|
カテゴリ:会社法
第5章 計算 1 資本金 今回から会社の「計算」についてお話します。 計算といっても,財務処理についての話なので日常用語で言えば「会計」とでも言えば良いかも知れません。 さて,今回は資本金のお話です。 株式会社は,株主有限責任の原則が採られていますから,誰も責任を取らない仕組みになっています。 例えば,清水君が設立した(株)清水工業という会社に,草薙銀行が1億円を貸したとします。 さて,このとき,草薙銀行は誰に1億円の返済を求めるのでしょうか。 はじめの方でご説明したとおり,会社は法人であり、清水君とは法律上別人ですから,清水君に返済を求めることは出来ません。 そして,株主有限責任の原則により,(株)清水工業の株主にも返済を求めることは出来ません。 つまり,法人としての(株)清水工業にしか請求できないのです。 そこで,株式会社がいつでも返済できるよう,株式会社に一定のお金が存在する仕組みが必要となります。 それが資本金制度です。 大雑把に言うと,資本金の額を超えた額等の資産が会社に無い限り,剰余金配当(株主に対する利益配当)が出来ないという仕組みを作ることによって,出来るだけ資本金の額の資産だけは会社に資産が残るようにして,会社にお金を貸した人(=会社債権者)が保護されるようにしています。 ここで資本金の「額」という言い方でちょっと引っかかったと思います。実は,「資本金」と言うお金が会社の金庫に保管されているわけではなく,会社の資産のうちの一部を帳簿上「資本金」と呼んでいるだけなのです。 しかも,会社の資産が資本金の額を下回っても罰則があるわけではないし,会社解散理由になるわけでもありません(大昔は解散理由だったそうです)。 例えば,「資本金1円の会社と,資本金1億円の会社,現在どちらが金持ちですか?」と聞かれても,「他の書類を見ないとわからない」としか言えません。資本金1億円の会社であっても,今は無一文かもしれないし,資本金1円の会社でも今では急成長して年間の利益が10億円の会社になっているかもしれないのです。 じゃあ,「資本金制度なんて無意味じゃないの?」とお考えの方もおられるでしょう。実は私もそう思います。 ただ,資本金1億円の会社と言うのは,少なくとも設立時に1億円を集められる信用性があったことを示すので,資本金制度は会社の潜在能力を示す意味があるとおっしゃる先生もおられます。 いずれにせよ,資本金制度は必ずしも会社の現在の体力を示すものではないので,ご注意ください。 例えば,「資本金1億円の会社の未公開株を買わないか?」なんて言われてもすぐに信用してはいけません。他の計算書類も見せてもらって判断してください。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。 ※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。 【参考本】 会社法第9版 この本は、いわゆる「基本書」に属するものですが、基本書としては薄く、大変読みやすい仕上がりになっています。 会社法を学ぶ際には是非持っておきたい本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年11月25日 10時47分35秒
[会社法] カテゴリの最新記事
|