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2015/08/31(月)05:19

長谷川晶一「極貧球団」

活字(2154)

副題は「波瀾の福岡ライオンズ」。 先日読んだムック「俺たちの太平洋・クラウン」同様、太平洋とクラウンのライオンズ6年間を詳報。2冊セットで読むと、より楽しめる。 主力の東尾、土井、竹之内、大田にしても、若手の真弓、若菜、永射にしても、一様に、極貧球団での6年間は大変なことが多かったが、他球団の情報もない時代、球団とはあんなものだと思っていたし、楽しい日々だったと述懐しているのがおもしろい。ひとり、基だけは、終始手厳しいが。 それにしても、今さらながら本当に極貧だったのだと驚かされた。 遠征先ではホテルだけは確保するが、食事の用意はない。1日に5千円前後の“ミールマネー”と称する食事代が支給されるのみ。 島原へのキャンプへはバスがチャーターされるわけではなく、各自荷物を持って電車で移動。 二軍のグラウンドはない。福岡大や西南大等、地元大学のグラウンドを借りて練習する。 練習球にも不自由して、若手の真弓は、他球団から秘かに練習球を調達してくることを課せられていた。 年間12ヶ月のうち、拘束されない冬の2ヶ月については給料が支払われないので、各自アルバイトをしていた。竹之内は副業で焼鳥屋を経営。若菜は年賀状の仕分け。永射に至っては自衛隊に入隊していた。 等々、耳を疑うようなエピソードのオンパレード。これでは、プロの球団としての体をなしていないと言われても仕方ない。基が「ライオンズは西鉄でなくなったときに終わった。太平洋ハイエナズにすればよかった」と言うのもわかる。 それでも、旬を過ぎたとはいえ本物の大物大リーガーだった、ビュフォードやハワードが、当時のことを「楽しかった」と明言するのだから、つくづく不思議な6年間だった。

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