000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

法律なんて怖くない!

PR

全68件 (68件中 21-30件目)

< 1 2 3 4 5 6 7 >

民法

2005年09月05日
XML
カテゴリ:民法


民法家族法応用編

第1章 離婚

2 有責配偶者からの離婚

まずは離婚の条文をご覧ください。

第770条 
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

そして、客観的に婚姻状態が破綻していれば離婚できると申し上げた前回の言葉を思い出してください。
これをそのまま解釈すると、婚姻を破綻させた側でも5号を根拠に離婚訴訟できると言うことになります。これを有責配偶者からの離婚といいます。
「責」任が「有」る「配偶者」離婚というわけです。
例えば、夫が浮気をして、婚姻を破綻状態に追い込んで、その破綻を理由に夫の側から離婚訴訟を提起できるということになりかねないのです。

これは相手にしてみればいい迷惑でしょう。
かってに浮気をして、かってに離婚訴訟を提起されるのですから、踏んだりけったりとはこのことです。
しかし、すでに破綻してしまった以上、もはや婚姻を続ける実益が無い場合もありえます。
そこで、判例では以下の条件で原因を作った側からも離婚訴訟を提起できるとしました。


1、相当長期間の別居
2、未成熟子の不存在
3、相手方が経済的に過酷にならない
(最判昭和62年9月2日)


1は破綻の客観性のために必要とされています。
ただ、「何年別居すれば良い」と言う明確な基準は無く、事例ごとに判断されています。
2は子供のためです。
両親の離婚は子供に深刻な影響を与えかねないので未成熟子の不存在が必要なのです。
ただ、ここでいう「未成熟子」とは年齢で定まるものではありません。
経済的に独立しているかどうかで判断されます。
つまり、高卒で働いて自活している19歳の人は「未成熟子」ではありませんが、大学生3年生で仕送りをもらっている21歳の人は「未成熟子」です。
3は配偶者のためです。
何も自分は悪くないのに、いきなり離婚され、貧乏になってしまうという不合理なことを避けるためです。

ただ、勘違いしないでいただきたいのは、破綻原因を作った側からも離婚訴訟できると言うだけで、慰謝料などが免責されるわけではありません。
離婚成立後、破綻させた側は慰謝料を請求することは十分ありえます。
間違っても、「婚姻が嫌になったら、自分から浮気すれば良いんだ」などと誤解なさらないようお願いいたします。





応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年09月05日 08時36分46秒


2005年09月03日
カテゴリ:民法


民法家族法応用編

第1章 離婚

1精神病離婚について

では、離婚に入りましょう。
日本での離婚は簡単です。離婚の意思をもって離婚届を提出すれば離婚成立です。
では、離婚の意思とは何でしょうか?
形式的に婚姻関係を解消する意思でいいのです。
つまり、仮装離婚も有効です。
ただし、強制執行逃れのために離婚すると、別の法律に引っかかるかもしれませんから、ご注意ください。

しかし、以上のお話は夫婦二人が円満に離婚を成立させる場合です。
離婚話がまとまらない場合はどうすればいいのでしょうか。
裁判所に行くしかありません。
裁判所での離婚調停・離婚審判と言う言葉をお聞きになったことがある方も多いと思います。
しかし、調停や審判でもまとまらなければ、裁判をするしかありません。

では、どのような場合に裁判離婚できるのでしょうか。

(裁判上の離婚)
第770条 
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

この条文を見てなんとなくわかるように、客観的に見て夫婦関係が破綻していれば離婚できるというのが民法の考え方です。
ここで、4号をご覧ください。
精神病離婚の条文です。
精神病で配偶者がわからなくなっているようでは、婚姻は破綻したと言って良いでしょう。
しかし、精神病でない方は離婚すればそれで何とかなりますが、精神病にかかってしまった方は、いきなり離婚されたら困ってしまいます。
そこで、精神病に罹患した側に前途の手当て(具体的方途)が無ければ、配偶者が精神病にかかっていても離婚できないとされています。


単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて直ちに離婚の請求を理由ありとするものと解すべきでなく、たといかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的方途を講じ、ある程度において、前途にその方途の見込のついた上でなければ、直ちに婚姻関係を廃絶することは不相応と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。
(最判昭和45年11月24日)

夫婦である以上、離婚の直前まで助け合いなさいということなのかもしれません。







応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング







最終更新日  2005年09月03日 00時28分20秒
2005年09月01日
カテゴリ:民法


民法家族法応用編

第0章 はじめに

今日から、民法の家族法の応用編に入ります。
かつてやった家族法よりちょっと小難しくなりますが、ご了承ください。

家族法と言うのは親族法と相続法に分かれます。
そして、相続は親族になされるものですから、まず親族法からやりましょう。

そして、親族関係の発生原因の代表的なものは、婚姻・離婚・養子縁組・離縁(離縁とは、養子関係を解消することです)出生・認知・死亡です。

そして、法律上もめそうなのは離婚と認知でしょう。
出生する・しないでもめることはありませんが、認知する・しないでもめることがありえそうだと言うことはご想像いただけると思います。
また、離婚をめぐってもめると言うのも、よくドラマになりますよね。

ですから、次回から主に離婚と認知についてお話します。







応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年09月01日 00時04分03秒
2005年01月25日
カテゴリ:民法


民法家族法編 第2章 相続分野

8遺留分

前回は遺言書のお話をしました。
そして、原則として、遺言書があれば法律に関係なく財産を相続させることが出来ます。

とすると、困ることがあります。
例えば、妻子ある清水君が死亡し、その遺言書に「財産は日本赤十字社に全部寄付する」とあったらどうでしょう。
遺言をそのまま解釈すると、妻子は財産の一切合財を失い、無一文で路頭に迷う羽目になります。
さすがにそれは妻子にかわいそうですね。
そこで、たとえ遺言に書いてあっても一定の財産を得られるようにしてあります。
それが「遺留分(いりゅうぶん)」です。

第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。
一  (略)
二  その他の場合には、被相続人の財産の二分の一

つまり、遺言に何が書いてあろうと法律で定まった分の半分が受け取れるのです。
例えば、妻子ある清水君が死亡してその遺言書に「財産は日本赤十字社に全部寄付する」と書いてあろうとも、妻子は一定の額を受け取れるのです。
これで妻子が無一文で路頭に迷うことはなくなります。

また、清水君には2人の子供がいましたが、清水君は長男だけをかわいがり、次男には冷たくあたっていました。そこで、清水君が遺言書に「財産は全て長男に譲る」と書いたとします。
この場合、長男しか財産を受け取れないようにも思えます。
しかし、次男は遺留分を主張して一定の財産を手に入れることが出来るのです。

遺留分はあまり知られていないような気がします。
しかし、遺言が自分に不利に書いてあっても諦めず、遺留分を主張してください。


以上で、民法家族法編は終了です。
お疲れ様でした。


応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング







最終更新日  2005年01月25日 11時47分36秒
2005年01月23日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法



民法家族法編 第2章 相続分野

7遺言書

今までは遺言書が無い場合についてお話しました。
しかし、ドラマなんかでは遺言書が出てきて大騒ぎとなるシーンが良くあり、皆さんにとっては遺言書による相続の方がなじみがあるかもしれません。

まず、遺言書の内容は基本的に自由です。
故人の自由に遺言が出来ます。ですから、遺言書がある場合には相続分でもめることはあまりありません。
しかし、内容が自由に定められるからこそ、その遺言がちゃんとした物なのかが大変問題になります。
そこで、法律も遺言書の形式について定めてあります。

第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。

まず、法定の形式に従わなければ遺言は出来ません。
もし、形式に従っていない遺言が有ればただの覚書です。

第九百六十一条  満十五歳に達した者は、遺言をすることができる。


遺言は15歳から出来ます。
契約が単独で出来るのは20歳からでしたが、遺言の場合はそれより幼くても良いのです。
そもそも、未成年者が契約を単独で行えないのは、未成年者が変な契約をして不当に財産を失うのを防ぐためでした。
しかし、遺言の場合は、遺言の効力が発生したときには遺言者は既にこの世に亡いことになります。遺言者がこの世にいない以上、遺言者の財産が不当に失われると言う事態を想定する必要がないから多少幼くても遺言を認めてあげるべきなのです。

第九百六十八条  自筆証書によつて遺言をするには、
遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
○2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれを署名し、
且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。

まずは最もポピュラーな遺言である自筆遺言書です。
日付け・氏名と印が必要で、全て自筆であることが必要です。
つまり、ワープロなどで印字することは原則として無効になってしまいます。
というのも、全部自筆であれば筆跡から偽造かどうかがわかるので、全て自筆が求められます。

第九百六十九条  公正証書によつて遺言をするには、次の方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
(以下略)

次に公正証書遺言です。
公証役場という公的な機関で作られる遺言です。
これだと偽造の可能性がほぼ0%になるので、絶対に自分の遺言は偽造されたくないと考える方はこの手段をとることがあります。
ただし、公正証書遺言も自筆遺言も効力は同じで、一番新しい遺言で前の遺言を破棄出来ます。
つまり、公正証書遺言をしたあと、自筆遺言で「前につくった公正証書遺言を破棄し、新たに遺言する」と書けば、新たに作った自筆遺言が有効になります。

第千二十二条  遺言者は、何時でも、遺言の方式に従つて、
その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。

以上が通常の場合の遺言です。
しかし、人間いつ最期を迎えるかわかりません。
遺言をしないまま、死んでしまうことは無念です。
そこで、法律もそんな万一の場合に備えて、死にそうになった場合には緩やかな方法で遺言が出来るように定めています。

第九百七十六条  疾病その他の事由によつて死亡の危急に迫つた者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもつて、
その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。
この場合には、その口授を受けた者が、これを筆記して、
遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、
各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
○2 (略)
○3 (略)
○4  前三項の規定によつてした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力がない。
○5  家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

イメージとしては、重病患者が突然危篤になった場合を想定してください。
そんなときに、患者は一々自筆で遺言など残せません。
そこで、証人が3人以上いれば口伝えで遺言出来ることにしています。
目の前の人が死にかけていると、「喋らずにじっとしていて下さい!」と言いたくなってしまいますが、ちゃんと聞いてあげるようにしてください。
ひょっとしたらどうしても遺言しておきたいことが有るのかも知れないのです。
無念のまま逝かせる事はあまりにかわいそうです。

ちなみに、なぜ3人も証人が必要なのかはお分かりですか。
もし、一人だと捏造される恐れがあるからなのです。
よく時代劇で、兄弟の派閥間で世継ぎ争いをしているさなかに殿様が危篤になるシーンが有ります。
そんな時、ある派閥の一方が殿様の枕もとで「殿、お世継ぎは?」と聞いて、殿様は喋れるはずも無いのに「わかりました。お世継ぎはご長男様ですな」と自作自演することがあるシーンをご覧になったことがある方は多いでしょう。
そういうような自作自演で遺言が捏造されないように証人は3人必要なのです。

こんな場面はめったに無いですが、万一遭遇したら故人のためにちゃんと遺言を聞き取って上げてください。



応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年01月23日 00時07分07秒
2005年01月14日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法


民法家族法編 第2章 相続分野

6承認・放棄

相続においては、通常は土地や財産を得られますから相続を承認するのが普通です。

第九百二十条  
相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

当たり前じゃないかと思うかもしれません。
しかし。もう一度条文をご覧下さい。
「権利義務を承継する」となっていることにお気づきですか。
相続と言うのは財産を得るだけでなく、死んだ人の義務も得てしまうのです。
ということは、もし死んだ人が借金を背負っていたらその相続人は借金を背負ってしまうのです。
死んだ親の借金は子の借金ということになります。それでいいじゃないかとお考えかもしれませんが、親は子の知らないところで借金できるのですから、自分の知らないうちに借金が増えていくのではたまったものでは有りません。
なので、借金を背負わないようにする方法があります。
それが、相続の放棄です。

第九百三十八条  相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

第九百三十九条  相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかつたものとみなす。

このように、相続の放棄をすれば自分は相続人でなかったことになり、借金を相続させられることはなくなります。
ただし、いつまでも放棄が出来るとすると借金取りは誰に請求したらいいのか分からなくなりますので、放棄については時間制限があります。

第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があつたことを知つた時から三箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

「相続の開始」を知ってからから3ヶ月以内に相続放棄の手続をしなくてはなりません。
そして相続は財産をもった人が死亡した時に開始されますから、ほとんどの場合財産をもった人が死亡したことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄をしなくてはなりません。もししないと、相続を承認したことになり、財産と同時に借金も相続したことになります。

ここで注意していただきたいのは、借金の存在を知ってから3ヶ月以内ではないということです。あくまで死亡を知ってから3ヶ月以内なのです。
とすると、実際に次のような事件が起こりえます。

例えば、妻のある清水君が500万円の遺産を残して死亡しました。残された妻は泣く泣くも清水君の財産を相続して、新しい生活をはじめました。
ところがその3ヵ月後、突然、蒲原達樹がやってきて、「清水君に1000万円貸していた。そこで、相続を承認した清水君の妻よ、1000万円返してくれ」と言ってきたのです。
清水君の妻は借金があることを知らなかったばかりに相続放棄の手続をとらなかったため、1000万円の借金を背負ってしまいました。つまり、差し引きでマイナス500万円となってしまったのです。

どうでしょう。清水君の奥さんはかわいそうですね。「相続放棄をすればいいじゃないか」とお考えの方もいるでしょう。しかし、蒲原が登場した時期をご覧下さい。
清水君の死亡から「3ヵ月後」なのです。
そう、相続放棄の時間制限をすぎており、もはや清水君の奥さんは
相続放棄したくてもできなかったのです。
もし、借金があることを知っていれば相続放棄をしてプラスマイナス0円に出来たのに、相続放棄をしなかったのでマイナス500万円となってしまいました。
蒲原がもっと早く登場していれば、清水君の奥さんは相続放棄出来たのに・・・。

あれ?蒲原はもっと早くに請求できなかったのでしょうか。
実は、蒲原は相続放棄されたくないばかりにあえて3ヵ月後に現れたのです。
別に清水君の死亡を知ったのがたまたま3ヵ月後だったのではありません。借金取りからすれば、相続放棄されるとお金が返ってこなくなる危険があります。なので、借金取りとしては、相続放棄をせず、相続を承認した上で相続人に借金を払ってもらいたいと考えるのです。
ですから、借金取りはあえて相続放棄の時間制限内には登場せず、相続放棄の時間制限がすぎてから登場するのです。

そうはいっても、遺族からすれば知らなかった借金を突然払わされるのですから、非常に困ります。
そこで、判例(最高裁昭和59年4月27日判決 )によりますと、借金の存在を知らないことに相当の理由があれば借金の存在を知ってから3ヶ月となる場合があります。
しかし、「相当の理由」という抽象的な文言でお分かりの通り、実際にはどうなるか分からないというのが実情です。
ですから、家族の死亡で悲しんでいる時にまた心労の種が増え、ご遺族の心労は計り知れない物になります。


とすると、自衛するほうが現実的かもしれません。
つまり、万一これから皆さんのご家族に不幸があった場合は、大至急隠れた借金が無いか調べるようにしてください。大変お辛いとは思いますが、3ヵ月後にもっと辛い思いをすることが無いように借金の有無はお調べください。
また逆に今、借金をなさっている方は、ちゃんと借金の明細を残しておくことです。
たとえ家族にいえない借金だとしても、せめて遺言書と一緒に借金の明細を残しておいてください。
死亡直後に借金が明らかになれば、ご遺族に相続放棄の道があり必要以上にご遺族に苦労をかけることはありません。しかし、相続放棄できなくなってから借金を背負わされたのでは、ご遺族に不要な苦労をかけます。
どうか、自衛手段をとるようにしてください。


応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年01月14日 00時08分57秒
2005年01月11日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法

民法家族法編 第2章 相続分野

5 相続分
(2)例外の場合


死んだ人には子供は居なかったが、孫がいた場合はどうでしょうか。
<図>
死んだ人
 |
 子(既に死亡)
 |
 孫

前回、相続ができるのは配偶者、子、子がいなければ死んだ人の父母、死んだ人の父母もいなければ死んだ人の兄弟姉妹だと申し上げました。そうすると、孫は相続できないようにも思えます。

しかし、これでは不都合でしょう。
というのも孫は普通、子に扶養されています。
ある人が死んだ場合、子がいれば子が財産を相続し、孫はその子が相続した財産で扶養してもらえます。
しかし、子だけが相続できるとすると、ある人が父母なくして死んだ場合、子が既に死亡していると当然子は相続できません。とすると、財産は死んだ人の兄弟姉妹に行ってしまいます。
そうなると、孫は死んだ人の財産で扶養してもらうことが出来なくなります。
孫にとっては自分の親が死んでいて財産状況が厳しいのに踏んだりけったりです。
そこで、そんな不都合を防ぐために孫にも財産が行くようにすることになっています。
これを「代襲相続(だいしゅう・そうぞく)」と言います。

第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
○2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、(中略)、その者の子がこれを代襲して相続人となる。

「被相続人」とは、死んだ人のことです。
死んだ人の財産を相続する人を「相続人」と言いますから、死んだ人は相続される側となりますので、「被相続人」と呼ばれます。
そして、「○2」というところをご覧下さい。
今ご説明したことが条文に書かれていることをわかっていただけると思います。


次に、いくら子供に相続権があるからといって子供が意図的に親を殺害したらどうなるでしょうか。
あるいは、自分の取り分を増やそうと兄が弟を殺害したらどうなるでしょう。
感覚的に相続させるわけには行かなくなるでしょう。
そこで、法律もそんな子供には相続させることを認めません。

第八百九十一条  左に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位に在る者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

しかし、これだけでいいでしょうか。
例えば、サスペンスでありがちな場面として、三人兄弟のうち長男が次男を殺害したとします。
ところが、三男は自分の相続分が増えたのでむしろ長男の行為を歓迎し、特に警察には言いませんでした。
いくら三男は自分が手を下したわけではないとはいえ、こんなあくどい三男を許すわけには行きません。
そこで、自分が手を下していなくても殺害を知って黙っている場合には相続できなくなります。

第八百九十一条  左に掲げる者は、相続人となることができない。
二  被相続人の殺害されたことを知つて、これを告発せず、又は告訴しなかつた者。
但し、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であつたときは、この限りでない。

また、故意に自分に有利な遺言書を書かせた場合もやはり相続させるわけには行きません。
法律もそのように定めています。

第八百九十一条  左に掲げる者は、相続人となることができない。
三  詐欺又は強迫によつて、被相続人が相続に関する遺言をし、これを取り消し、又はこれを変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によつて、被相続人に相続に関する遺言をさせ、これを取り消させ、又はこれを変更させた者

あと、自分に不利な遺言が書かれたことを隠す行為も禁止されています。

第八百九十一条  左に掲げる者は、相続人となることができない。
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


ただし、相続させたくない場合は以上の事柄に限定していいのでしょうか。
例えば、家庭内暴力をする息子などには相続させたくないですが、殺されない限りは法律に当てはまらず、相続されてしまいます。
そこで、自らの意思で相続を封じる手段が必要です。それが「廃除」です。

第八百九十二条
遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があつたときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。


このように家庭裁判所に廃除の請求をして、その請求が通ると廃除された人は一切相続できなくなります。
皆さんもあまり親不孝していると廃除されてしまうかもしれませんよ。







応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング







最終更新日  2005年01月11日 00時39分43秒
2005年01月09日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法

民法家族法編 第2章 相続分野

5 相続分
(1)通常の場合

ちょっと別の話題をしていて、本来の民法編の更新が遅れてしまいました。期待しておられた方、申し訳ございません。
さて、皆さんが一番お知りになりたいところですね。
まずは条文をどうぞ。

第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、左の規定に従う。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。


まず、一というところからご覧下さい。
死んだ人に子供がいる場合は、相続財産は全て子供と配偶者で分けられます。
その割合は、配偶者2分の1で、のこりの2分の1を子供の数で頭割りします。
ただし、子供に非嫡出子が居れば嫡出子と非嫡出子の割合が1:2になるように頭割りされます。
また、子供が既に死亡していても孫が居れば財産が孫に行きます。
(これは後日お話します)
例えば、清水君が600万円の財産を残して死亡したとします。
そのとき、清水君には配偶者と子供3人が居ました。
この場合、配偶者には600万×2分の1で300万が行きます。
そして残った2分の1の300万を子供3人で頭割りします。
この場合は3人なので300万÷3で子供1人あたり100万円が行きます。
しかし、もし子供の内1人が非嫡出子だった場合、嫡出子の相続額:非嫡出子の相続額=2:1になるようにしなくてはなりませんから、嫡出子一人当たり120万、非嫡出子一人当たり60万と言うことになります。


次に、死んだ人に子供や孫が居なくて、死んだ人の親が生きていた場合、相続財産は全て配偶者とその死んだ人の親で分けられます。
その割合は、配偶者3分の2で、のこり3分の1を親で分けます。
例えば、清水君が600万の財産を残して死んだとします。
そのとき、清水君には配偶者と父親が居ました。
この場合、配偶者には600万×3分の2で400万が行きます。
そしてのこり3分の1の200万が清水君の父親に行くのです。

では、死んだ人に子供や孫も親もいなかった場合、もし兄弟姉妹が居れば配偶者と兄弟姉妹で財産を分けます。
その割合は配偶者が4分の3で、のこり4分の1を兄弟姉妹で分けます。
例えば、清水君が600万の財産を残して死んだとします。
そのとき、清水君には配偶者と姉と妹が居ました。
この場合、配偶者には600万×4分の3で450万が行きます。
そしてのこり4分の1を姉と妹で頭割りしますから150万÷2で75万ずつ姉と妹がもらいます。

以上が相続の原則的な場合です。
次回は相続の例外的な場合をお話します。


応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年01月09日 00時07分01秒
2005年01月06日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法


民法家族法編 第1章 親族分野

4 子
(3)養子

今まで申し上げてきた子には、少なくとも母と子には血のつながりがありました。
しかし、実際には子宝に恵まれない場合もあります。
そこで、全く血のつながりの無い人を子供にする手段があります。
これが養子という制度です。
養子も婚姻と同じように新たな親族関係を作り出すものですから、
婚姻と同じように養子の意思と届出だけですることが出来ます。

第七百九十九条  第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組にこれを準用する。
第七百三十九条  婚姻は、戸籍法 の定めるところによりこれを届け出ることによつて、その効力を生ずる。


ただし、15歳未満の人はちゃんとした判断が出来ません。
小中学生くらいだと親に怒られた勢いで養子に行きたいなどと言い出しかねません。
そこで、15歳未満の人は自分から養子に行きたいとは言えず、親が代わりに養子の承諾します。

第七百九十七条  養子となる者が十五歳未満であるときは、
その法定代理人が、これに代わつて、縁組の承諾をすることができる。


また、たとえ親の承諾があっても養子に行かせるわけにはいかない場合があります。
例えば、芸者にするために売り飛ばすとか、下男にするために売り飛ばすなど、人身売買目的の養子は阻止しなくてなりません。
しかし、そういう場合は親も金が手に入るので、進んで承諾しかねません。
そこで、そういう場合を防ぐべく、未成年者養子には原則として裁判所の許可が必要となります。

第七百九十八条  
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
但し、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。


さて、このように問題なく養子が成立した場合その子はどうなるのでしょうか。
養子は嫡出子となります。血のつながりが全く無いから何となく非嫡出子ではないかとお考えでしょうが、嫡出子となります。

第八百九条  養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得する。


例えば、清水君と三島さんが結婚し、一子(甲太君としましょう)をもうけました。
その後、清水君夫妻は養子(乙平君としましょう)を取ったとします。
そうすると、甲太君も乙平君も清水君の嫡出子ですから、
甲太君も乙平君も同額の相続分となります。





応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング






最終更新日  2005年01月06日 00時03分02秒
2005年01月03日
テーマ:法律(465)
カテゴリ:民法

民法家族法編 第1章 親族分野

4 子
(2)婚姻関係に無い女性に産まれた子

婚姻関係に無い女性が子供を出産した場合、どうなるのでしょうか。
出産した女性は出産した子が自分の子であるとわかってますから、
当然に母子関係を発生させてもいいでしょう。

では父親は誰でしょうか。実際には女性は一人で子供を産めませんから絶対に父親がいるはずです。しかし、婚姻していない以上、誰が父親なのかわかりません。
ということは、婚姻関係に無い女性に産まれた子には法律上の父親は不存在と言うことになります。

しかし、内縁関係にある場合など、実際には父親がわかっている場合が珍しくありません。そこで、父親であろう者が自発的に自らが父親であることを認める手段があります。
それが、「任意認知」です。

第七百七十九条  嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

しかし、たとえ実際には父親が分かっていても養育費を払うのが嫌になってしまい父親が認知してくれない場合もあります。そんな身勝手は許されません。
なので、任意に認知してくれない父親に対しては裁判で強制的に認知させます。
これを認知の訴えと言います。

七百八十七条  子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴を提起することができる。
但し、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

「直系卑属」と言うのは難しいので無視して結構です。
「法定代理人」と言うのは法律上の親ですから、ここでは母親の事を言います。
つまり、子自身やその母は、父親であろう者に対して強制認知させて法律上の父親になってもらうことができるのです。

さて、任意認知にしろ、強制認知にしろ、認知された子は嫡出子に
なるのでしょうか。
そこで、もう一度嫡出子とは何か考えてください。
嫡出子とは婚姻関係にある男女間に産まれた子を言います。
つまり、母も父も確定したとしても父母が婚姻していない以上、嫡出子と呼ぶことは出来ません。
なので、嫡出子に非ずということで、非嫡出子と呼ばれます。
例えば、婚姻関係に無い清水君と三島さんが関係を持って、三島さんに子供が生まれたとします。
そして清水君はその産まれた子が当然自分の子だろうと思って任意認知をしました。
そうすると、産まれてきた子の母は三島さんであり、父は清水君ですが、三島さんと清水君は婚姻関係に無い以上、産まれてきた子は非嫡出子です。
そして、非嫡出子となると、相続分が半分になる場合があります。

ちなみに清水君が任意認知せず、強制認知を受けなかった場合、たとえ清水君が科学的にその子の父だとしても、法律上は赤の他人と言うことになります。

となると、不都合が出てきますね。
例えばできちゃった婚の場合はどうなるでしょう。
できちゃった子は婚姻前に生まれた子ですから、婚姻関係にある男女間に産まれた子ではなく、嫡出子とは呼べなくなり、非嫡出子となります。
そうすると、婚姻後に産まれた第二子は婚姻関係にある男女に産まれた子ですから、嫡出子となります。
従って第一子は非嫡出子で、第二子は嫡出子となってしまいます。
これでは同じ父母から産まれた兄弟姉妹で相続分が変わってしまい不都合です。
そこで、第一子も嫡出子にする手段があります。
それを「準正」と言います。
できちゃった婚であっても、男が認知していて、出来ちゃった子が非嫡出子となっていれば、婚姻と同時に子が嫡出子となるのです。

第七百八十九条  父が認知した子は、その父母の婚姻によつて嫡出子たる身分を取得する。


これで、できちゃった婚であっても出来ちゃった子が嫡出子となるのです。
皆さん、ご安心ください。






最終更新日  2005年01月03日 00時41分03秒

全68件 (68件中 21-30件目)

< 1 2 3 4 5 6 7 >


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.