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法律なんて怖くない!

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民事執行保全法

2007年11月07日
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カテゴリ:民事執行保全法


第6章 民事執行における不服申立

2続き

前回は不服申立の基本的な部分をお話しました
ちなみに,担保権実行の場合でも類似の制度があります。厳密にはいろんな差や理論上の問題がりますが,まあ,今回はいいでしょう。

(不動産担保権の実行の手続の停止)
第百八十三条  不動産担保権の実行の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一  担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本
二  第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本
三  担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本
四  担保権の登記の抹消に関する登記事項証明書
五  不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本
六  不動産担保権の実行の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本
七  担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本
2  前項第一号から第五号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
3  第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。


また,配当額について異議がある場合も,訴えることが出来ます。
これを,配当に文句をつけると言う意味で,配当異議(の訴え)と言います。

(配当異議の申出)
第八十九条  配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。
2  執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。
(配当異議の訴え等)
第九十条  配当異議の申出をした債権者及び執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。
(以下省略)


以上で,民事執行保全法のお話を終了いたします。
民事執行保全の分野は全体的に迅速性が求められますので,いざという時は大至急弁護士の先生にご相談ください。私も記事のミス・疑問点についてはお答えできますが,実際の事件についてはお答えできませんし,仮にお答えできるとしても,お答えした時には既に財産隠しされているでしょう。

お付き合いくださり、ありがとうございました。


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最終更新日  2007年11月07日 12時33分41秒


2007年11月06日
カテゴリ:民事執行保全法


第6章 1民事執行における不服申立

民事執行も一種の裁判ですから,普通の裁判と同じく,不服申立が出来ます。

まずは,執行抗告・執行異議があります。これらは難しく,読み飛ばしていただいて結構です。

(執行抗告)
第十条  民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
(以下省略)

(執行異議)
第十一条  執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
(以下省略)



次に,請求異議の訴えがあります。民法・民訴を勉強していると,たまに出てきますね。

(請求異議の訴え)
第三十五条  債務名義(第二十二条第二号又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2  確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
3  第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。


例としては,裁判で負けたから観念してお金を支払ったのに強制執行を受けた場合に,請求異議の訴えを提起して強制執行を止めます。
例えば,あなたは清水君にお金を返して欲しいと思って,清水君を訴え,勝訴したとします。つまり,あなたは債務名義を手に入れられるわけです。
そうなると,たとえあなたが裁判後,清水君からお金を返してもらっても,債務名義がある以上,あなたは強制執行できてしまうのです。
これでは清水君はたまったものではありません。そこで,「もう請求される筋合いは無いはずだ」と言う意味で請求異議の訴えを提起する必要があるのです。

次に,何かの間違いで無関係の人の物に強制執行される場合がないとは言えません。そういう場合は,「この物は,強制執行手続からすれば第三者の物だから,手を出すな」と言う意味で,第三者異議の訴えを提起することが出来ます。

(第三者異議の訴え)
第三十八条  強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。


ところで,これらの条文を見るだけでは,訴えただけでは強制執行は止まりませんし,止まるとしたらそれはそれで問題です。
なぜなら,訴えさえすれば強制執行が止まるとすると,強制執行の妨害する目的だけで訴えてくる可能性があるからです。
かといって,絶対止まらないとすると,また問題です。
請求異議の訴え・第三者異議の訴えをしているうちに強制執行手続が進み,強制執行が完成されてしまうからです。
そこで,こんな複雑な問題を処理するために以下の条文があります。

(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十六条  執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。

(第三者異議の訴え)
民事執行法第三十八条  
4  前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。


早い話,一定の条件があれば強制執行が停止するということです。



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最終更新日  2007年11月06日 09時56分02秒
2007年11月05日
カテゴリ:民事執行保全法


第5章 1民事執行法上の保全手続

実は,民事執行法にも保全手続があります。
といっても,民事保全法とは異なり,執行をするために限定された保全手続であって,民事執行法の保全手続さえあれば,民事保全法に基づく保全が不要と言うわけではありませんのでご注意ください。

(売却のための保全処分等)
第五十五条  執行裁判所は、債務者又は不動産の占有者が価格減少行為(不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をいう。以下この項において同じ。)をするときは、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、次に掲げる保全処分又は公示保全処分(執行官に、当該保全処分の内容を、不動産の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により公示させることを内容とする保全処分をいう。以下同じ。)を命ずることができる。ただし、当該価格減少行為による不動産の価格の減少又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。
(以下略)

(占有移転禁止の保全処分等の効力)
第八十三条の二  強制競売の手続において、第五十五条第一項第三号又は第七十七条第一項第三号に掲げる保全処分及び公示保全処分を命ずる決定の執行がされ、かつ、買受人の申立てにより当該決定の被申立人に対して引渡命令が発せられたときは、買受人は、当該引渡命令に基づき、次に掲げる者に対し、不動産の引渡しの強制執行をすることができる。
一  当該決定の執行がされたことを知つて当該不動産を占有した者
二  当該決定の執行後に当該執行がされたことを知らないで当該決定の被申立人の占有を承継した者
2  前項の決定の執行後に同項の不動産を占有した者は、その執行がされたことを知つて占有したものと推定する。
3  第一項の引渡命令について同項の決定の被申立人以外の者に対する執行文が付与されたときは、その者は、執行文の付与に対する異議の申立てにおいて、買受人に対抗することができる権原により不動産を占有していること、又は自己が同項各号のいずれにも該当しないことを理由とすることができる。


イメージ的には,強制執行に入るまでは何の問題もなかったのに,いざ執行しようとしたら,抵抗にあった場合に民事執行法上の保全手続が意味を持ちます。
しかも,誰を相手方にして良いか分からない場合(例えば,占有屋がころころ変わっている場合など)でも,保全できる場合があります。

(相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等)
第五十五条の二  前条第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずる決定については、当該決定の執行前に相手方を特定することを困難とする特別の事情があるときは、執行裁判所は、相手方を特定しないで、これを発することができる。


このように,段々と法律が執行妨害に対抗できるようになってきています。
執行妨害を受けたら,諦めず,弁護士の先生に相談してみてください。



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最終更新日  2007年11月05日 12時40分09秒
2007年11月04日
カテゴリ:民事執行保全法


第4章 民事保全手続

2解放金

不動産について仮差押を受けた人が,裁判で争うことは諦めるが,仮差押をはずしたいと思う場合があります。
例えば,突然,不動産を市価の数倍で買いたいという人が現れた場合です。
この場合,誰も困る人は居ませんから,法律によるまでもありません。
仮処分を受けた人が,買主から代金を受け取って,仮処分をした人にお金を支払って,仮処分を解いてもらえばいいわけです。

では,裁判で争いたいし,仮差押をはずしたい場合はどうでしょうか。
これだけ見ると,わがままを言っているように見えるかも知れませんが,裁判をしていない以上,仮差押を受けた人が正しいかも知れません。
正しいかも知れない人の権利を完全に封じることは出来ないのです。
そこで,差押解放金というお金を積んで差押を解いてもらいます。

(仮差押解放金)
第二十二条  仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
2  前項の金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。

(仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し)
第五十一条  債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。
2  前項の規定による決定は、第四十六条において準用する民事執行法第十二条第二項 の規定にかかわらず、即時にその効力を生ずる。


イメージ的には,前回申し上げた担保の裏返しみたいなものだと思っていただければ良いでしょう。

そんなに自信が有るなら,仮差押のついたままで売って,負けた時に買主に対し責任を取れば良いではないかと思うかもしれません。しかし,仮差押がついているというだけで,買主は嫌がることが多く,値が下がってしまうので,たとえ裁判で勝つ自信があっても仮差押を解いておきたいのです。

ちなみに,仮処分の場合でも仮処分解放金を積めば,仮処分を解ける場合があります。

(仮処分解放金)
第二十五条  裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
2  第二十二条第二項の規定は、前項の金銭の供託について準用する。

(仮処分解放金の供託による仮処分の執行の取消し)
第五十七条  債務者が第二十五条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮処分の執行を取り消さなければならない。
2  第五十一条第二項の規定は、前項の規定による決定について準用する。


そして,もし仮差押などが解かれた場合,積まれた解放金について仮差押がなされることになります。普通,仮差押は将来お金を受け取るために行うのですから,仮差押の対象が不動産からお金に変わっても特に困らないので,これでいいのです。




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最終更新日  2007年11月04日 18時55分36秒
2007年11月03日
カテゴリ:民事執行保全法


第4章 1民事保全手続

1担保

今までは,「民事保全が必要だ」とだけ申し上げてきて,結局どんな手続があるのかを申し上げてきませんでした。そこで,今回から民事保全手続についてお話します。

民事保全は条文だけ見ると,申立さえあれば良いように見えます。

(申立て及び疎明)
第十三条  保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2  保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。


しかし,この「疎明」と言うのが問題です。
疎明というのは「一応確からしい」と言う状況をいい,裁判で勝つための「証明(合理的疑いを差し挟まない程度)」よりも低い程度で足りるとされています。
これは,民事保全には迅速性が要求されるので,証明を求めると,迅速性を阻害するからなのです。
ですが,程度が低くて良いということは,逆に言うと間違いも発生しやすいということです。

そこで,間違いがあった時に被害者に賠償できるように,担保を積む必要があります。

(保全命令の担保)
第十四条  保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる
2  前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第四条第一項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

条文上は「できる」となっていますが,ほとんどの場合,担保提供を求められるそうです。
ですから,たとえ自分が裁判で勝つ自信があっても,とりあえず担保を積まなければならないということです。例えば,あなたが弁護士の先生に仮差押を求めた場合には,直ちにまとまったお金を要求されてびっくりするかも知れませんが,必要なお金なので,落ち着いて先生のご説明を聞いてください。

ちなみに,担保の積み方は民事保全法4条にあります。

(担保の提供)
第四条  この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第百二十九条第一項 に規定する振替社債等を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。


金銭か,有価証券か,金融機関の保証によるのであって,担保と言っても不動産を提供することは出来ません。
そして,積まれた担保は損害があった場合,支払に充てられます。


民事保全法第四条
2  民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第七十七条 、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

(担保物に対する被告の権利)
民事訴訟法第七十七条  被告は、訴訟費用に関し、前条の規定により供託した金銭又は有価証券について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

そして,担保はいつまで積んでおかねばならないかというと,担保は損害が発生した場合に積むのですから,損害が発生しないことがはっきりするときまで積んでおく必要があります。

(担保の取消し)
第七十九条  担保を立てた者が担保の事由が消滅したことを証明したときは、裁判所は、申立てにより、担保の取消しの決定をしなければならない。
(以下省略)



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最終更新日  2007年11月04日 18時56分06秒
2007年11月02日
カテゴリ:民事執行保全法


第3章 執行文等 

3典型的な仮処分

前回の最後に,民事保全法に基づく保全が必要だと申し上げました。
そこで,どんな保全方法があるか,メジャーなものをご説明いたします。

まず,不動産を誰かに譲渡して強制執行を免れると言う,典型的な財産隠しに対応するのが,建物処分禁止仮処分です。

(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行)
第五十五条  建物の収去及びその敷地の明渡しの請求権を保全するため、その建物の処分禁止の仮処分命令が発せられたときは、その仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
2  第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。

(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力)
第六十四条  第五十五条第一項の処分禁止の登記がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その登記がされた後に建物を譲り受けた者に対し、建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行をすることができる。


建物を譲渡するのではなく,建物を占拠してしまうのも,強制執行の妨害になりえます。
占拠者がいると言うだけで,占拠者排除のための手続が必要になりますし,費用もかかるので,売却代金が下がってしまうからです。

そこで,占有移転禁止の仮処分というのがあります。占有とは占拠と同じと考えていただいてかまいません。


(占有移転禁止の仮処分命令の効力)
第六十二条  占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、係争物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。
一  当該占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたことを知って当該係争物を占有した者
二  当該占有移転禁止の仮処分命令の執行後にその執行がされたことを知らないで当該係争物について債務者の占有を承継した者
2  占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。


また,不動産は登記しないと極めて不利になりますので,登記を勝手に移されるだけでも困ります。
そこで,登記請求権保全の処分禁止仮処分があります。

(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)
第五十三条  不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
2  不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。
3  第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前二項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。

(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)
第五十八条  第五十三条第一項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない。
2  前項の場合においては、第五十三条第一項の仮処分の債権者(同条第二項の仮処分の債権者を除く。)は、同条第一項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる。
3  第五十三条第二項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするには、保全仮登記に基づく本登記をする方法による。
4  第五十三条第二項の仮処分の債権者は、前項の規定により登記をする場合において、その仮処分により保全すべき登記請求権に係る権利が不動産の使用又は収益をするものであるときは、不動産の使用若しくは収益をする権利(所有権を除く。)又はその権利を目的とする権利の取得に関する登記で、同条第一項の処分禁止の登記に後れるものを抹消することができる。


典型的なのは以上のものです。
こういう保全手続を駆使しないと,仮に裁判に勝っても目的が達成できないことがあるので,頭の隅にとどめておいてください。


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最終更新日  2007年11月04日 18時56分41秒
2007年11月01日
カテゴリ:民事執行保全法


第3章 執行文等

2執行文の続き

前回は執行文のお話でした。
執行文を付与というのは,裁判所書記官することであって,一種の裁判みたいなものですから,普通の裁判と同じく,不服申立手続が準備されています。
それが執行文付与異議です。

(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十二条  執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。


また,執行文は民事執行法27条1項2項に定められた証明文書を提出する必要がありますが,何らかの理由で提出できない場合があります。そんな場合でも執行文を付与して欲しい場合はありうるので,そんな場合の手続があります。それが執行文付与の訴えです。

(執行文付与の訴え)
第三十三条  第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
(以下省略)



さて,承継執行文の制度が完備されているのなら,民事保全なんて必要は無いではないかとお考えかもしれません。
しかし,前回もちらっと申し上げましたが,承継執行文はあくまで裁判後の問題なのです。
裁判中に他人の物になった場合には,承継執行文を付与してくれません。

では,裁判中に他人の物になった場合にはどうすればいいのでしょうか。
裁判中に他人の物になったことに気づいたら,直ちに,民事訴訟法に基づく訴訟承継をしてその他人相手に債務名義を取得しなければなりません。

(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等)
民事訴訟法第四十九条  訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。
(義務承継人の訴訟引受け)
民事訴訟法第五十条  訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3  第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
民事訴訟法第五十一条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

では,気づかなかった場合はどうなるかと言うと,どうしようもありません。
もう1回はじめから,物を持っている人相手に裁判をしなくてはなりません。

なので,民事保全法で保全手続をする必要があるのです。


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最終更新日  2007年11月04日 09時03分42秒
2007年10月31日
カテゴリ:民事執行保全法


第3章 執行文等

1 執行文

初めの頃に,不動産の強制競売手続には債務名義と執行文が必要と申し上げましたが,債務名義についてのみお話していました。
今回は,執行文についてお話します。

基本的には,債務名義には執行文が付与され,特に難しいことはありません。

(執行文の付与)
第二十六条  執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2  執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。


結局,執行文とは,債務名義の確認みたいなものです。平たい言葉で言うと,「これはちゃんとした債務名義だから,執行していいよ」と確認する文が執行文と言っていいでしょう。

しかし,引換給付判決(=「○○と引換えに、××円を支払え」と言う判決)のように,一定の条件さえ満たせば執行できる場合があります。この場合は,単に債務名義を提出するだけではダメで,条件を満たしたことを立証しないと執行文を付与してくれません。これを条件成就執行文と言います。

第二十七条  請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。


また,原則として債務名義に書かれた人の物でなければ,強制執行出来ません。
あなたが,清水君に裁判して勝訴したからといって,原則として三島さんの物に強制執行できないのはご理解いただけるでしょう。
ですが,民事執行法23条の場合には,強制執行できます。

(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条  執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
一  債務名義に表示された当事者
二  債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
三  前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人)
2  執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
3  第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。


この辺の理論は難しいところですが,大雑把に言うと,裁判後に登場した人や裁判するまでも無い人には強制執行しても良いという考えなのです。
そこで,民事執行法23条に定められている場合に当たると認められる場合には,他人の物になっていても執行文が付与されます。これを承継執行文と言います。

民事執行法27条
2  債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。


今回は法律用語が多く,お疲れになったと思います。
以前の記事をご覧になりつつ,お読みいただければ幸いです。


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最終更新日  2007年10月31日 07時40分59秒
2007年10月30日
カテゴリ:民事執行保全法


第2章 6債権執行

6保全

以上が債権執行です。
債権執行の場合でも,やはり財産隠しはありえます。
別の人に支払ってしまったり,財産隠ししたりすることはあるのです。

ということは,不動産の場合と同じく,民事保全法が必要となります。
では,民事保全法による仮差押をしたらどうなるでしょうか。
もちろん,勝手に取り立ててはいけない,変な人に弁済してはいけないと言う効果はあります。

ただ,一旦仮差押を受けた以上,誰かには支払うことになります。
今までの例で言えば,あなたが,清水君の三島さんに対する800万円に仮差押をかけたら,三島さんはいずれ誰かには800万円を支払うことになるのです。
いずれ誰かに支払うのなら,さっさと支払ったことにしたいはずです。
そこで,仮差押を受けても供託をすることは出来ます。

以上が債権執行における保全手続です。
今日は短いですが、ここで終わりにします。


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最終更新日  2007年10月30日 07時25分37秒
2007年10月29日
カテゴリ:民事執行保全法


第2章 債権執行

5 譲渡命令・売却命令

債権と言うのは,「お金を支払え」と人に請求できる権利と申し上げました。
ですから、厳密にはお金以外でも何かを請求する権利全般を債権と言います。
例えば,ゴルフをさせろと請求する権利,つまりゴルフ会員権も債権なのです。

そして,債権執行は,ゴルフ会員権のような,お金以外を請求する権利についても執行できます。

しかし,ゴルフ会員権を根拠にしても,ゴルフ場がお金を支払ってくれるわけではありませんので,直接取立ては出来ませんし,転付命令も出来ません。(転付命令は理論上出来そうな気がしますが,ゴルフをさせろと請求する権利自体は金銭ではないので,いくらを弁済したことになるか分からず,転付命令に向いていません。)

そこで,ゴルフ会員権を一旦金銭にかえる必要があります。
これを,譲渡命令・売却命令と言います。
あなた自身が買い取ることを譲渡命令,競売にかけることを売却命令と言います。

(譲渡命令等)
第百六十一条  差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
(以下省略


今では,ゴルフ会員権のみならず,知的財産権に対する強制執行として譲渡命令・売却命令が使えるのではないかと期待されているそうです。

(その他の財産権に対する強制執行)
第百六十七条  不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。



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最終更新日  2007年10月29日 07時29分52秒
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