カテゴリ:死
つーちゃんが臓器提供するのは、嫌だ
父は献体の申し込みをしている。 父に献体の話を持ち出されたのは、母が亡くなって間もなくしたころ、 「こんな俺でも、最後に何かの役に立ちたいから」と言われた。 献体については、母が亡くなる以前からずっと考えていたそう。 その時は、父がそうしたいのならと同意し 大学病院に申し込み、同意書に署名した。 あれから、10年、 父に年に一回は聞いてしまう。(献体はいつでも申し込みを取り消せる) 「本当に献体でいいの、解剖されていいの?怖くないの?」としつこく、 そのたびに 「怖くない、死んでいるんだから、もうそれはただの肉の塊、それでいい」 ってきっぱり言われてしまう、 怖いのは父じゃない、わたし。 父が埋葬されず、大学病院の霊安室に横たわり、解剖室に運ばれる姿を想像すると 怖くてしかたない、そして、父に対して残酷なことをしている気持になる。 つーちゃんが、臓器提供に申し込む。 脳死した場合、私は冷静な気持ちで、つーちゃんの臓器が取り出され、運ばれるのを 見送れるのだろうか、 全く自信がない、 泣き叫び、やめて下さい、と言うかもしれない。 つーちゃんの最後の願いを叶えてあげたいと言う気持ちとの板挟みになって 苦しむかもしれない、 私は、母が火葬されるとき、 火葬炉の前で、身内の参列者が沈黙して見送る中、 火葬場の人が「これで最後のお別れになります」 と火葬炉の中に棺を入れ、扉を閉めようとしたときに 「すみません・・ 母は本当に死んでるんでしょうか? 焼いてしまっても大丈夫なのでしょうか?」 と聞いたのだ。 しばらくの沈黙のあと、火葬場の人は 「はい」と静かに言った。 死は死ぬまでは、その人のものなのに 死が訪れたとたん、 死はその人の元を離れ、 死の苦しみは遺族のものとなる、 愛する人の死は、そのまま まっすぐに遺族の人のもとにやってくる。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 18, 2020 05:44:30 PM
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