震災法律相談5
今回は、行方不明の方の財産管理についてお離しします。Q10 震災により、従兄弟が行方不明になってしまった。従兄弟が帰ってくるときのため、従兄弟の財産をどのように管理したらよいのか。A10 従兄弟が未成年でなければ、家庭裁判所に財産管理人の選任を申し立てて、その財産管理人が財産管理をします。<解説>従兄弟の方が未成年者の場合は、親権者、つまりご両親が財産管理をします。成年で、かつ成年後見人が就任していない場合は、家庭裁判所に、財産管理人の選任を申し立てて、その財産管理人が財産管理をしなけければなりません。なお、財産管理人によらずに勝手に財産を処分すると、横領罪等の犯罪になる可能性があります。ただ、横領の意図はないものの、家庭裁判所に申し立てている時間が無い場合もあるでしょう。その場合は、「事務管理」として、認められる可能性があります。(事務管理)第六百九十七条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。 Q11 私の親は、津波に呑まれてしまい、そのまま行方不明になった。生存は絶望的と言わざるを得ないが、遺体がない以上、相続手続はできないということか。A11 認定死亡・失踪宣告がなされれば、相続手続が可能になります。<解説>震災に遭って、死亡したのが確実だが、遺体が発見されない場合、取調をした官公署(警察など)の、市町村への報告により、その人の戸籍に死亡の記載をおこなう制度があります。これを「認定死亡」といいます。第89条 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。認定死亡がなされた場合は、相続が開始されます。なお、認定死亡がなされなくても、津波から1年経過してもなお行方不明であれば、家庭裁判所に対し申立をして、失踪申告がなされ、失踪宣告によって、津波の時に死亡したとみなされます。死亡したとみなされれば、相続が開始するというわけです。(失踪の宣告)第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。 今日はこれくらいで失礼いたします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。