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カテゴリ:惚れ薬
蝋作りを始めて十年もたった頃、儂は思うた。 悠長なことをしていては埒(ラチ)があかぬ、とな。 雁戸村に出向いておる家中の者や、蝋作りをやっておる村の 者達にも金を払わねばならぬ。 当たり前の事じゃ、奴らも食わねばならぬからのぅ。 ナニ、樋津の蔵には書画骨董がたんとあった。 それを片端から売り飛ばしたのよ。 あとは偽物を代わりに置いておけば良いからのう。 それでずっとしのいでいたわけだが、その頃にはもう、蔵の 中の半分近くが偽物になっておった。 ま、そのような事ばかりしていても先細りになるだけじゃ。 いづれすっからかんになってしまう。 それで、こうなれば白蝋にする晒(サラシ)法の技術を盗む か、買うかするしかない・・・ 黒い蝋では話しにならんからのう。 盗むには知略も時間も要る上に命の危険もつきまとう・・・ ひるがえって、買うのならば要るのは金のみ。 で、売り手を探したということじゃ。 ・・・・・・・惚れ薬(六十四)四日め にほんブログ村 ランキング参加中 応援のクリックは一人一日一回のみ有効です。 このお話し、こちらが第一話めとなっております。 途切れることなく続けてご覧になれます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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