4-4-2 恐喝罪その2
突然「4-4-2」と来て一体何のことだとお思いでしょう。これは刑法各論の番号です。つまり、刑法各論第4章 財産に関する罪 恐喝罪の続きだと思ってください。何故、恐喝罪の続きをやろうと思ったと言いますと、ある映画俳優さんが出演料を脅し取ろうとしたということで、恐喝罪で逮捕されたからです。つまり、この逮捕をきっかけにちょっと恐喝罪について補足させていただきたいと思ったのです。前回、恐喝罪について書いた時には、恐喝罪は「いわゆるカツアゲと同じだ」と申し上げました。これが恐喝罪の基本形なので、基本しか扱わないこのブログではこれで十分かと思っていました。そうすると逮捕された映画俳優さんは、まるで出演料名目でお金を脅し取ったのだと誤解なさってしまうかと思います。しかし、恐喝罪はカツアゲの場合にのみ成立するわけではありません。というのも、自分の正当な権利を主張するために脅し文句を使っても恐喝罪は成立します。個人の財産を保護するためには、理由が何であれ、脅してお金を渡させてはいけないという理由からです。(最判昭和30年10月14日)例えば、蒲原達樹が清水君に100万円を貸したにも関わらず一向に返してくれないという事情があったとしても、蒲原達樹が「清水君、お金を返してくれないなら暴力団に取り立てに行ってもらいますよ」と言って返済をせまると、たとえ蒲原達樹が借金分の100万円しか取り立てなくても恐喝罪になります。ですから、逮捕された映画俳優さんも、正当な出演料を請求しようとして口が滑ってしまった可能性が充分あります。逮捕段階では刑事訴訟法の理念から何も断定できないのはもちろん、今後裁判がなされて逮捕された映画俳優さんが仮に有罪になったとしても、別にカツアゲをしたわけでなく、正当な権利を主張しようとしてその手段を誤ってしまっただけの可能性がありますので、今後もニュースを注意深くご覧頂きたいと思います。これでお分かりいただけますとおり、正当な権利の行使でも手段を誤れば恐喝罪です。例えば、借金の催促でも脅すような行為をすれば恐喝罪となります。もし脅すような取立を受けている場合は警察や弁護士に相談なさってください。特に相手が業者の場合は、様々な法律で取り立ての手段を規制していますので、たとえ恐喝罪にはならなくても何かの法律に触れる可能性はあります。特に近頃は、借金の苛酷な取立で命を絶ってしまう方がいるようです。人を自殺に追い込むような取立は恐喝罪に当たるような取立てだった可能性があります。追い詰められる前に相談なさってください。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング