|
テーマ:法律(493)
カテゴリ:刑事訴訟法
刑事裁判で言う自白とは、皆さんが想像される通り、 「すいません。わたしがやりました」と発言することです。 よく刑事ドラマでは「あとは自白を待つだけだ」とか、 「自白さえすればこの事件は解決だ」とか言っていて、 現実にも自白は有罪に持ち込むための条件であるかのように 扱われているようです。 しかし、ここは一度自白には証拠能力があるのか 考えてみようでは有りませんか。 証拠能力とは 1、自然的関連性があり(最低限度の証明力(=裏付ける力)があること) 2、法律的関連性があり(証拠の評価を誤らせる事情が無いこと) 3、証拠禁止でないこと(証拠を集める手続に違法が無いこと) を言いました。 ここで自白は疑われている本人自らが「やりました」と告白しているのですから、 裏付ける力はかなりあると言って良いでしょう。 そして、やったとされる本人自身の発言ですからその評価を 誤らせる事情があるとも思えません。 では、証拠禁止はどうでしょうか。 よく刑事ドラマでは「吐け!吐かんか!」と言って自白を強要する シーンがあります。もちろん現実には多分無いでしょうが、 かつて自白を強要するような捜査方法がまかり通っていた 時代がありました。そこで、法律は自白を強要することを 禁じています。 憲法第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。 ○2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留 若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。 第三百十九条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白 その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。 よって、もし自白が強要されたら法律違反となり 証拠禁止にあたることになります。 しかし、自白が強要されたかどうかは取調室が密室ゆえに 誰にも分かりません。ですから、皆さんもニュースで 「初公判で○○被告が自白を覆し、無罪を主張しました」と 聞いたら「一度は自白したのに往生際の悪い奴だ」などと 思わず、「ひょっとしたら自白を強要されたのかも」と 疑ってみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年11月17日 20時41分05秒
[刑事訴訟法] カテゴリの最新記事
|