「朔の隙間」 (7)
帰省(2)「間に合ってよかったわね伸治さん」「そうだね、乗り遅れそうだったからって、お土産を忘れられないしね」「ふふ、伸治さん 今回は買えなくても大丈夫だよ」「えっ、どうして?」「だって今回は一番大切なお土産を持ってるでしょ」「おい、おい 僕はお土産かい?」「ええ、そうよ 世界で一番大切なものよ」「ああぁ、今からこれじゃぁ先が思いやられるね、尻に敷かれそうだなぁ」楽しそうに二人は他愛無い会話をはずませている。そんな彼らの列車は美咲の故郷へとひた走る。「ねぇ、」「なんだい?」「なんでもない、恥ずかしい」「おぃ、美咲 言えよ こいつ」「だめ、いやん」空気が加熱し湯気が立ちそうなくらい熱を帯び始めている。そこだけ次元が切り離され刻む時刻も違っているかのようだ。通しで読む宮崎あおい 篤姫 ソラニン