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カテゴリ:要件事実
第3章 4所有権に基づく不動産明渡請求の要件事実 4 占有権原の抗弁 前回は,あなたが所有者である場合の抗弁をお話しました。 今度はあなたは所有者でない場合を考えましょう。例えば,あなたは,草薙氏からC土地を借りたものの,清水君から「C土地を買ったから出て行け」と訴えられたとします。 このとき,清水君からの訴状には, 請求の趣旨 「被告は,原告に対し,甲土地を明渡せ」 請求の原因 「1 原告は,C土地を所有している。 2 被告は,C土地を占有している。」 とあります。 あなたは所有者ではないので,1は認めるしかないですね。また,あなたはC土地を借りているので,2も認めるしかありません。 と言うことは請求原因事実の全てを認めるしかなさそうです。 従って,このままでは負けてしまいますから,あなたは,自分が正当な賃借人であることを抗弁として主張して勝たなくてはなりません。あなたは法的に言うと,賃貸借契約に基づく占有者であることを主張しますので,まず条文を見ましょう。 (賃貸借) 第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 条文からすると,「当事者」や「ある物」の確定と,「賃料」支払の合意が必要です。そして,賃貸借契約も一定期間,ある物を使用させることに意味があります。貸した瞬間に「返せ」と言えるのでは意味がありません。そうです,貸借型理論ですね。従って,返還時期の合意が必要なのです。 一見,これだけで十分な気もしますが,あなたが賃貸借契約に基づく占有者であることを示すには,賃貸借契約に基づく引渡を受けたことまで主張立証する必要があります。ひょっとしたら,契約とは無関係に占有している場合もありうるからです。 つまり,1賃貸借契約の締結と2賃貸借契約に基づく引渡が必要です。 そこで,あなたは以下のように抗弁を提出します。 「1 原告は,被告に対し,〇年〇月〇日,C土地を,賃料1ヶ月15万円,賃貸借期間同日から×年×月×日までとの約定で賃貸した。 2 原告は,被告に対し,〇年〇月〇日,上記賃貸借契約に基づき,C土地を引き渡した。」 【参考本】 ゼミナール要件事実(2) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月22日 09時40分15秒
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