1589303 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

法律なんて怖くない!

PR

全46件 (46件中 11-20件目)

< 1 2 3 4 5 >

憲法

2005年03月10日
XML
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法


憲法判例編 第7章 前科について

前科とは確定判決を受けて刑を受け終わった事実です。
いくら前科と言っても、プライバシー権の対象になると考えられます。
そこで、前科はみだりに公表していいのかが問題になります。

まず、公的機関の持つ前科情報をみだりに公表していいのか見てみましょう。
例えば、弁護士の請求に基づき、前科を公表していいのかが問題になります。
判例(最判昭和58年4月14日)はこのように示しました。
「前科は・・・みだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有する。弁護士法・・・にもとづく前科等の照会については格別の慎重さが要求されるが、本件のように・・・漫然と弁護士会の照会に応じ、・・・前科等の全てを報告することは、公権力の違法な行使にあたると解するのが相当である」

つまり、弁護士の照会であっても漫然と前科を公表してはいけないということです。

次に、ノンフィクションとしてかつての前科を公表することは許されるのでしょうか。
判例(最判平成6年2月8日)はこのように示しました。
「前科等に関わる事実を公表されないことにつき、法的保護に値する利益を有する。その者が有罪判決を受けた後あるいは服役を終えた後においては、一市民として社会に復帰することが期待されるのであるから、・・・その更正を妨げられない利益を有する。前科等に関わる事実が実名を使用して著作物で公表することが許されるか否かを判断するためには、その著作物の目的、性格等に照らし、実名を使用することの意義、及び必然性をあわせ考えることを要し、さらにその者のその後の生活状況等も判断すべきで、その結果前科等に関わる事実を公表されない法的利益が優越する場合には賠償を求めうる。」


つまり、公共機関が絡まない場合は前科を公表されないというプライバシー権のみならず、ノンフィクション作家の表現の自由をもある程度考慮しなくてはなりません。
なので、表現の自由とプライバシー権を比較してより重要な方を保護するという考えです。

このように、公的機関が前科を公表した場合と、そうでない者が公表した場合には
取り扱いがちょっと違います。




応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年03月10日 14時38分01秒


2005年03月08日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第6章 被疑者の写真撮影について

被疑者とは犯罪を犯したと疑われている人のことです。
ここでは、犯罪を犯したと疑われている人を、証拠保全のため写真撮影して良いのかというのが問題です。
例えば、違法なデモ行進をしている人を勝手に写真撮影してよいのでしょうか。

判例はこのように示しました。
「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌、姿態を撮影されない自由を有するものというべきである。これを肖像権を称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由も無いのに、個人の容貌等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されないものと言わなければならない。しかしながら、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、・・・警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、・・・個人の容貌等が含まれても、これが許容される場合がありうる。(最判昭和44年12月24日)」


つまり、捜査の必要があれば写真撮影しても良いということです。
ここで、行政書士試験などを受ける方々に注意していただきたいのは「これを肖像権を称するかどうかは別として」の一節です。
これを「判例は肖像権を権利として認めた」と解釈しないようにしてください。
むしろ、「判例は肖像権を権利としては認めていない」と解釈されています。




応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年03月08日 13時52分28秒
2005年03月06日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第5章 在監者の人権について

在監者とは、早い話逮捕されて拘置所にいる人のことです。
逮捕されたとは言っても人権がなくなるわけではありません。
しかし、一般国民と同じように人権を保障するのはいかがなものかと思うでしょう。
実際、憲法31条も法律の手続さえあれば身柄拘束を認めている以上、一般国民と同じ程度の権利を保障する必要は無く、最低限の人権制限はしてもいいでしょう。
これを学問上「憲法は、在監関係の存在とその自立性を憲法秩序の構成要素として認めている」と言います。

例えば、在監者に閲読の自由が認められるのでしょうか。
一般国民は、表現の自由の裏返しとして閲読の自由が認められます。
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
しかし、犯罪の方法などが書いてある物を在監者に認めるわけには行きません。
判例は、「監獄内の秩序及び秩序の維持上放置することが出来ない程度の障害が生ずる相当の蓋然性がある場合に限って制限が許される(最判昭和58年6月22日)」としています。
つまり、こういう条件のもとでは閲読の自由を制限できるのです。






最終更新日  2005年03月06日 09時53分19秒
2005年03月04日
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第4章 公務員の人権について

ここでは、日本国籍をもつ公務員を指すと思ってください。

公務員といえども、日本国籍がある以上「国民」には違いません。
ということは、公務員と一般国民との間に人権保障の差があってはいけないような気がします。
しかし、公務員は一般国民と違い憲法に規定があります。
また、公務員は政治的に中立でなくては困ります。
例えば、民主党を支持していても、公務員になった以上は自民党の小泉総理の言うことに従ってもらわねば国民は困ってしまうのです。
ということは、憲法は公務員を特殊に扱うことを認めていると解釈して良いでしょう。
(これを学問上「公務員関係の存在と自立性を憲法秩序の構成要素として認めている」と
表現します。)

ただし、完全に人権を認めないと言うわけには行きません。
あくまで中立性確保のため最小限の人権制限に限り認められるでしょう。
そこで、判例(最判昭和49年11月6日)は公務員の政治活動の自由を制限する条件として以下の物を挙げました。
1、目的が正当であること
2、目的と制限手段に合理的関連性があること
3、失われる利益との権衡
以上の要件が揃えば公務員の政治活動の自由を制限しても良いとしました。

次に、公務員にスト権はあるのでしょうか。
まず一般国民にはスト権があります。(第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
しかし、公務員にスト権を認めてもいいのでしょうか。
判例(最判昭和48年4月25日)は、以下の理由で公務員のスト権を認めませんでした。
1、公務員は公共的地位がある
2、勤務条件は法律で定める物であり、ストをされても勤務条件を変えられない。
3、私企業ではストが長引くと企業自体がつぶれる恐れがあり、おのずとストには限界がある。
4、人事院制度により、ストをしなくても勤務条件は守られる。

このように、公務員の人権は案外制約されています。






最終更新日  2005年03月04日 13時03分59秒
2005年03月01日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第3章 2私人の間に憲法の趣旨が適用された例、されない例

前回、憲法は私人間には直接適用されないが、憲法の趣旨に違反する行為は民法を適用することにより無効となると申し上げました。
これだけではさっぱりわからないと思います。
そこで、今回は実際の例をお話します。

例えば、ある私企業の就業規則において男女で定年の年齢が違う場合はどうでしょうか。
もし公人が男女で不合理な差別をすることは、憲法14条違反です。

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


しかし、私企業は私人であり、従業員も私人です。
とすると、原則として憲法は適用されず、男女差別も認められることになりそうです。
それでは差別された従業員がかわいそうでしょう。
そこで、民法を持ち出します。

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

ここで、男女差別は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」とみなし、無効にするのです。
実際、同種の事件では男女で定年年齢が違う就業規則は無効となりました。
(最判昭和56年3月24日)

しかし、何でもかんでも無効になるわけではありません。
無効にならなかった例もあります。
例えば、ある私企業が内定者に対し、学生運動をしていたことを理由に内定取消ししたらどうなるでしょうか。
これだけ見れば内定者の職業選択の自由(第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。)や、思想良心の自由(第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない)を侵害したように見えます。しかし、何度も言いますとおり、私企業も内定者も私人ですから、憲法は直接適用されません。
では、民法は適用されるのでしょうか。
内定取消しが民法90条(第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。)に言う、
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」と言えるのでしょうか。
残念ながら判例は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」と言えないとしました。(最判昭和48年12月12日)
このように、何でも民法が適用されるわけではありません。

もう一つ、認められなかった事件があります。
昭和女子大の学生が政治活動をしたことを理由に退学処分を受けたことがありました。
これだけ見れば女学生の教育を受ける権利(第二十六条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。)を侵害しています。
昭和女子大も私学ですから私人であり、女学生も私人です。憲法は直接適用されません。
では、民法は適用されるのでしょうか。
判例は、「私立大学は独自性により社会通念に照らして合理的と見られる範囲で、学生の政治活動に対してかなり広範な規律を及ぼしても直ちに社会通念上、不合理な制限で有ると言うことはできない」として、民法90条などの適用を認めませんでした。
(最判昭和49年7月19日)

このように、何でも民法を適用するわけではないのです。








最終更新日  2005年03月01日 00時34分16秒
2005年02月21日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第3章 1私人の間では憲法が適用される?

「私人」とは公人の反対語であり、公務員など公共機関に属する人以外を指します。
早い話、公務員以外の一般国民と思ってくだされば結構です。
日常用語では、「公人」というとテレビに出ている人など、公に姿をさらしている人を指しますが、それとは違いますのでご注意ください。

まず、憲法とは国家権力を行使する公人を縛る物です。

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

この条文をごらんになればお分かりの通り、公人のみが憲法を守る義務があり、私人には憲法を守る義務などありません。
つまり、一般国民同士の争いには憲法が介入できない原則です。
しかし、いまや国家権力に人権を侵害されることはあまり無く、私人に人権を侵害されることの方が多いのです。例えば、芸能人の方は、マスコミと言う私人にプライバシー権を
侵害されることが多いです。
そうすると、いくら憲法が国家権力を縛るためだけにあるといって、憲法は私人との間には適用されないとしてしまっては、結局人権が保障されないも同然なのです。
国家権力によってプライバシーを暴くことは無くても、マスコミによってプライバシーを暴かれては、結局プライバシー権が保障されていないのと同じですよね。

じゃあ、憲法は私人にも適用されることにすればよいではないかと思うかもしれません。
それはそれでまた問題となります。
というのも、あまりプライバシー権だけを重視すると、マスコミの表現の自由を侵害してしまいます。
ですから、憲法を私人に適用して、むやみにマスコミの取材を制限するわけにも行きません。

そこで、判例はこう判断しました。
「私人の基本的自由や平等の侵害の態様、程度が社会的に許容しうる限度を超える時は、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、一面で私的自治の原則を尊重しながら、多面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護する方途も存する(三菱樹脂訴訟・最判昭和48年12月12日)」

ちなみに、民法1条とは、
「(基本原則)
第一条
1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。」

であり、
民法90条とは、
「(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」

であり、不法行為に関する諸規定とは主に
「(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

を言います。
つまり判例は、私人の間では直接憲法を適用できないが、あまりひどいと憲法の趣旨を民法に読み込んで無効にするよって言ったのです。
つまり、憲法○○条の趣旨に違反するから、民法90条違反となり無効とするということです。

ただ、結局憲法を直接適用した場合とどう違うのかと聞かれると難しいです。
まあ、とりあえず憲法を直接適用は出来ないが、民法を間に挟むことによって権利を救済すると思ってください。

応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング







最終更新日  2005年02月21日 00時09分05秒
2005年02月19日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第2章 法人の人権について

さて、前回までは外国人の人権についてお話しました。
では、今回は法人の人権です。
法人とは自然人(生身の人間)以外で法律上権利の主体となる物を言います。
早い話、会社などの団体をいうと思ってくださって結構です。

さて、法人には人権があるのでしょうか。
外国人と同じく、憲法では国民の人権のみを保障しているように見えるので問題となります。

まず問題となったのは、法人である会社に政治献金の自由があるか否かです。
自然人である国民には政治活動の自由として政治献金の自由があります。
そして、政治活動の自由は表現の自由の一つとして保障されています。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

では、法人に政治献金の自由は保証されるのでしょうか。
判例はこのように判断しています。
「憲法第三章に定める国民の権利及び義務はの各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用される。(八幡製鉄事件・最判昭和45年6月24日)」


つまり、政治献金に限らず、人権の性質上可能な限り法人にも保障されています。
そうなると、何が性質上法人には保証されない権利なのか気になりますよね。
法人に保障されない権利とは、人身の自由(第十八条  何人も、
いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
)とか、選挙権(第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

など、法人に保障するのが無意味な権利などです。

しかし、法人は必ず自然人(=生身の人間)で構成されますから、
法人と、構成員の意思が食い違う場合がありえます。
法人は各構成員の意思を無視して、多数決で政治献金の決定をしてもいいのでしょうか。
法人に参加する以上意見が食い違うのはやむを得ないし、その法人の方針が気に食わないなら法人から脱退すればいいと思うでしょう。確かに原則はその通りです。

では、そう簡単に脱退できない場合はどうでしょうか。
つまり、税理士会のように税理士として活動するには必ず加入しなければならない法人の場合はどうでしょうか。
例えば、ある税理士会がA政党に政治献金をする決定をしてしまった場合、B政党を応援する税理士はそれに従わねばならないのでしょうか。
税理士として活動するには税理士会に加入しなくてはなりませんから、税理士会の方針が気に食わないからと言って脱退するわけには行きません。
ということは、B政党を応援する税理士は、A政党を応援する税理士会の方針に従わねばならないのでしょうか。これではB政党を応援する税理士の政治献金の自由を侵害したことになります。

そこで、判例はこう判断しました。
「税理士会が政党など・・・に金員の寄付をすることは、・・・目的の範囲外の行為であり、右寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効である。税理士会が、強制加入の団体であり、その会員である税理士に実質的には脱退の自由が保障されていないことからすると、・・・会員に要請される協力義務にもおのずから限界がある(南九州税理士会事件・最判平成8年3月19日)」

つまり、税理士会のように加入が強制される団体の場合は、政治献金をする自由まで認められていないし、構成員に政治献金の決定を強制できないということです。

つまり、原則として法人には権利の性質上可能な限り権利が保障されますが、脱退が不自由な法人の場合は保障されない場合もありうるということです。

また、ここまでお読みになると「結局法人と外国人の権利の保障の度合いは同じなんだな」とお考えになる方も多いでしょう。
しかし、厳密に言えばそれは誤りであり、行政書士試験などをお受けになる方は注意してください。
外国人の場合は権利の性質上日本国民のみをその対象としていると
解される物をのぞき、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶとされており、原則として外国人には日本国民と同等の権利が保障されるが、例外として若干の権利のみが保障されないのです。
しかし、法人は別に原則として権利が保障されるのではなく、権利の性質上可能な物については保障されるのです。
感覚的には、外国人はまず満点が与えられて上での減点法で権利が保障され、法人には0点を出発点として加点法で権利が保障されると言う感じです。
結構間違えやすいので、ご注意ください。






最終更新日  2005年02月19日 13時37分09秒
2005年02月15日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第1章 外国人の人権について2

今日も外国人の人権についてです。
外国人は、再入国する権利はあるんでしょうか。

外国人は自由に日本国に入ってきているように見えます。
しかし、そもそも、外国人には入国する権利と言うのが保障されているわけではありません。
条文もありませんし、誰でも入国できるとしたらテロリストなども入国自由となり、危険なことこの上ありません。
あくまで、日本が許可するからこそ、外国人は日本に入国できるのです。

では、一旦入国した外国人はどうでしょうか。
一旦入国すると次の条文が適用されるような気がします。

第二十二条
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

外国人が一旦本国に里帰りする権利は、「外国に移住」する権利として保障されるのでは無いでしょうか。
そこで、最高裁判所はこのような判断をしました。

「外国人は、憲法上外国へ一時旅行する自由を保障されているものではない。したがって、外国人の再入国の自由は憲法22条により保障されない。(森川キャサリーン事件・最判平成4年11月16日)」

つまり、一旦入国が許可されても、必ずしももう一度入国できるわけではないということです。考えてみれば普通のことかもしれません。その人の事情は日々変化するのですから、入国できるか否かは
そのたびに判断されなくては困ります。

さて、外国人に選挙権はあるのでしょうか。
まず、国会議員の選挙権は無いと考えられます(最判平成5年2月26日)。
それは、前文(「ここに主権が国民に存することを宣言し」)で示される国民主権原理に反するからです。
国民主権とは、日本国のことは、日本人が決めるという意味ですから、この結論に異論は無いでしょう。例えば、外国人が外務大臣となって外国に有利で日本国に不利な外交をされては困ります。

では、地方公共団体(地方自治体)の選挙権はどうでしょうか。
地方自治体もまた日本国の一部と考えればやはり外国人に選挙権は無い物とも思われます。しかし、地方公共団体は憲法93条で「住民」に選挙権が認められています。

第九十三条  地方公共団体には、法律の定めるところにより、
その議事機関として議会を設置する。
○2  地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

ということは、国籍関係なく、住民全てに選挙権を与えても良いのではないかという解釈も十分取りうるのです。
そこで、最高裁は次のような判断をしました。

「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とする。憲法93条2項にいう住民とは地方公共団体の区域内に住居を有する日本国民を意味する。しかしながら、・・・永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関係をもつに至ったと認められる者に
ついて法律をもって・・・選挙権を付与する措置を講ずることは、
憲法上禁止されている物ではない(最判平成7年2月28日)」

つまり、「住民」とは日本国民をさすけど、法律で外国人に選挙権を与えてもいいと言っているのです。結局、憲法から直接選挙権を認めるわけには行かないけど、法律でちゃんと手続を定めるなら外国人に選挙権を与えてもいいとしたのです。
これにより、外国人に地方公共団体での選挙権を与える法律をつくろうという動きがあるようです。

応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング







最終更新日  2005年02月15日 00時23分33秒
2005年02月12日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法


憲法判例編 第1章 1外国人の人権について

外国人にも人権は保障されているのでしょうか。
とりあえず、条文を見てみましょう。

すると、人権は主に「第三章 国民の権利及び義務」と言う章に書かれています。
国民とは当然日本国民を指します。
とすれば、憲法上外国人は人権が保障されないということになるのでしょうか。
例えば、外国人だからといって差別をしても良いのでしょうか。
あるいは、外国人だからといって外国人が本を書くときは検閲してもいいのでしょうか。それは何か変でしょう。
そこで、こんな判例があります。


「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ(マクリーン事件・最判昭和53年10月4日)」

そもそも人権とは人間が人間であると言うだけで保障される物です。
別に国家があるからはじめて権利が保障されるというわけではありません。
例えば、国家があるからこそ表現の自由が守られるのではなく、
人間の根源的な欲求の一つとして表現の自由があるのです。
そして、憲法は前文(「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて」)で国際協調主義をうたっています。この点からも外国人にも人権を保障すべきといえます。

結局あたりまえの結論になるのですが、法律はまず条文が最優先されます。
条文で「国民の権利」と書いてしまった以上、国民以外は権利が保障されないのではないかという疑問には論理で答えなくてはいけません。
単なる感情で「外国人に権利を保障すべきだ」と言っては法律をないがしろにしたことになり、説得力は生まれません。

以上の通り、外国人にも「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き」人権が保障されます。
しかし、これでは何が「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」となるかは分からず、さらに解釈していかなくてはなりません。

例えば、日本人には障害福祉年金がありますが、外国人にはありません。
これは生存権を保障した25条、平等権を保障した14条に違反するのではないでしょうか。
そこで、こんな判例があります。


「国民年金制度は・・・もともと広範な裁量権を有している物と言うべきである。社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給付を行うにあたり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるべきことと解される。(塩見訴訟・最判平成元年3月2日)」

つまり、年金制度は財源が限られているから自国民を優先することもやむを得ないので、外国人を不利に扱っても14条や25条に反しないということなのです。
今これを見ておられる外国人の方は噴飯物でしょうが、やはり税金の大半は日本人が拠出しているのですし、外国人の方はいざとなれば本国に帰って年金を受け取れるはずです。
ですから、年金制度については日本人が優先されても仕方ないでしょう。





応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年02月12日 00時23分37秒
2005年02月10日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第0章 判例なんて怖くない!

さて、判例編です。
判例とは、裁判所のなした判断のことです。
「判例」と聞いて、何か難しいことが始まるんじゃないかとお考えの方もおられるでしょう。
しかし、判例は条文と同じくらい重要なのです。
例えば、憲法29条3項をご覧下さい。

第二十九条  
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

これでは、「正当な補償」が何かわかりません。
何が「公共のため」で、逆に公共のためでない物とは一体なんでしょうか。
これらの答えは条文を何回読んでも出てきません。
そこで、裁判所が具体的な事件において法律の条文を解釈するのです。
つまり、判例は条文を解釈し具体化するという意味で重要なのです。

さて、判例の重要性をお分かりいただけたでしょうか。
次回から具体的な判例に入ります。
よろしくお願いいたします。






最終更新日  2005年02月10日 09時19分23秒

全46件 (46件中 11-20件目)

< 1 2 3 4 5 >


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.