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カテゴリ:活字
結局、この人は推理作家ではないということ。
以下、ネタバレあり。 編集者と弁護士が復讐のために陥れようとする人物(木原坂雄大)が想定どおりの行動を取らないときは、弁護士がピストルで射殺する計画であったなどと、戦前のカストリ通俗小説もかくやの御都合主義。 すりかえ殺人にしても、入籠構造の作中作にしても、トリックとしては目新しいものではない。 そもそも、登場人物全員が狂気を孕んでいては、推理小説としては成立しない。しかも人物の背景が描き込まれていないので、各人の行動が突飛に感じられる。 作者はあとがきで「作品の中に全ての材料が書いてあるのである。伏線も全て回収している」と堂々と書いているが、回収できているとは思えない伏線がかなりある。 これでは、叙述トリック特有の、読後のカタルシスは得られない。 思わせぶりな献辞のイニシャルについては、木原坂雄大と吉本亜希子を指しているつもりなのだろうが、ともに作中作内の仮名で本名は明かされていないのだから、わかりようがない。アンフェア。 作者がなぜここまで自信満々なのか、さっぱりわからない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/06/06 02:39:22 PM
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