2866249 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2018.08.27
XML
カテゴリ:人生論
~老いらくの恋と笑わば笑えの巻~

  

 あるツアーで1人の女性と知り合いになった。集合場所が同じで、座席も近く。何気なく話したら家も近所で、ご主人を亡くされて久しい由。そこで「友達になってください」と頼んだところ、あっさりとOKしてくれたのにはビックリ。そんな人は今まで1人もいなかった。いや、いないこともなかったが、縁が今一。この歳で「友達」はない。出来れば一緒に暮らしてくれる人を、必死に探しているのだ。

            

 一泊のそのツアーで、彼女と話す機会はほとんどなかった。同行の女友達と常にしゃべり続けていたためだ。それでも私は浮き浮きしていた。そして機会あるごとに彼女の写真を撮った。バスの車窓で、丘の上の柵で、海で乗ったボートで。彼女も私に笑顔を見せ、時々は手を振ってくれた。それだけで私は有頂天。何せ50年ぶりに出来たガールフレンド。ひょっとしてこれは期待出来るかも。

  

 翌日も彼女と話せるチャンスはほとんどなく、別れの時が近づいた。私は自分の名前と住所、電話番号を書いたメモを手渡した。手帳を彼女に差し出すと、素直に書いてくれた。これならお付き合いが出来るかも知れない。喜び勇んだ私は、その夜「作戦会議」を開いた。と言っても、家にいるのは私1人。明日の朝彼女の家を訪れて、あるものを届けると言うのがその実態だ。

             

 翌朝、畑からトマト、ミニトマト、シソの葉を収穫。次に生協で写真を現像し、花を購入。写真は彼女の姿が12枚と私のが2枚。花束は亡きご主人に供えるためだった。彼女の家に電話し、これから伺う旨を伝えたらどこか様子がおかしい。それでも時間を調整して会ってくれることになり、私は喜び勇んで自転車で出かけた。姿を現した彼女に届け物を渡すと、予想外の花束に驚くその人。

  

 「そんなに気を遣わなくて良いのに」。そう言ったものの、そこに本心はなかったようだ。きっと住所を書いた後で、気が変わったのだろう。「娘と相談したら・・」。言葉とは裏腹に、男友達がたくさんいるとも言っていた。きっと手作りのトマトなどよりもっと高額なプレゼントをくれ、一緒に酒を飲んだりカラオケなどへ行く、お金持ちなのだろう。勘の良い私は咄嗟にそう判断した。

             

 その日の私はサンダル履きの半ズボン姿。とても金持ちには見えない。「次はどこへ旅行するの」との質問にも答えず、私はただ「ありがとう」とだけ言い、訪問先を後にした。「ありがとう?」彼女の訝る声が聞こえた。「あの姿だから元気なのかもね」と呟く声も。渡した写真を見て、「自分の顔が好きじゃない」と言っていた彼女。理由は化粧の乗りが悪いからだそうだ。私はそんなことに興味はない。

  

 こうしてガールフレンド候補はあっさり幻と消えた。元々価値観が違っていたのだ。遊び相手が欲しかった彼女に対し、私は真剣に人生の伴侶を求めていた。それも残り少ない人生の。価値観も金銭感覚も違ったはず。美しく着飾った姿を魅力溢れる女性と感じた私。友達になるとあっさり言い、名前や住所も教えてくれて飛び上がるほど嬉しかったが、肝心の人生観がこうも違っていたんじゃねえ。

             

 初体面の女性に声を掛けたのは、ヌサマイさんの左指に指輪を発見したため。「ああ、これではもう無理だな」。私はそれで諦めた。ストーカー行為をする気も、平和な暮しを乱す積りもない。ただ黙って引き下がるのが自分の性分。だが、それではいつまで経っても一人のままではないか。恥をかくのを覚悟で勇気を奮い、お話することから全ては始まるのだが、さてこれからどうする自分。しょんぼり<続く>





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.08.27 00:00:30
コメント(16) | コメントを書く
[人生論] カテゴリの最新記事


PR


© Rakuten Group, Inc.