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カテゴリ:活字
マクシミリアンはダンテスに助力を請う。ダンテスにとってヴァランティーヌは、仇敵ヴィルフォールの娘であり、毒殺されようが知ったことではないのだが、マクシミリアンに彼女を助けることを約束し、ヴィルフォール家の隣家をブゾーニ司祭として買って、秘かにヴァランティーヌを見張ることにした。
ヴァランティーヌは、自分を毒殺しようとしているのが継母のヴィルフォール夫人であると知って衝撃を受けるが、ダンテスの言葉を信じて眠りにつく。しかし、ヴァランティーヌは帰らぬ人となった。 絶望して自殺しようとするマクシミリアン。必死に止めようとするダンテス。錯乱状態にあるマクシミリアンは、ヴァランティーヌを助ける約束を果たせなかったダンテスを罵る。ダンテスはマクシミリアンに対し、1ヵ月後に必ずマクシミリアンを元気にすると断言。 ダングラールはダンテスの計略で破産が避けられないものとなったが、有り金すべてを持って国外に逃亡した。 ヴィルフォールは一連の毒殺事件が自分の妻の手によるものと知り、夫人を詰問。最後通牒を言い放って、アンドレアことベネデットの裁判に出かけて行った。 ベネデットはモンテ・クリスト伯が自分の父親ではないかと睨んでいたが、ベルツッチオとの面会でヴィルフォール検事総長が父親であると知らされた。 ベネデットの裁判が始まった。検事はヴィルフォールだが、そのヴィルフォールこそが被告の父親であり、被告が如何にして捨てられたかが被告自身の口から語られた。陪審席でそれを聞いたダングラール夫人は、ベネデットが自分の息子であることを知って失神。ヴィルフォールは喪心状態で退席した。 帰宅したヴィルフォールは、夫人と息子エドゥワールが死んでいるのを発見。動転するヴィルフォールの前に現れたブゾーニ司祭ことモンテ・クリスト伯。伯爵はヴィルフォールに、自分がエドモン・ダンテスであることを明かし、復讐が果たされたと告げる。しかし、夫人だけではなくエドゥワールまでもが死んだことに、ダンテスはショックを受けた。 ヴィルフォールは気が狂い、息子を探して庭を掘り返す。その「息子」がベネデットのことなのか、エドゥワールのことなのか、もはや誰にもわからない。 ダンテスはマクシミリアンを伴い、マルセイユへ向かった。 エドゥワールの死に復讐心が揺らぎ始めたダンテスは、今は誰も収監されておらず観光地のひとつとなっている、シャトー・ディフを訪ねる。かつての自分の独房とファリア司祭の独房を見て、決意をあらたにするダンテス。 イタリアに逃亡したダングラールは、ヴァンパ一味に捕まった。そこに現れたモンテ・クリスト伯から、伯爵がエドモン・ダンテスであると告げられたダングラールは、地面に蹲る。 伯爵の情けで5万フランのみ持たされたダングラールは、御馳走された上で馬車で運ばれ遺棄された。夜が明け、喉の渇きを癒そうと川をのぞきこんだダングラールは、自分の髪が真っ白になっていることを知る。 1ヶ月前の約束通り、ダンテスとマクシミリアンはモンテ・クリスト島で落ち合った。マクシミリアンはヴァランティーヌとの再会を果たした。 ダンテスはジャコポにマクシミリアンへの手紙を託し、モンテ・クリスト島の財宝をすべてマクシミリアンに譲って島を去る。ヴァランティーヌはこの手紙ではじめて、父の発狂と弟の死を知った。 待て、しかして希望せよ。 これにて全七巻読了。 ヴァランティーヌがどうやって蘇生したのかにまったく触れていないのは釈然としないが、そんなことはどうでもいい。とにかくおもしろい。御都合主義をも忘れさせるおもしろさ。 全体でみれば、復讐に拍車がかかる六巻が白眉だろう。就中、アルベールを挟んでメルセデスとダンテスが対峙することになるところは、それまで冷徹な復讐鬼に徹していたダンテスの人間性が表に現れて、物語を引き締めている。 圧倒的なエンターテインメント。小説の手本。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/01/18 12:31:32 AM
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