喜国雅彦「月光の囁き 1~6」
下ネタ四コマ漫画で知られる喜国の、初のストーリー漫画。しかもシリアス。でも下ネタ満載。押見修造の「悪の華」のプロトタイプのような作品。喜国が青年誌でやったことを、押見が少年誌に置き換えたとも言える。都会でも田舎でもない地方都市が舞台になっていることでも共通する。この内容には、適度な土着性が必要なのだろう。喜国は台詞を方言にしているので、より土着性が強い。学園ラブコメとしてスタートしながら、どんどん変態度を増していく過程には瞠目させられたが、恐ろしく隠微でありながらも、ある意味純粋さを極めている拓也と紗月の関係が、二年後にはただのSMのパートナーとなって物語りが終わったことには失望した。映画化されているようで、綿矢りさは映画版に影響を受けたと語っているらしい。