|
カテゴリ:要件事実
第5章 賃貸借契終了に基づく不動産明渡請求権の要件事実 あなたが,清水君に土地を貸したところ,契約期間を過ぎても土地を返してくれない場合はどうしたらいいでしょうか。 やはり,最終的には裁判をするしかないので,どのように訴状を書くべきか考えてみましょう。 まず,請求の趣旨は, 「被告は,原告に対し,C土地を明渡せ」 と端的に書けばいいでしょう。 (ちなみに,訴訟物は「賃貸借契約に基づく目的物返還請求権としての土地明渡請求権」です。) さて,請求の原因は何でしょうか。 まず,賃貸借契約が終了したことを主張するのは当然ですね。 そして,そもそもどんな契約だったのかを主張する必要もあります。 さらに,あなたは「賃貸借契約が成立し,無事に終了したのにC土地を返してくれない」と主張するのですから,C土地が賃貸借契約に基づいて引き渡されたことまで主張することが必要です。 金銭消費貸借と同じように,渡されてない物は返しようが無いというのもありますし,もし,C土地が賃貸借契約と無関係に引き渡されていたら,少なくとも契約の終了は,C土地を返せと言える根拠にならないからです。 さて,以上をまとめると, 1土地について賃貸借契約を締結したこと 2賃貸借契約に基づいて土地を引き渡したこと 3賃貸借契約が終了したこと 1は,賃貸借契約の要件事実となります。 2について,ある疑問が生じるかも知れません。清水君の占有は主張しなくていいのでしょうか。所有権に基づく返還請求権に基づく土地明渡請求権の場合には,原告所有・被告占有が要件事実でしたから,そういう疑問をもたれるかも知れません。しかし,賃貸借契約においては,契約終了後に,目的物を返還するところまでが賃借人の義務なのです。 例えば,清水君が「もう草薙氏に又貸ししたから知らないよ」と言ったら,あなたは「私は清水君に貸したのだから,清水君が責任持って返せ」と言いたくなりますよね。 3については,終了の合意などは不要で,1で定めた終了日時が経過したことを主張すれば足ります。 では,以上を請求の原因として書くとこうなります。 「1 原告は,被告との間で,〇年○月○日,C土地を,賃料月額10万円,賃貸期間同日から×年×月×日までとの約定で賃貸するとの合意をした(以下,「本件賃貸借契約」と言う)。 2 原告は,被告に対し,〇年○月○日,本件賃貸借契約に基づき,C土地を引き渡した。 3 ×年×月×日は経過した。」 ちなみに,借地借家法が適用される場合は,このような抗弁を提出できる場合があります。 「原告と被告は,本件賃貸借契約において,建物所有を目的とすることを合意した」 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。 【参考本】 ゼミナール要件事実(2) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月22日 20時29分45秒
[要件事実] カテゴリの最新記事
|