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2008年03月07日
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カテゴリ:要件事実


第2章 金銭消費貸借契約の要件事実

1基本形

前回までは,売買契約における要件事実でした。
今回は,金銭消費貸借契約の要件事実についてお話します。
金銭消費貸借契約とは,早い話,借金の契約です。売買契約と同じくらいメジャーな契約ですね。

例えば,2000万円を清水君に貸したあなたが,裁判でその借金を取り戻したいと思った場合,あなたはどのような事実を主張すればいいのでしょうか。

おっと,まず請求の趣旨を訴状に書く必要がありますね。
あなたは,端的に言えばお金を求めるわけですから,請求の趣旨は
「被告は,原告に対し,2000万円を支払え」と言うことになります。請求の趣旨は端的に表現することになっているので,前回までの売買代金の時と良く似た請求の趣旨になります。
(ちなみに,訴訟物は,「消費貸借契約に基づく貸金返還請求権」です)

では,「請求の原因」はなんでしょうか。
そこで,金銭消費貸借契約の要件事実が問題になります。まずは,条文をご覧下さい。


(消費貸借)
民法第五百八十七条  消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


この条文からすれば,1「返還をすること」の合意と,2「相手方から金銭その他の物を受け取ること」つまり,金銭の交付があれば良いように思えます。
ここで,売買では,「目的物を引き渡した」というのは要件事実に入ってきませんでしたが,消費貸借契約では,まず金銭を交付しなくてはなりません。これは,売買では代金先払い契約が必ずしもおかしくないのに対し(通信販売で,たまに「入金確認後,品物を送付します」とする場合がありますよね),金銭消費貸借契約においては,まだお金を受け取っても居ない段階で返せと言えるのはおかしいからだと思います。

ちなみに,1と2をあわせて「貸し付けた」という表現を用いてもいいことになっていますので,あなたは,「原告は,被告に対し,○年○月○日,2000万円を貸し付けた」とだけ請求原因に書けば良い様にも思えます。

ここで,消費貸借契約特有の問題があります。消費貸借契約は何のために結ばれるのでしょうか。お金を使うためですね。ですから,売買のように,契約成立後「すぐに金を払え」と言われるのでは,契約として無意味なのです。契約成立後すぐにお金を返せるなら,そもそもお金を借りません。

ということで,消費貸借契約では,一定期間は目的物の返還請求できないという拘束をも要件事実に組み入れるべきことになります(これを貸借型理論と言います)。そして,「一定期間は目的物の返還請求できないという拘束」と言うのは,早い話が,弁済期(=返済日)の合意です。弁済期と言うと,「○日までに支払わなければならない」と言うようにお金を借りた人だけを拘束するように思えますが,弁済期の合意をすると「○日までは請求してはならない」と言うようにお金を貸した人をも拘束するのです。

ですから,金銭消費貸借契約の要件事実としては3弁済期の合意が必要となります。
そして,弁済期の到来の主張も必要となります。ちゃんと弁済期まではお金を貸したということを示すためでしょうか。

ということで,あなたが「請求の原因」に書くべき事柄は,
「1 原告は,被告に対し,○年○月○日,弁済期を×年×月×日と定めて,2000万円を貸し付けた。
 2 ×年×月×日は到来した」


と言うことになります。

さて,弁済期の合意が必要とすると,一つ疑問がわきます。
もし,「返すのはいつでもいい」と言ってお金を貸した場合はどうなるのでしょうか。
こういう契約は珍しくないので,「弁済期の定めが無いので,金銭消費貸借契約としては無効だ」とするのは非常識ですね。かといって,借りた人が気が向いたら返す契約だとするのは,実質的に贈与になってしまい,いつかは返してもらいたいと思っている人の意思に反します。
そこで,こういう契約は,弁済期がお金を貸した人の催告から数日経過した時であると考えることにしています。

(返還の時期)
民法第五百九十一条  当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
(以下省略)


いうことは,「返すのはいつでもいい」と言われるのが,実は一番怖いことになります。(条文上,「相当の期間」は待ってもらえるように思えますが,ここでいう「相当の期間」は長くても1週間とされています。
例えば,1000万円を「返すのはいつでもいい」と言われて,「数年後に返せばいいか」と安心していたところ,借りた1ヵ月後に「やっぱり返して」といわれたら,返さなくてはなりません。法律漫画「カバチタレ!」では,この仕組みを利用してお客を引っ掛ける悪徳業者が出てきました。

また,悪徳業者でなくても,お金を貸した人が急に経済状況が悪化するなんてこともありえます。
例えば,ベンチャーで一儲けした人から「返すのはいつでも良いよ」と言われて1億円借りたら,その数ヵ月後に,資金繰りが悪化し,「本当はすぐに請求するつもりは無かったけど,こちらも苦しくなったんで,返して」と言われたら,返すしかありません。
ですから,「返すのはいつでもいい」という契約が一番怖いということを覚えておいてください。
もし,本当の意味で返すのはいつでもいいと言う契約を結びたければ,弁済期を2年後などの長期にしておくのがいいと思います。そして2年経ったら,また契約を結びなおせばいいわけです。
いつのまにか,普通の民法の話になってしまいましたが,今日は以上です。



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【参考本】


ゼミナール要件事実(2)





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最終更新日  2008年04月14日 07時57分27秒
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