東野圭吾「パラドックス13」
大枠の設定だけがSFで、ほぼロビンソン・クルーソー。実はそのSF設定に説得力がなく邪魔で、数多ある同ジャンルの他作品群の中で上位に食い込むことは出来ない。当然「蠅の王」に劣るし、「地球の放課後」に伍すことも無理。以下、ネタバレあり。36日後に再びP-13現象が出来することが知れて、彼らは勝手に、その瞬間に死んでいれば元に戻れると解釈していたが、それは逆で、その瞬間に生存していてこそ元に戻るのであって、死んでいれば最初のP-13現象のときと同じことになるのではないかと、ずっと思っていた。結局、そのとおりになった。そもそも、首相官邸の文書の最後に書かれていた、再度のP-13現象の件が英文であったがために、誠哉はそれを見落としていたわけだが、東大出のキャリア官僚である彼なら、当然そこまで読もうとしたはず。