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法律なんて怖くない!

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民法

2006年11月11日
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カテゴリ:民法



第5章 履行後の問題点その2

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壷にひびが無く、きれいな壷を清水君に引き渡したとします。
しかし、その後でもまだまだ問題は発生しうるのです。
もし、その壷が三島さんの物ではなく、三島さんはただその壷を預かっていただけで、他人(ここでは蒲原達樹としましょう)の物だったらどうなるのでしょうか。

もちろん、三島さんは清水君を騙している場合が多いでしょうから、詐欺(96条)になることが多いです。
しかし、詐欺の場合は契約が取り消せるだけで、それ以外のことはできません。
つまり、96条を使っても壷は返さなくてはならないのです。
この場合、清水君は壷を手に入れられないのでしょうか。
実は壷を手に入れられる場合があるのです。

(即時取得)
第百九十二条 
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

普通の売買は「平穏に、かつ公然と」行われますから、ここは無視して良いでしょう。
「占有」とは、実際に物を手に入れていることを言います。
「動産」とは不動産で無いもの全般をいいます。

善意であり、かつ、過失がないときとは、他人の物であるとは知らなかったし、知らないことについて過失も無かったことを言います。

そう、「善意」とは「知らなかったこと」を言います。
「良かれと思って」と言う意味ではありません。
日常用語とは違うのでご注意ください。
ちなみに、知っていた場合は「悪意」といいます。

売買においてその物が売主のものであると思い込んでいるのが普通ですから、他人物であることを知らなければ過失もないと言っていいでしょう。
つまり、動産の普通の売買で他人物をつかまされたとしても、そのことを知らなかった場合には、買主が権利者となるのです。
これを「即時取得」といいます。

では、もう一度即時取得の要件についてまとめてみましょう。
1、動産であること
(=不動産でないこと)
2、売買などの取引行為によって占有をすること
(=売買などで物を手に入れること)
3、相手方が無権利者であること
(*相手方が無権利者でなければ通常の売買です)
4、平穏・公然・善意・無過失であること

ということは、清水君は壷が蒲原の物であると知らなかった場合、清水君は壷の権利者となり、蒲原から「壷を返せ」と言われても返す必要はありません。

みなさんも安心して売買をしましょう。
ところが、実は例外があるのです。
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さてさて、たとえ壷が第三者(例えば、草薙充)のものであっても、条件を満たせば清水君は壷を手に入れられると先ほど申し上げました。

しかし、これには例外があります。
それは壷が盗品・忘れ物・落し物だった場合です。
条文を見てみましょう。

(盗品又は遺失物の回復)
第百九十三条 
前条の場合において(引用者注・192条「即時取得」のこと)、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。


「遺失物」というのは忘れ物、落し物のことです。
「占有物」というのは、売買等で売られた物、つまりここでは壷を言います。
「被害者又ハ遺失主」というのは文字通り盗みの被害者又は忘れ物・落し物をした人をいいます。
ここでは草薙充のことをさします。

つまり、本件で壷が盗品だったり、落し物だったりした場合は清水君は草薙充から「返せ」と言われたら返さなくてはなりません。

これは、壷が盗まれて、それが売られてた場合、盗まれた人(草薙充)は落ち度が小さいからなのです。
昨日の192条の場合は、勝手に売ってしまうような三島さんに壷を預けたと言う点で草薙充に落ち度があります。
しかし、今日のお話の場合、草薙は自ら管理していて盗まれたのです。この場合、192条に比べて落ち度は小さいと言えるでしょう。

そこで、即時取得の条件がそろっていても、物が盗品や遺失物だった場合には取り返されてしまうのです。

ですから、フリーマーケットや、インターネットオークションで落札するときはできる限り注意してください。



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最終更新日  2006年12月06日 22時40分35秒


2006年11月10日
カテゴリ:民法


第5章 履行後の問題点

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ちゃんと履行したのに問題なんて発生しうるのでしょうか。
実はあるのです。
もし、壷を受け取った後、壷にひびが入っていることに気が付いた場合どうなるのでしょうか。

交換すればいいでしょうか?確かにそうですね。
でも、壷が一品物だったらどうなるのでしょうか。
条文を追っていきましょう。

ここで、ちゃんとした壷を渡してはいないから、期日に壷を引渡したことにはならず、
第4章と同じ状況では?と考えた方、なかなか鋭いです。
しかし、残念ながら間違いです。こんな条文があります。
 
(特定物の現状による引渡し)
第四百八十三条 
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

つまり、物の状態がどのようであれ、そのままの状態で引渡しなさい。というのが法律なのです。
よって、ひびが入っていようとも、物を引き渡したことになります。

ただし、交換ができるときは交換することも判例で認められていますのでご注意ください。
よって交換できない一品物の場合にのみ483条が適用されます。

本件では壷ですから多分一品物ですね。なのでひびが入っていても、ちゃんとした壷を引き渡したことになり"第4章とは違うことになります。

では、清水君は泣き寝入りでしょうか。
多分ひびが入っていないことを前提として値段を決めたので、ひびが入っている分損したことになります。
この損は取り返せないのでしょうか。
そんなことはありません。ちゃんと取り返せる条文もあります。

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条 
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

壷にひびがあることは売買の目的物に隠れた瑕疵があることになります。(「瑕疵」とは「かし」と読み、傷があることをさします)
つまり、壷にひびが入っていることに気が付いた場合、566条が準用されることになります。
では、566条を見てみましょう。

第566条
(前略)買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。



いろいろ書いてありますが、少なくとも損害賠償請求ができそうですね。
よって、清水君は570条・566条によって三島さんに対し損害賠償請求できます。




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最終更新日  2006年12月06日 22時37分20秒
2006年11月09日
カテゴリ:民法



第4章 履行時の問題点

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前回は、契約成立後、壷を引き渡すまでに壷が壊れてしまった場合についてお話しました。今回は、壷が壊れなかった場合についてお話します。


さて、契約が成立して、壷も壊れず履行期日を迎えたとしましょう。


しかし、履行期日を迎えても三島さんは壷を引き渡さない場合がありえます。
あるいは、三島さんは壷を引き渡そうとしても、清水君が「壷の置き場所が無いから今日のところは持って帰ってくれ」と言ったらどうなるのでしょうか。

今日は、三島さんが壷を引き渡さない場合について考えてみましょう。 

実はこの場合に適用される条文は前に出てきています。
415条を見てみましょう。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 
債務者が債務の本旨に従った履行履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。


遅行期日に壷を引き渡さないことは、債務の本旨に従っていないといえます。
よって、履行期日に壷を引き渡さないことは債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときにあたります。
ということは、前にでてきた債務不履行の要件(下の1から3)にあてはまりますね。
1、債務の本旨に従った履行が無いこと。
2、履行が無いことにつき債務者に帰責事由があること
(=履行が無いことが債務者のせいであること)
3、債務の不履行が違法であること
(=債務履行しないことにつき正当な理由が無いこと)

それに、履行の期日に壷を引き渡さないというのは、清水君にとっては壷が壊れたのと変わりません。
なぜなら、壷が壊れるのと壷が引き渡されないというのは、清水君に壷が渡らないと言う点で同じだからです。
従って、履行期日に壷を引き渡さない場合も損害賠償請求できます。

しかし、清水君は「金輪際、期日に遅れるような人と関わりたくない」 と考え、この契約自体を無かったことにしたいと考えることもありえます。
そこで、法律も無かったことにするような制度を定めています。
そう、やはり債務不履行で出てきた「解除」です。

(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。


このように、債務者の三島さんが履行期日に壷を引き渡さないとき、債権者清水君は三島さんに対し損害賠償請求と解除ができます。
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では、逆に三島さんは壷を渡そうとしたけど、清水君が受け取ってくれなかった場合はどうなるでしょうか。
清水君が受け取らなくても、履行期日に壷を清水君に引き渡さなかったことに変わりはありません。
ということは、先ほどと状況は変わらないようにも思えます。
しかし、三島さんはちゃんと履行期日に壷を引き渡そうとしたのですから、 損害賠償請求や解除をされるいわれはありません。
そこで、こんな条文があります。
 
(弁済の提供の効果)
第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。

「弁済の提供」とは契約の物を引き渡そうとする行為をいいます。

つまり、引き渡そうとすれば債務者はそれ以降責任を負わなくて良いのです。
よって三島さんが清水君に壷を引き渡そうとしたのに清水君が受け取らなかった場合、それ以降三島さんは何か不利益を受けることはありません。
このように三島さんはこれ以上出費をすることはありません。

しかし、三島さんにしてみれば、100万円の壷をさらに保管せねばならず、保管費用がかさみます。
そこで、法律は余計にかさんだ保管費用などを債権者に請求できるようにしています。

(弁済の費用)
第四百八十五条 (前略)ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

債権者が受け取らないことによって保管費用がかさむことも「その他の行為によって弁済の費用を増加させたとき」と言えます。
よってその増加した費用は債権者が負担せねばなりません。
この場合では、三島さんが払うことを余儀なくされた保管費用については清水君が払わねばなりません。



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最終更新日  2006年12月06日 22時34分35秒
2006年11月08日
カテゴリ:民法


第3章 契約は問題なく結ばれても・・・の続き

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前回は契約が問題なく結ばれたものの、壷を渡す義務を負っていた三島さんによって壷が壊された場合についてお話しました。
今回は清水君や他の人によって壷が壊された場合についてお話しましょう。
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まず、清水君のせいで壷が壊れた場合、三島さんのせいではないのですから、前回の話のように、三島さんに損害賠償請求できるはずはありません。
では、解除くらいなら認めてもいいのでしょうか。
確かに、壷が壊れたから話を無かったことにしようというのもありえなくもありません。
契約を無かったことにして、三島さんが清水君に改めて壷の代金を弁償してもらえば良いとも思えます。

しかし、三島さんはそれで満足するのでしょうか。
三島さんは普通、壷をお金に代えたくて契約しているのです。
三島さんとしては、「とにかく代金を払って欲しい」と考えるはずです。
そこで、法律も弁償すればよいとは考えず、とにかく予め決めた代金を払うように定めています。


(債権者の危険負担)
第五百三十四条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。

「特定物」というのはかなりややこしいですから論述は避けますが、壷は「特定物」であると考えてください。

債権者のせいで壷が壊れたと言うのは、債務者のせいでなく壷が壊れたと言うことですから、「債務者の責めに帰することができない事由によって滅失又は損傷」したことになります。
そして「債権者の負担に帰する」というのは代金を債権者が負担すると言う意味なのです。そして、債権者とは契約上何かを受け取れる人を言います。
この場合、清水君は壷を受け取れる人ですから、清水君が債権者と言うことになります。
このように債権者たる清水君のせいで壷が壊れた場合、三島さんは清水君に「代金を払え」ということができます。

これを、危険負担の債権者主義といいます。

ま、当たり前といえば当たり前なんですが。
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では、契約時には登場していなかった第三者によって壷が壊されたらどうなるのでしょうか。
蒲原達樹(第三者)のせいで壷が壊れたときは、もちろん、最終的に蒲原達樹に損害賠償請求できます。
蒲原達樹は犯罪者となり弁償できないかもしれません。
そこで、どちらが弁償を受けられない危険性を負うかもかなり問題となるのです。

では、どちらがその危険を負うのが妥当でしょうか。
壷が壊れたのは、蒲原のせいであり、債権者清水君のせいではないし、債務者三島さんのせいでもありませんん。
ですから、どちらのせいかという観点からでは説明できません。
そこで、どちらが損害を負ってもやむを得ないかという観点で考えてみましょう。

ここで、所有権を持っている者は時間の経過によって値上がり、値下がりした場合には、その所有権者が利益・損失を引き受けます。
そして壷が壊れることは壷が値下がりして0円になることと同じです。
そこで、壷の所有権を持っている者が弁償を受けられない危険性も引き受けるべきと考えられます。

では、契約後、壷の所有権は誰に移っているのでしょう。
ちゃんと条文があります。

(物権の設定及び移転)
第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

「物権」とは所有権だと思ってください。
そうすると、所有権は意思表示によって移転するということになります。
そして意思表示とは約束であり契約の要件でありますから、大雑把に言って契約によって所有権が移転することになります。
ここでは、契約自体は問題なく成立していますから、契約の時点で所有権は移転し、壷の所有権は清水君に移ることになるのです。
よって清水君に弁償を受けられない危険を負わせることも止むを得ないことになります。

つまり、三島さんは清水君に代金を支払えと言うことができるのです。この結論は実はもう説明済みなのです。
もう一度、前回出てきた条文を見てみましょう。

(債権者の危険負担)
第五百三十四条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。

実は、昨日出てきた条文は債権者に限定していませんね。
単に「債務者の責めに帰することができない事由」としか書いていません。
つまり、債務者以外のせいで壷が壊れた場合全般についてこの条文が適用されるのです。
ということは、蒲原達樹のせいで壷が壊され、清水君のせいで無くても三島さんは清水君に代金を支払えと言えるのです。

これも危険負担の債権者主義といいます。
これは確かに清水君にあまりに酷だとは思います。
そして、先ほど申し上げましたとおり清水君に我慢してもらうこともやむを得ません。
みなさんも物を買うときは重々ご注意ください。




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最終更新日  2006年12月06日 22時29分24秒
2006年11月07日
カテゴリ:民法



第3章 契約は問題なく結ばれても・・・

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みなさん、こんにちは。
第2章がどうしても見つからないので、欠番といたします。
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前回は契約が真意によって結ばれない場合についてお話しました。

しかし、契約自体は真意によって結ばれても、契約から履行までに時間的間隔がある契約においては、契約成立後履行までに問題が発生する場合がありえます。

例えば、使用している例において、壷の売買契約自体に問題は無いものの壷を清水君に引き渡す前に壷が壊れてしまったらどうなるのでしょうか。

ここで、三島さんのせいで壷が壊れた場合には三島さんに責任をとってもらうのが良いでしょうし、清水君のせいで壷がこわれた場合は清水君に責任を取ってもらうのがいいですね。
法律上もそのように考えられていますので条文を追って見ましょう。

では、第三者(ここでは蒲原達樹という名前にしておきましょう)のせいで壷が壊れた場合はどうなるのでしょうか。
第三者(蒲原)に責任を取ってもらうのは当然ですが、第三者(蒲原)は犯罪者ですから弁償してもらえるかどうかわかりません。
そのような「弁償してもらえないと言う危険」は三島さんと清水君のどちらに負わせるべきでしょうか。
(このような問題を「危険負担の問題」と言います)
つまり、三島さんは壷の代金を受け取れず、三島さんが蒲原から賠償金を取り立てるべきか、
三島さんは清水君から壷の代金を受け取り、清水君が蒲原から賠償金を取り立てるべきかが
問題となります。


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では、債務者のせいで壷が壊れた場合はどうでしょう。
おや?突然「債務者」と言う言葉ができました。
まずこれについて説明します。
債務者とは契約上何らかの義務を負っている者を言います。
ここでは、三島さんは清水君に壷を渡す義務を負っているので
壷を渡すことについて「債務者」となります。
ちなみに、壷を受け取る側(清水君)のことを
「債権者」と言います。

では、債務者のせいで壷が壊れた場合はどうなるのでしょうか。
条文を見てみましょう。
 
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

債務者の責めに帰すべき事由によってというのは債務者のせいでという意味です。

では、415条の要件をわかりやすく箇条書きにしてみましょう
1、債務の本旨に従った履行が無いこと。
2、履行が無いことにつき債務者に帰責事由があること
(=履行が無いことが債務者のせいであること)
3、債務の不履行が違法であること
(=債務履行しないことにつき正当な理由が無いこと)
ということになります。


つまり、債務者のせいで履行できなくなったら債権者は損害賠償請求できるということなのです。
これを債務不履行による損害賠償請求といいます。
ここでは、三島さんのせいで履行できなくなった場合を想定していますから、清水君が三島さんに
損害賠償請求できるのです。

しかし、清水君は損害賠償を請求するという手間をかけさせられるよりは契約を無かったことにして欲しいと考える場合もあります。
そこで、法律上も無かったことにする手段を用意しています。
それが、「解除」です。

 (履行不能による解除権)
第五百四十三条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の「解除」をすることができる。
 ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

このように、債務者のせいで契約の物が壊された場合、損害賠償と解除ができます。
そして、損害賠償と解除の両方してもかまいません。
なぜなら、無かったことにするだけでは気がすまないという場合もありえるからです。
条文も認めています。

第五百四十五条 
3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。



清水君や他の人によって壷が壊された場合については
また次回にしましょう。



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最終更新日  2006年12月06日 22時26分10秒
2006年11月06日
カテゴリ:民法


第1章 契約前の問題点

皆さんこんにちは、おひさしぶりですね。
前回は、契約のどこかで問題が発生した時に法律が関わってくるということをお話しました。今日は、契約前に問題が発生した場合についてお話します。




第1章では契約前に発生しうる問題点を検討します。
契約前に問題が発生するというのは、契約の構成要素のどこかに既に問題があるということです。
そこで、まず、契約の構成要素を見てみましょう。

学問的には「契約」とは「2つ以上の意思表示の合致により成立する法律行為」をいいます。
といってもよくわかりません。特に「意思表示」とは何でしょう?

ここで、「意思表示」とは「一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に対して表示する行為」といいます。
しかし、これでも良くわかりません。
このように法律用語は学問的に正しい用語を用いるとかえって意味がわからなくなります。
なので、私は学問的には不正確でもわかりやすい表現を目指しますので、どうかご了承ください。


では、結局「意思表示」とは何なのでしょう。上のように難しく考えず「人」が「物」についての要望を表示することと考えて良いでしょう。と言うことは、「契約」は要望と要望が合致することを言うのです。
壷の売買契約とは、壷について「お金に代えたい」と言う要望と「壷が欲しい」という要望が合致するに他なりません。

ということは、契約前に問題があるというのは、契約の構成要素である「人」か「物またはサービス」自体に問題がある場合をさします。

では、次は「人」に問題がある場合を考えて見ましょう。
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まず、「人」に問題がある場合とはどのような場合をいうのでしょうか。
改正後の民法3条を見てみましょう。

第三条 私権の享有は、出生に始まる。

私権の享有とは権利能力者になれることをいい、権利能力者とは権利を得られる人を言います。この条文は、生まれさえすれば権利能力者になれることを示しています。
ここで、壷を得ることも、100万円を得ることも権利ですから生まれさえすれば契約を結べそうな気がします。

でも、もし清水貴君が3歳で、「100万円の壷が欲しい」と言った場合でも契約を成立させていいのでしょうか?
清水貴君3歳は契約の内容を理解していないことは明らかです。
このように契約の内容を良く理解していない者が契約成立させようという発言をしたとしても契約を成立させるわけには行きません。


従って、たとえ権利能力者であっても、契約の内容をよく理解していない者については契約を成立させることはできないのです。
つまり、人に問題がある場合とは、契約の登場人物が契約の内容をよく理解していない場合をいいます。

しかし、「よく理解していない場合」というのは外からは良くわかりません。
外から良くわからない場合、「よく理解していない」本人は契約が成立しなくてもあまり不都合はありませんが、契約の相手方は契約が成立すると思って行動していますから、外から良くわからない事情で契約が成立しなかったら困ってしまいます。
そこで、民法は「よく理解していない」人を類型化して定めています。これを制限能力者といいます。

まずよく知られているのが、未成年者です。

第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。



ここで、法定代理人とは親権者のことだと思ってください。
つまり、20歳未満で親権者の同意がない場合なら契約は取り消しうることになります。
逆にいうと、民法上19歳までは契約を「よく理解していない」とみなされているのです。これには異論もあるでしょうが、どこかで線引きしなくてはなりません。20歳とされているのもやむをえないところでしょう。



では、20歳以上なら皆「契約を理解している」のでしょうか。
否ですね。痴呆の方や精神病の方は契約の内容を理解できるとは思えません。
何か差別的なものを感じるかもしれませんが、それは誤解です。
契約をよく理解できないままに契約を結ばれ、よくわからないままに財産を失うのを防止する必要があるのです。

そこで、民法は「よく理解していない」の程度によって契約を取り消しうる人を類型化しています。

(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(被保佐人及び保佐人)
第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。


(補助開始の審判)

第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。
ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。

 
では、次は「物またはサービス」に問題がある場合について考えて
みましょう。
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はじめに挙げた例で壷が「物」になることは疑いがありませんが、念のため「物」とは何か見てみましょう。
ちゃんと条文がありますので、民法85条を見てみましょう。

(定義)
第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。

有体物とは学問上、「空間の一部を占めて有形的存在を有するもの」と言われていますが、よくわかりませんね。

ちなみに、学問上「物」と言うためには、
1、有体性
2、支配可能性
3、非人格性
4、特定性・単一性・独立性
が要件となっています。

結局形あるものと考えれば十分です。
ですから、およそあらゆるものが「物」なのですから特に問題になることはほとんどありません。

また、サービスについては条文がありませんが、やはりおよそ人が人になすこと全てがサービスとして民法の対象になると考えて良いようです。

今日はここまでです。お疲れ様でした。



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最終更新日  2006年12月06日 22時20分27秒
2006年04月28日
カテゴリ:民法

さて、契約とはどのように流れていくのでしょう。
普通、契約は「成立→履行」でその役目を終わります。
(履行とは、契約の内容が実際に果たされることを言います)
しかし、法律とは普通でない事態が起こった場合に備えて定められているのです。

では普通でない場合はいつ起こりうるのでしょうか。
はじめ契約は「成立→履行」でその役目を終えるといいました。
ということは普通でない場合とは、「成立→履行」のどこかに問題が発生した場合をいうのです。
契約の基礎は成立と履行ですから、問題が発生しうるのは考えられるのは、「成立の前・成立時・成立後履行まで・履行時・履行後」のどこかということになります。
それでは、成立の前・成立時・成立後履行まで・履行時・履行後に分けて法律を考えてみましょう。

明日はこれからの目次をお知らせします。




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最終更新日  2006年04月28日 10時46分26秒
2006年04月27日
カテゴリ:民法


 法律と言うとまず憲法がしょっぱなにきますが、
一番生活に密着している民法を解説させていただきます。

 
では、民法ってなんでしょう?
民法の財産法分野は全724条です。
このうち1条から696条まで契約に関する法です。
ということは大雑把に言って民法は契約に関する法と
言っていいでしょう。

そこで、明日から契約に関する民法を追ってみましょう。



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最終更新日  2006年04月27日 12時15分12秒
2005年10月07日
カテゴリ:民法



民法家族法編

第6章 遺産

3 遺産の計算

仮に、法定相続分で遺産分割をするとしても厄介な問題があります。

たとえば、清水君が甲太君と乙平君の2人を残して
死亡したとします。
そして、遺産は5000万円だとしましょう。
そうすると、法定相続分に従えば兄弟2人は2500万円ずつ取得します。

しかし、甲太君は生前清水君から2000万円の外車を受け取っていたとしましょう。
それを遺産相続に考慮しないというのは乙平君としては不公平感が募ります。そこで、この外車の分を相続財産として計算するのです。これを特別受益分の持戻しといいます。

つまり、この場合は相続財産は5000万+2000万として7000万あるものとして計算します。
ということは、7000万÷2=3500万がそれぞれの相続分となります。
あとは、最終的にそれぞれ3500万分の財産がいくように計算します。
つまり、乙平君に3500万の現金を、甲太君に1500万の現金を渡すのです。甲太君はもともと2000万円の外車があるから結果的には3500万円分の財産がいくことになりますね。


(特別受益者の相続分)
第903条 
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは
養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、
被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を
加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中から
その遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。


逆もあります。
清水君がは生前から要介護状態にあり、甲太君が献身的に介護しており、その介護労働は1000万円と評価できるとしましょう。
そうすると、5000万円を単純に2分割したのでは、今度は甲太君が不公平感を持ちますね。
そこで、相続財産のうち、1000万円は甲太君が作り出したものとして、相続財産から控除して、もともと甲太君のものだとみなします。
これを寄与分といいます。
そうして。残った4000万円を2分割するのです。
つまり、まず甲太君は1000万円を受け取ります。
そのあと、それぞれ4000万÷2=2000万を受け取ります。
最終的には甲太君が3000万を受け取り、乙平君が2000万を受け取ります。
一見甲太君が多く受け取っていますが、もともと1000万円相当の事をしているのですから、この方がむしろ公平なのです。

(寄与分)
第904条の2 
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、
被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持
又は増加について特別の寄与をした者があるときは、
被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から
共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを
相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により
算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。


ちなみに、話を単純にするために単純な数値を用いましたが、実際に事件になるときは1円単位まできっちり計算されます。
ですから、特別受益や寄与分を主張する場合は専門家に相談したほうがいいでしょう。





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最終更新日  2005年10月07日 00時33分31秒
2005年10月05日
カテゴリ:民法



民法家族法応用編

第6章 遺産

2遺産分割

前回、基本的に、遺産の対象となる財産は遺産分割手続を経なければならないと申し上げました。
では、遺産分割はどうやるのでしょうか。

まずは、遺産分割は協議です。とりあえず話合いで決めます。
どうしても決まらなければ裁判所へ持ち込むしかありません。

(遺産の分割の協議又は審判等)
第907条 
1 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、
いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、
又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、
その分割を家庭裁判所に請求することができる。


これは何となく感覚でおわかりいただけるかと思います。

では、どのように分割するのでしょうか。
一番わかりやすいのは、物理的に分割することです。
これを現物分割といいます。
たとえば、清水君が甲太君と乙平君の二人の息子を残して死亡したとします。
このとき、清水君が3000万円の遺産を残していれば、1500万円ずつ分割するのです。
あるいは、500坪の土地を残していれば250坪ずつ分けるのも現物分割です。

現物分割が一番じゃないかと思うかもしれませんが、もし残ったのが家だとすると物理的に分割できません。
そこで、そのまま共有物としておくことも認められます。
これを共有分割といいます。

以上の方法で良いではないかと思うでしょう。
しかし、そううまくはいきません。
物理的に分割できないが、そのままにしておくこともできない場合もあります。兄弟の仲が悪い場合は共有状態をそのままにするという合意はできないでしょう。
そういう場合は、物理的に分割できる状態にするしかありません。
つまり、オークションにかけて売却して現金にしてしまうのです。
これを換価分割といいます。

家事審判法第15条の4 
家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、
相続人に対して、遺産の全部又は一部について競売し、
その他最高裁判所の定めるところにより換価することを命ずることができる。
(競売=オークション)


これでいいじゃないかと思うでしょうが、
清水君が自営業をしていて、甲太君がその後をついでおり、乙平君はサラリーマンとして独立しているとしましょう。
そうすると、家を売るわけにはいきません。
そこで、甲太君には家を渡し、乙平君には甲太君からお金を受け取るという手段を認めています。
これを代償分割といいます。

このようにいろんな分割方法がありますが、両者が納得するなら甲太君が100%の財産を得て、乙平君が取り分0%にするという分割方法とる事ができます。

しかし、これには注意が必要です。
何を言いたいのかといいますと、遺産分割を経て取り分0%にすることと、相続放棄とはまったく違うということです。
ですから、仮に遺産分割で乙平君の取り分を0%にしても、もし清水君に借金があったら、乙平君は借金を相続してしまいます。
取り分はないのに借金を背負うという悲惨なことになります。
相続放棄はちゃんと別の手続を経ないといけません。

ご注意ください。





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最終更新日  2005年10月05日 00時06分32秒

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