが、関東の鹿島、香取から藤原氏が勧請して栄えた春日は出自が不明であり、浄土信仰に連なる熊野、修験道系の白山は仏教との繋がりが深く、海人族の安曇氏を起源とする宗像、住吉、厳島は海神である等、そう簡単にカテゴライズできるものでもない。また、八幡は応神天皇と習合して渡来色が失われ、天神は道真と雷神が習合した産物である。その外にも習合は枚挙に暇が無く、カテゴライズの妨げとなっている。そもそも、仏教伝来、本地垂迹による神仏習合、明治期の廃仏毀釈と、これまで根本原理が何度もひっくり返っているのだ。神社理解は一筋縄ではいかない。