マックス爺のエッセイ風日記

2019/01/16(水)00:00

やんばる そしてうちなー(2)

心のふるさと「沖縄」(106)

<異国情緒>                平成元年4月1日。私は沖縄勤務を命じられた。3月には内示があったのだが、自分のことよりも子供の学校のことが気がかりだった。高校1年の長女は3月中に沖縄で編入試験を受け、中3の長男は赴任後直ぐに私立高校を受験した。本土なら期日的に無理だったが、奇跡的に受験を許されたのだ。教育上の苦労がこの後も続くが、私の管理職としての苦しみが始まったのもこの時だ。     亜熱帯の沖縄では、見るものすべてが初めて。本土では観葉植物のゴムの木が大木に育ち、幹から気根を垂らしている。ガジュマルは神秘そのもの。幹から空気を吸うための気根(きこん)が垂れ下がり、それが地面に着くと太い支柱根(しちゅうこん)に変化する。台風にも倒れないため、植物が身を護る工夫なのだ。樹高が20mにもなる「ひんぷんガジュマル」(名護市)を知ったのは、ずっと後だった。      職場の植栽用に植えてあったのがサンダンカ(左)。ハイビスカス(右)は沖縄ではとてもポピュラーで、庭や道端や墓地など、いたるところに植えられていた。      バナナやマンゴーなどが植えられた庭も見かける。沖縄に温室は不要だ。         パパイヤ(左)は宿舎の敷地内にもあった。沖縄では果物としてではなく野菜として食べるのが普通。まだ青いうちにもぎ取り、皮を剥き実を刻んで炒める。那覇市内でも、裏通りへ入れば案外見かける。宿舎の近所ではパパイヤも見たし、右上のグァバを植えたお宅もあった。沖縄ではバンシルーと呼ぶが、中国語の蕃爽麗(ばんそうれい)が変化したのだろう。グァバ茶になるようだ。     危険動物についても記しておこう。ハブは猛毒で、もしも噛まれたら30分以内に血清を打たないと死亡する。助かっても筋肉が変形することがあるみたい。夜行性だが、両耳横の赤外線を感じる器官で相手との距離を測り、自分の身長ほどジャンプする。職場でも1人噛まれた。朽木の下に隠れていたのだ。  右はアフリカマイマイ。食料として持ち込まれたのだが危険な寄生虫がおり、触っただけでも髄膜脳炎で死ぬ恐れがある。殻の直径は8cm程度だが、殻の長さは20cmにもなる大型のカタツムリで、どこででも見かける。一晩で50mも移動する不気味な動物だ。           生活に慣れて来るといろんな事物に出会う。これは「ふぃーじゃー」。漢字で書くと樋川。琉球石灰岩に沁み込んだ雨が、石の樋に湧き出す仕掛け。まだ水道がなかったころの生活用水で、飲み水が貴重だった沖縄では聖なる場所でもある。水が湧き出す場所は「かー」。川と同じ発音だが、実際は泉のこと。     これは亀甲墓と言われる風葬墓。琉球王朝時代、中国の福建省周辺の墓制が柵封制度を通じて伝わったもの。昔は住居の近くにあって、子孫を見守る存在でもあった。今でも結構そちこちで見かけるが、那覇の繁華街では整地されて消えた。墓はいろんな形があり、中には親戚一同が埋葬される、倉庫のように巨大な門中(むんちゅう)墓も。こんな異国の風景に驚きながらも、私の心は穏やかではなかった。 <続く>

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