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法律なんて怖くない!

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倒産法

2008年08月10日
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カテゴリ:倒産法


昨日で要件事実が終わりましたが、破産法がまだ終わってませんでした。
先に破産法の続きをするべきでしたね。
申し訳ありません。

破産法編第14章 相殺

最後の章となりました。
最後は相殺です。以前,民法編で相殺を扱ったとき,相殺は,お互いの債務をチャラにする制度であって,お互いが義務を履行する面倒臭さを無くす制度だと申し上げました。
例えば清水君があなたに1000万円の不動産を売り,あなたが清水君に1000万円を貸したとき,お互いが現金1000万円を準備して交換するのは無意味ですし面倒臭いので,ひとこと「相殺する」とさえ言えばお互いが払ったことにしてしまうのが相殺です。

ですが,今は,相殺は単に面倒臭さを無くす制度ではなく,担保としての機能が期待されています。
例えば,先ほどの例ですと,あなたは清水君に1000万円貸す時に,「清水君が本当に1000万円を返してくれるか不安だな。でも,いざとなったら不動産の代金と相殺してしまえばいいや」と考えるでしょう。

このように,相殺も担保としての機能があるため,抵当権をはじめとする別除権と同様に,破産でも相殺は重要視されるわけです。
そして,破産法においては,相殺はかなり強力に認められています。

(相殺権)
第六十七条  破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。
2  破産債権者の有する債権が破産手続開始の時において期限付若しくは解除条件付であるとき、又は第百三条第二項第一号に掲げるものであるときでも、破産債権者が前項の規定により相殺をすることを妨げない。破産債権者の負担する債務が期限付若しくは条件付であるとき、又は将来の請求権に関するものであるときも、同様とする。


民法上の相殺は,双方の債務が履行期にあることが必要ですが,破産においては期限未到来でもかまいませんし,解除条件がついていてもかまいません。
じゃあ,停止条件はどうなるんだとお考えでしょう。停止条件つき債権の場合,現在は債権を請求できる状況に無いので,相殺は出来ませんが,停止条件が成就次第相殺できるように,その分のお金を取っておくように請求できます。

(停止条件付債権等を有する者による寄託の請求)
第七十条  停止条件付債権又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。


これだけ強力な相殺なので,上手く債権を操作して相殺したくなる人がいます。それは許されないので,破産法71条・72条で相殺禁止規定がおかれています。

(相殺の禁止)
第七十一条  破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一  破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
二  支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三  支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四  破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。

2  前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一  法定の原因
二  支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
三  破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
第七十二条  破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一  破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
二  支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三  支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四  破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2  前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一  法定の原因
二  支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三  破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
四  破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約


条文自体は分かりやすく出来ているのですが,自分が71条を適用されるのか,72条を適用されるのか混乱しがちなので,ご注意ください。

これで、破産法編も終わりです。
破産法は飛び飛びになってしまい、申し訳ありませんでした。



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最終更新日  2008年09月22日 20時41分21秒


2008年07月29日
カテゴリ:倒産法


随分間が開いてしまいました。この記事は、13章の2の続きです。

まず,こんな問題があります。
清水君が,(株)清水工業という会社を経営しているとします。
そして,(株)清水工業が〇×銀行から借金をする際に,清水君が保証人になったとしましょう。
この保証は無償行為否認できるでしょうか。

実質的に見れば,(株)清水工業は清水君のものであり,(株)清水工業が,貸し金という利益を得ている以上,少なくとも無償ではないように思えます。
しかし,法的に言えば(株)清水工業と清水君は別個でありますから,清水君の債権者としては,否認して欲しいところです。
そこで,判例(最判昭和62年7月3日)は以下のように判断し,否認を認めました。つまり,(株)清水工業と清水君はあくまで別個だとしたわけです(改行は引用者)。


破産者が義務なくして他人のためにした保証若しくは抵当権設定等の担保の供与は、それが債権者の主たる債務者に対する出捐の直接的な原因をなす場合であつても、破産者がその対価として経済的利益を受けない限り、破産法七二条五号にいう無償行為に当たるものと解すべきであり(大審院昭和一一年(オ)第二九八号同年八月一〇日判決・民集一五巻一六八〇頁参照)、
右の理は、主たる債務者がいわゆる同族会社であり、破産者がその代表者で実質的な経営者でもあるときにも妥当するものというべきである。
けだし、同号にいう無償行為として否認される根拠は、その対象たる破産者の行為が対価を伴わないものであつて破産債権者の利益を害する危険が特に顕著であるため、破産者及び受益者の主観を顧慮することなく、専ら行為の内容及び時期に着目して特殊な否認類型を認めたことにあるから、
その無償性は、専ら破産者について決すれば足り、
受益者の立場において無償であるか否かは問わないばかりでなく、破産者の前記保証等の行為とこれにより利益を受けた債権者の出捐との間には事実上の関係があるにすぎず、
また、破産者が取得することのあるべき求償権も当然には右行為の対価としての経済的利益に当たるとはいえないところ、
いわゆる同族会社の代表者で実質的な経営者でもある破産者が会社のため右行為をした場合であつても、当該破産手続は会社とは別個の破産者個人に対する総債権者の満足のためその総財産の管理換価を目的として行われるものであることにかんがみると、
その一事をもつて、叙上の点を別異に解すべき合理的根拠とすることはできないからである。


次に,否認権を行使したらどうなるかという問題があります。
一応条文があります。

(否認権行使の効果)
第百六十七条  否認権の行使は、破産財団を原状に復させる。


つまり,破産財団との関係では,財産の現物が破産財団に戻ってくるわけです。ただし,詐害行為取消権と同様に,相対的無効とされています。
また,なんらかの事情で現物返還が不可能な場合,否認権行使時の時価を返還するよう求めます。



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最終更新日  2008年07月29日 08時52分30秒
2008年04月18日
カテゴリ:倒産法



破産法編第13章 2否認権

2偏頗行為否認

今回は,偏頗行為否認です。偏頗行為否認は財産流出を伴わないものの,債権者間の公平を害するので,否認されます。

162条1項1号が,偏頗行為の典型的な条文です。

第百六十二条  次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一  破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
二  破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。



今度は,160条1項とは逆に,「担保の供与又は債務の消滅に関する行為」が対象になります。
要件は,「破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後」に相手方がそれぞれも事実を知っていたこと,となります。ですから,破産者の意図は関係ありません。

ここで注意していただきたいのは,あくまで「既存の債務」についての担保供与や債務消滅です。
ですから,新たに借金をして,その借金に対して担保権を設定することは162条1項に当たりません。担保が設定された分,現金が入ってきて,既存の債権者を害さないので,不公平は生じないからです(これを同時交換的行為と言います)。

これを認めないと会社が傾いた時に緊急融資をしてくれるところがいなくなって,破産しなくてもいい会社を破産に追い込む可能性すらあるからなのです。
判例(最判平成5年1月25日)も認めています(改行は引用者)。

本件においては、本件各貸主からの借入前と本件弁済後とでは、破産者の積極財産の減少も消極財産の増加も生じていないことになる。
そして、破産者が、借入れの際、本件各貸主との間で借入金を被上告人に対する特定の債務の弁済に充てることを約定し、この約定をしなければ借入れができなかったものである上、
本件各貸主と被上告人の立会いの下に借入後その場で直ちに借入金による弁済をしており、右約定に違反して借入金を他の使途に流用したり、借入金が他の債権者に差し押さえられるなどして右約定を履行できなくなる可能性も全くなかったというのであるから、
このような借入金は、借入当時から特定の債務の弁済に充てることが確実に予定され、それ以外の使途に用いるのであれば借入れることができなかったものであって,破産債権者の共同担保となるのであれば破産者に帰属し得なかったはずの財産であるというべきである。
そうすると、破産者がこのような借入金により弁済の予定された特定の債務を弁済しても、破産債権者の共同担保を減損するものではなく、破産債権者を害するものではないと解すべきであり、右弁済は、破産法七二条一号による否認の対象とならないというべきである。


次に2号をご覧下さい。
2号は,行為自体が義務ではない物(例=担保の供与)・時期が義務でない物(例=期限前の弁済)については,支払不能前といえども支払不能30日以内であれば否認しうるとしています。

これも脱法行為を防ぐためとされています。例えば,弁済期まで待っていると支払不能になって偏頗行為否認されかねないからとして,期限前弁済をして162条1項1号の適用を免れるのを防ぐわけです。



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最終更新日  2008年04月19日 09時07分12秒
2008年04月15日
カテゴリ:倒産法


破産法編 第13章 1否認権

1詐害行為否認

今までは,破産手続開始決定時の破産者の財産がどう扱われるかということを前提にお話してきました。しかし,破産手続開始決定時の破産者の財産以外でも破産財団に組み込むべき場合があります。

例えば,破産手続開始決定直前に,誰かに不動産を譲渡した場合などです。
そういう場合は,債権者を害するので,譲渡の効果を認めないようにする必要があります。
これを「否認権」と呼びます。

そして,否認権とは,詐害行為否認(さがいこういひにん)・偏頗行為否認(へんぱこういひにん)に分けられます。

詐害行為否認とは,破産者が債権者を害することを知りながら,破産前にした行為(これを詐害行為といいます)で,受益者(相手方)も悪意である場合には否認できるとするものであります。
これは,破産財団を流出させるので,否認されます。

偏頗行為否認とは,破産者が支払不能後や破産申立前後の一定の時期において,債権者を害する行為をした場合,破産者がどう思っていようと,受益者の悪意だけで否認できるものです。
この場合は,必ずしも破産財団を流出させるものではありませんが,債権者の平等を害するので否認されます。

ではまず,詐害行為否認から見ていきましょう。

(破産債権者を害する行為の否認)
第百六十条  次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一  破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
二  破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。


160条1項1号が詐害行為否認の典型的な条文です。
まず,柱書を見ていただければ分かりますとおり,「担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く」と有りますとおり,担保の供与や債務の消滅は160条1項には当てはまりません。
担保の供与は,例えば抵当権設定をいい,財産は流出していません。債務の消滅は,例えば弁済をいい,一見財産が流出したように見えますが,その分借金が減るので,結果的にプラスマイナス0で財産は流出していません。
ですから,詐害行為否認にはならないのです。(ですが,不公平に担保を設定したり,弁済したりすれば,後に申し上げる偏頗行為否認にはなりえます)

さて,債務の消滅行為が詐害行為否認にならないからといって,1000万円の債務に対して1500万円支払ったら,財産は流出したことになります。そこで,債務の額を上回った分については,詐害行為否認の対象となります。

第百六十条
2  破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。


また,無償で何かをあげることは財産流出はなはだしいので,破産者・受益者の両方の意図に関係なく,否認されます。これを特に無償行為否認と呼びます。

第百六十条
3  破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。



ちなみに,「同視すべき有償行為」が含まれているのは,0円だと明らかに「無償行為」になるからといって,1円で売ったことにして160条3項の適用を免れて,脱法行為されるのを防ぐためだと思われます。

さて,不動産を無償や不当に安い価格で売ると160条3項の適用がありますが,適切な価格で売却する場合はどうなるのでしょうか。プラスマイナス0ではないかとお考えでしょうが,不動産を,消費隠匿しやすい現金に変える事は財産の減少行為として考えられてきたのです。
例えば,私が1000万円を隠せと言われたら,それなりのことは出来るかも知れませんが,1000万円の不動産を隠せと言われても,どうして良いか分かりません。

しかし,例えば経営に行き詰った会社が,遊んでいる不動産を売って資金にするということは別に責められる行為ではないですし,仮に一切ダメとなると本来立ち直れたはずの会社を破産に追い込むことになりかねません。
そこで,以下の条文があります。

(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
第百六十一条  破産者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一  当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、破産者において隠匿、無償の供与その他の破産債権者を害する処分(以下この条並びに第百六十八条第二項及び第三項において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
二  破産者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三  相手方が、当該行為の当時、破産者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。


この3つの要件を満たさないならば,否認されないということです。








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新・破産から民法がみえる

この本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。
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最終更新日  2008年04月15日 12時12分29秒
2008年04月14日
カテゴリ:倒産法


破産法編第11章 1請負

請負と言うと耳慣れないかもしれませんが,「下請」と言う言葉がありますよね。「下請」と言うのは「下請負」の略ですから,実は請負契約というのは意外と用いられているようです。

例えば,〇×建設から,鳶職の清水君が住宅建築を請け負ったという事例で考えましょう。この場合,〇×建設は「注文者」,清水君は「請負人」と呼ばれます。

では,〇×建設が破産した場合,つまり注文者が破産した場合はどうなるでしょうか。
破産法には特に条文がありませんので,双方未履行であれば,53条が適用されることになるのでしょうか。
ということは,〇×建設の破産管財人が履行を選択すれば清水君は住宅を完成させなければならないことになります。

そうすると,清水君は注文者が破産しているのに,住宅を完成させなければなりません。
これでは,清水君は,代金が入るかなんとなく不安なわけです。
そこで,民法において,請負人に解除権を認めています。

(注文者についての破産手続の開始による解除)
民法第六百四十二条  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。


では,もし民法642条で解除されたらどうなるのでしょうか。
もちろん,清水君が何も仕事に取り掛かっていなかったら,特に問題はありません。

問題は途中まで住宅が完成した場合です。
「解除」と言うことは,原則は原状回復なので,途中まで完成した住宅を壊して更地に戻し,戻す費用などは損害賠償として請求するようにも思えます。
しかし,これは無駄だと言うのは明らかですよね。

そこで,判例(最判53年6月23日)は以下のように考えています。
「請負契約が民法642条1項の規定により解除された場合には,請負人はすでにした仕事の報酬およびこれに包含されない費用につき,破産財団の配当に加入することができるのであるが,すでにされた仕事の結果は破産財団に帰属すると解するのが,相当である」つまり,全部解除というよりは,未完成部分につき解除すると言うイメージですね。

では,請負人が破産したらどうなるでしょうか。
これについては,破産法にも民法にも条文がありません。
ということは,53条によって処理することになります。
ただし,判例においては(最判62年11月26日)破産者以外の者において完成することが出来ない性質の請負であれば,53条は適用されないものとされています(改行は引用者)。

法五九条は、請負人が破産宣告を受けた場合であっても、当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、右契約について適用されるものと解するのが相当である。

けだし、同条は、双務契約における双方の債務が、法律上及び経済上相互に関連性をもち、原則として互いに担保視しあっているものであることにかんがみ、双方未履行の双務契約の当事者の一方が破産した場合に、法六〇条と相まって、破産管財人に右契約の解除をするか又は相手方の債務の履行を請求するかの選択権を認めることにより破産財団の利益を守ると同時に、破産管財人のした選択に対応した相手方の保護を図る趣旨の双務契約に関する通則であるところ、

請負人が破産宣告を受けた場合に、請負契約につき法五九条の適用を除外する旨の規定がないうえ、
当該請負契約の目的である仕事の性質上破産管財人が破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、同条の適用を除外すべき実質的な理由もないからである。

原判決が説示するように、同条の適用のない請負契約について法六四条を適用することができ、その適正な運用によりある程度妥当な解決を図ることが可能であるとしても、破産財団の都合等により請負契約の目的である仕事を完成することができないときには、注文者の保護に欠けるところが大きいので、右のことをもって法五九条の適用を否定する根拠とすることはできないというべきである。

 そうすると、本件契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないものでない限り、本件契約については法五九条が適用され、本件契約が解除されたものとされる場合には、上告人は支払ずみの請負報酬の内金から工事出来高分を控除した残額について、法六〇条二項に基づき財団債権としてその返還を求めることができるものというべきである



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最終更新日  2008年04月14日 14時30分35秒
2008年04月13日
カテゴリ:倒産法


破産法編第10章 2賃貸借契約

2賃借人の破産

前回は賃貸人の破産をやりましたので,今回は賃借人の破産をやります。
賃借人破産の場合,つまりあなたが破産してしまった場合はどうでしょうか。
ただ,前提として,破産と言っても賃料だけは何とか支払っていたことを想定してください(未払い賃料が多額であることを理由に解除されるのは破産法以前の話です)。

さて,賃借人破産の場合は,56条のような条文がありません。
ということは,53条が適用されることになります。

当たり前じゃないかとお考えでしょうが,昔は,賃貸人も解除できると言う条文があったので,いろいろ揉めていたのです。今までは一応賃料を払ってきたのに,財産的価値のある賃借権が失われることによる破産財団に損失が発生し,賃借人の営業・生活の基盤が失われるのは賃借人の害し,適切でないですし,賃料は財団債権という最優先の債権になるので賃貸人の害は大きくありません。
ということで,賃貸人に解除権を認めた条文は削除されましたので,53条が適用されることになります。

つまり,破産管財人が賃貸借契約を解除するか履行するか決めるというわけです。
「解除したって,1円も入ってくるわけじゃないから,きっと履行選択されるだろう」とお考えでしょうが,一つお忘れではありませんか?
あなたが差し入れた敷金です。敷金は賃貸借契約を解除すれば返ってくるので,敷金は破産財団として債権者に配当しなくてはなりません。
ただし,敷金が安い場合は,破産管財人が放棄してくれたり, 敷金相当額を自由財産からひねり出すことによって解除をしないでもらうと言うことはありうるようです。

さて,敷金はけりがついても,まだ安心できません。賃貸借契約においては,賃借人に賃借権が発生し,意外と高い価値が認められることがあります。
有名なのは借地権ですね。借地権は地価の50%~80%位の価値が認められることがあるので,賃借人はそれだけの財産を持っていることになります。ですから,破産管財人は履行選択をして,賃借権の譲渡をするということもあります。
ですから,土地を借りて,その上に家を建てて住んでいる方は,破産管財人が履行選択をしてくれてもまだ安心できないと言うことです。

ただ,逆に言うと,この2つさえクリアすれば仮に破産しても現在済んでいるところに住み続けることが出来るわけです。



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新・破産から民法がみえる

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最終更新日  2008年04月13日 20時23分01秒
2008年04月12日
カテゴリ:倒産法


破産法編第10章 1賃貸借契約

1 賃貸人の破産

今日は,賃貸借契約です。
賃貸借契約も双務契約なので,破産法53条の適用が有るか無いかを軸に考えて行きましょう。

まず,賃貸人の破産です。
あなたが,清水君からアパートを借りていたところ,清水君が破産してしまったらどうなるでしょうか。
ここで,「そもそも双方未履行なんてあるの?」とお考えでしょうが,将来の賃料を支払う義務と,将来アパートを使わせる義務が未履行状態と考えられます。
賃料を何ヶ月も先払いすることは稀ですし,アパートを使用させる義務はその場その場で履行し,将来分を先に使わせるなんてことは出来ませんよね。

ということは,賃貸人が破産すると,賃借人は賃貸借契約を解除されてしまうのでしょうか。
でも,あなたは全く悪くないのに,相手が破産したからと言って「出て行け」と言われるのは困りますよね。
そこで,こんな条文があります。

(賃貸借契約等)
第五十六条  第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。
2  前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。


賃貸借契約において,「登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件」を備えていれば53条が適用されないということです。「自分は登記していない!」なんて焦らなくても結構です。アパートの場合は引渡を受けていれば,「対抗することができる要件」なのです。

(建物賃貸借の対抗力等)
借地借家法第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。


ちなみに,「登録」と言うのは,知的財産のライセンス登録を想定していると聞きます。
知的財産のライセンスを使用していたら,ライセンスを与える側(ライセンサー)が破産して「解除」だなんて言われたら困りますよね。

次回は,賃借人の破産についてやります。



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最終更新日  2008年04月12日 08時26分37秒
2008年04月11日
カテゴリ:倒産法


破産法編第9章 2双務契約と同時履行

2 53条にまつわる論点

前回は、破産法53条についてお話しました。

(双務契約)
第五十三条  双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2  前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。


破産法53条で問題になるのは,何をもって「履行」とするかです。
例えば,所有権留保契約において,「所有権が移転していないから未履行だ」とするのはどうでしょうか。
所有権留保契約において所有権というのはもはや理論上留保されているにすぎず,物自体はもう買主に渡っているのです。
ですから,裁判例(大阪高判59年9月27日)も「売主は契約に基づく債務を全て履行しており,ただ,売買目的物の所有権を留保しているものの,買主の売買代金完済という条件にかかわらせており,右条件成就により,留保された所有権移転の効果が生じ,改めて所有権留保売主の所有権移転行為を必要とするものではない」として,双方未履行性を否定しています。

あと,双方未履行契約でありながら,解除を認めなかった判例もあるので,注目です。
最判平成12年2月29日判例です。ゴルフ会員が破産した場合,ゴルフ会員契約を解除できるかが争いとなりました。ゴルフ会員の使用料金支払義務と,経営会社のゴルフ場を使用させる義務が双方未履行と考えられたのです。(中略・改行は引用者)


「破産法五九条一項が破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務がある場合に破産管財人が契約を解除することができるとしているのは、契約当事者双方の公平を図りつつ、破産手続の迅速な終結を図るためであると解される。そうすると、破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は同項に基づく解除権を行使することができないというべきである。

この場合において、相手方に著しく不公平な状況が生じるかどうかは、
解除によって契約当事者双方が原状回復等としてすべきことになる給付内容が均衡しているかどうか、
破産法六〇条等の規定により相手方の不利益がどの程度回復されるか、
破産者の側の未履行債務が双務契約において本質的・中核的なものかそれとも付随的なものにすぎないかなどの諸般の事情を総合的に考慮して決すべきである。

 そこで、被上告人が本件会員契約を解除することにより上告人に著しく不公平な状況が生じるかどうかについて検討する。
 (中略)
 預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合、これを理由にその破産管財人が破産者の会員契約を解除できるとすると、ゴルフ場経営会社は、他の会員との関係からゴルフ場施設を常に利用し得る状態にしておかなければならない状況には何ら変化がないにもかかわらず、本来一定期間を経過した後に返還することで足りたはずであり、しかも、当初からゴルフ場施設の整備に充てられることが予定されていた預託金全額の即時返還を強いられる結果となる。
(中略)
その一方で、破産財団の側ではゴルフ場施設利用権を失うだけであり、殊更解除に伴う財産的な出捐を要しないのであって、甚だ両者の均衡を失しているといわざるを得ない。

ゴルフ場経営会社が、会員契約の解除によって生じる右のような著しい不利益を損害賠償請求権として構成し、これを破産法六〇条により破産債権として行使することで回復することは、通常は困難であるというべきである。

 また、会員契約の成立により、会員は所定の年会費の支払義務を負うこともあるが、その場合でも一般に年会費の額は預託金の額に比べると極めて少額であり、ゴルフクラブによっては会員に年会費の支払義務がない例があることも公知の事実である。そうすると、本件会員契約のように会員に年会費の支払義務がある場合においても、その義務は、会員契約の本質的・中核的なものではなく、付随的なものにすぎない。
(中略)
  これらにかんがみると、被上告人が本件会員契約を解除するときは、これにより上告人に著しく不公平な状況が生じるということができるから、被上告人は、破産法五九条一項により本件会員契約を解除することができないというべきである。」


ということです。53条が必ずしもいつも適用されるわけではないことを覚えて置いてください。




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【参考本】


新・破産から民法がみえる

この本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。
民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。






最終更新日  2008年04月11日 07時55分44秒
2008年04月10日
カテゴリ:倒産法


破産法編第9章 1双務契約と同時履行

1 双方未履行契約

双務契約とは、契約によって当事者の双方がお互いに対して債権をもち、債務を負うものをいいます。双方が義務を負うので双務契約と言います。
といっても,難しいものではありません。皆さんが普通想像する契約は大体双務契約です。
例えば,売買契約は,買主が代金支払義務を負い,売主が目的物引渡義務を負うので双務契約です。
あとは,賃貸借、雇用も双務契約ですから,大体双務契約のイメージは持っていただけると思います。

今回は,この双務契約と破産についてお話します。

さて,まず売主と買主のどちらか一方が義務を果たしたのに,どちらかが破産してしまった場合はどうなるでしょうか。
売主が物を引き渡したのに,買主が破産してしまった場合は,売り掛け先が破産したというよくある話で,売主は,債権者として破産手続に参加します。
買主がお金を支払ったのに,売主が破産してしまった場合は,売主は「この物は私が買ったものだから取り戻させろ」といえばいいわけです。
いずれにせよ,今までやった破産法の知識で処理できます。

では,双務契約で,双方とも未履行だったらどうなるでしょうか。
理論上は,どちらか一方が未履行で破産した場合の組み合わせで処理すれば良いようにも思えます。

しかし,考えていただきたいのですが,あなたがあるパソコンショップの通信販売でパソコンを買う契約を結んだところ,お金を払う前にそのパソコンショップが潰れ,パソコンも届かなかったという場合,どうしたいですか?
「別の店で買おう」と思うことが多いと思います,面倒臭い思いをして,破産手続に関わっていきたくないですよね。

ということで,双務契約で,双方未履行の場合は,破産管財人には契約解除権がありますし,相手方は解除の催告権が発生します。

(双務契約)
第五十三条  双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2  前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。


つまり,あなたは破産管財人が解除してくれるのを待ち,何も言ってこないなら「解除するのかしないのかはっきりしてくれ」と管財人に訴えるわけです。(普通は解除してくれると思いますが,もし「解除しない」と言われたら諦めてください)

しかも,解除によって何か損害が発生した場合は,損害賠償請求も出来ます。

第五十四条  前条第一項又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。
2  前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。


このように,双務契約で双方未履行の場合の時に何故このような例外があるのかとお考えでしょう。
もし,双方未履行の時にも今までの破産法の原則に従って処理すると,破産者からはほんの僅かしか返ってこないのに,破産者の相手方は全部の履行を求められるからです。

例えば,清水君があなたからパソコンを買う契約をしたものの,代金もパソコンの引渡も無いのに,清水君が破産したとします。
そうすると,清水君は破産している以上,あなたの売買代金は数%しか返ってきませんが,パソコンは既に清水君のものなので,清水君(の破産管財人)にパソコンを渡さなければなりません。これは不公平ですよね。
本来,民法ではそういうことが無いように同時履行の抗弁権を認めて,売主買主の両者が相互に担保視しあって,両者の公平に反します。
そこで,破産法でも53条のような例外を設けたのだと考えられています。

次回は,53条にまつわるお話をします。


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【参考本】


Cーbook倒産法

この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。






最終更新日  2008年04月10日 08時03分30秒
2008年04月09日
カテゴリ:倒産法


破産法編第8章 2連帯保証・保証

2 附従性

保証人というのは,お金を借りた人(=主債務者)を担保する人ですから,保証人の負う責任は,主債務者を超えることはありえません。

例えば、清水君が草薙氏から1000万円借りた時に,あなたが保証人になった場合,あなたは1000万円を限度に責任を負い,あなたが2000万円の責任を負うことはありえません(安い分にはかまいません。「1000万円は無理だが,500万円なら保証できる」という場合もありうるからです)。これを保証債務の附従性といいます。

ですから、もし,他の人が肩代わりしてくれたなど,何かの理由で清水君の借金が0円になった場合,あなたが1000万円を現実に支払っていなくても,附従性により,もうあなたは何の責任も負いません。
あくまで,あなたは清水君の借金について責任を負っているだけなのです。

まあ,当たり前じゃないかと思われるでしょう。
では,その0円になった理由が破産手続による免責だったらどうなるでしょうか。
0円は0円だから,あなたはもう責任を負わないとも思えますが,そもそも保証とは,主債務差者が破産した場合に備えてつけるものですから,これでは保証の意味がなくなってしまいます。
そこで,免責においては,附従性が主張できないとされています。

(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条  
2  免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。


判例(最大判昭和45年6月10日)も,253条2項が附従性の例外規定であることを認めています。
「保証人等の負担する債務および責任は,会社債権者の債権を人的に保証して,債権者が会社から完全な満足を受けられない場合に備えることをその主要な目的とするものであり,会社が窮境に陥った場合にこそ,その担保としての公用を果たすべきものである」

別の話題ですが、以下のような判例(最判昭和62年6月2日)もありますので,余裕のある方はご覧下さい。

数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において(以下、全部の履行をする義務を負う者を「全部義務者」という。)、その全員又は一部の者が和議開始の決定を受けたときは、和議開始決定時における当該債権の全額を和議債権として届け出た債権者は、和議開始決定後に、当該和議債務者に対して将来行うことのあるべき求償権を有する全部義務者から債権の一部の弁済を受けても、届出債権全部の満足を得ない限り、右債権の全額について和議債権者としての権利を行使することができるものと解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。破産法(以下「法」という。)二四条によれば、数人の全部義務者の全員又は一部の者が破産宣告を受けたときは、債権者は破産宣告の時に有した債権の全額について、各破産財団に対して破産債権者としての権利を行うことができるのであるから、破産宣告の債権の全額を破産債権として届け出た債権者は、破産宣告後に全部義務者から当該債権の一部の弁済を受けても、届出債権全部の満足を得ない限り、なお右債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができるものと解される。そして、債権者が債権の全額につき破産債権者としての権利を行使した場合に,破産者に対して将来行うことのあるべき求償権を有する全部義務者が弁済したときは、「其ノ弁済ノ割合ニ応シテ債権者ノ権利ヲ取得ス」との法二六条二項の規定は、将来の求償権を有する複数の全部義務者による一部ずつの弁済により、又は右の弁済と破産財団からの配当とにより、届出債権全部を満足させてなお配当金に余剰を生じた場合に、右余剰部分について、右全部義務者が各自の弁済額の割合に応じて債権者の権利を取得する旨を定めたものと解すべきである。けだし、同項が債権の一部を弁済したにすぎない全部義務者において直ちに届出債権額に対する弁済額の割合に応じて債権者の権利を取得する旨を定めたものと解すれば、債権者が届出債権全部の満足を得られない場合にも、残債権につき履行する義務を負つている右全部義務者が前記の割合に応じて債権者の権利を取得し破産債権者としての権利を行使しうることとなり、債権者を害する結果となつて妥当でないからである。以上に述べたことは、和議法四五条によつて右各規定が和議債権について準用される場合にも異なるところはないというべきである。

※和議とは倒産手続のこと・引用者注


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【参考本】


新・破産から民法がみえる

この本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。
民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。






最終更新日  2008年04月09日 08時11分31秒
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