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カテゴリ:活字
完結。
前巻の内容から予想できたとおり、ファーストではなくZを引き継いで敷衍したような形で終了した。 ジオン・ダイクンの提唱したニュータイプ思想に決着をつけたかったという、福井の想いも理解できるが、それよりも、田中芳樹のSF戦記ものあたりの態で宇宙世紀の正史を紡いで欲しかった。 そもそも、プロパーSFのジャンルでも残留思念ものは好きではない。 ファーストであからさまにニュータイプの交感を描いたシーンは、シャアを庇ってララァがアムロに討たれた瞬間、ララァの思念がアムロを襲ったこと、ア・バオア・クーから離脱するホワイトベースのクルーを、アムロがテレパシーで誘導したこと程度しかなかった。あとは戦場で極端に勘の鋭い者程度の扱いで、今思えば絶妙の寸止め具合であった。 ガンダムに対する思い入れの強さで、福井は適任ではあったのだろうが、その執着が強すぎる余り「逆襲のシャア」までのシリーズを踏襲することに引きずられて、自縄自縛に陥っていたような感もある。 地球連邦初代首相マーセナスの家系とラプラスの箱を秘匿するビスト家が、対立しながらも呉越同舟、一蓮托生の関係に陥る構図は、ザビ家対ダイクンの遺児のそれに比して、いかにも魅力に欠ける。 シャアに対するフロンタル、ランバ・ラルに対するジンネマン等、それぞれ対応すると思われるキャラクターを配するも、後者はことごとく前者の戯画のような様相を呈しており、縮小再生産の謗りは免れまい。 むしろガンダムに対してさほど執着のない作家が、自由に書いた方がよかったのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/06/28 04:45:50 PM
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