スギナつくし「つくし誰の子、すぎなの子」といいますが、つくしが成長してすぎなに変わるわけではありません。同じ地下茎から出ていても、つくしは胞子をまく繁殖の係、すぎなは栄養をつくって蓄える栄養の係で、親子より兄弟姉妹といったところです。 《薬効》 トクサ科の多年草で、脂肪、たんぱく質、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンA・C、カロチン、けい酸などのほか、特殊栄養成分としてサポニンが含まれ、昔からおもに、つくしは食用、すぎなは薬用に利用されていました。5月~10月に、すぎなを摘んで水洗いし、カラリと日干ししてすぎな茶に。一日に、5~10gを300ccの水で・量まで煎じて飲めば、利尿、解熱、せき止めなどの効果があります。また、ひとつかみほど鍋に入れて沸騰させた湯を、お風呂に加えると、皮膚病によいすぎな風呂に。しかし、つくし、すぎなとも、ビタミンB1分解酵素を含むので、多食は避けたほうが無難。でも、この酵素は干したり十分過熱したりすれば、働かなくなります。 ■ツクシを食べる ツクシは日当たりのよい土手や田畑のあぜ道などに生えるシダ植物のスギナの胞子茎です。節間が短く、茎が太くて充実したものを摘み取ってきます。頭をつけたままハカマを取って、さっとゆで冷水に取ります。こうしてあらかじめ湯に通しておくと、天ぷらにするときの時間短縮にもなるし、食べやすくもなります。ゆでたものを、油炒めや卵とじ、しょうゆ煮、つくだ煮などにします。だし汁、しょうゆ、みりんで煮た後、炊きあがったご飯に混ぜれば〈つくしご飯〉のできあがり。 〈下ごしらえ〉 茎が太めで穂が堅くしまったものを根もとから摘みます。採取してから時間が経つと、どんどん穂が開いてくるので、すぐに下処理開始。 ・はかま取り 片手で茎を持ってゆっくり回しながら、もう一方の指ではかまを横にむしります。はかまを下へ引くと、茎がむけたり折れたりするので注意。 ・あく抜き たっぷりの水に10分ほど浸します。このようにすると、細かいホコリやゴミが落ち、苦みのもととなる胞子やアクが適度に抜けます。 ・ゆでる つくしをざるに上げ、塩(または酢)少々を加えた熱湯に入れ、さっとゆでます。ゆですぎないように手早く引き出します。 ・水にさらす すぐ、たっぷりの冷水にはなします。これでさらにアクが抜けます。天ぷら以外の料理は、これを絞って水気を切ったものを使います。 ・冷凍保存 40~50本に分け、絞って水気を切ります。平たく並べてラップで包むか密閉袋に入れ、採取月日を記入して冷凍庫へ。使うときは自然解凍に。 北海道、本州、四国、九州の山野、湿地に自生。 (←拡大画像はクリックします) 見分け方・特徴 ツクシは早春に芽を出すスギナ(草丈10~25センチ)の胞子茎です。茎は柔らかな円柱状で退化した葉(はかま)が節に付いています。 繁殖のために緑色の胞子を散らしたあとにはすぐに枯れてしまいます。 その後にツクシの脇から緑で細かく枝分かれした、スギナが芽を出して勢い良くはびこります。手がつけられない雑草として嫌われています。 採集と調整 農薬などに汚染されていない、スギナの一番元気に伸びている時期の5~7月に、全草を採取して水洗いして天日で乾燥。これを生薬の問荊(もんけい)といいます。 スギナの粉末は、乾燥したスギナをフライパンで軽く炒ってからミキサーにかけて粉末にします。いつでも携帯して使用できて、そのまま飲用できるメリットがあります。 また、スギナの根も同様な薬効があります、少しナトリウムが多いのですが、1年中採取できます。薄く切って天日で乾燥して用います。1日量5~10グラムが適量です。 薬効・用い方 腎臓炎、利尿などに、問荊(もんけい)1日量を10グラムに水0.5リットルで、約半量まで煎じて3回に分けて服用します。 肺結核、肋膜炎、去淡、膀胱炎などに、問荊(もんけい)5~10グラムを水0.5リットルで煎じて3回に分けて服用します。 漆(うるし)かぶれには、生の全草をすり潰して、その生汁を、かぶれた患部に塗布します。 あせもや化粧品かぶれなどの皮膚炎には、問荊(もんけい)10グラム程度に水0.6リットルを、強火で約5分煮出して、人肌程度に冷まして皮膚に塗布します。 自家製化粧水には、生のスギナか問荊(もんけい)と25度のホワイトリカーを浸して3ヶ月から半年寝かしてから、ガーゼに浸して入浴の後に用います。 生のスギナか問荊(もんけい)を、適量を煮出してから風呂に入れると、入浴剤になります。湿疹、かゆみなどの皮膚病によいとされます。 その他 名前の由来は、草の形が杉(すぎ)に似ているから、杉菜(すぎな)と名がついたという説や、節(ふし)のところで抜いても継ぐことができるから、継ぐ菜(つぐな)から転訛(てんか)して、スギナという名になったという説があります。 また、ツクシは、スギナに付いているということから、付く子から転訛(てんか)して、ツクシと名がついたという説やスギナと同じく節(ふし)から抜いても継ぐことができるので、継ぐ子から、ツクシの名になったという説、土を突くように地表に生えることから、突く子から、ツクシの名になったという説があります。漢字の土筆(つくし)は、地表に生えている様子が筆(ふで)に似ているからついたという。 「ツクシ誰の子、スギナの子」と童謡に歌われていますが、スギナもツクシも同じ根茎から出る多年草です。 ツクシは胞子を作り繁殖する茎(胞子茎)で、スギナは葉の役目で栄養を蓄える栄養茎です。 食用には10センチ程度のツクシを採取して、はかまを取り除いて水洗いしてから、茎だけをゆでて水にさらしてから調理します。 弱い苦味がありますが、煮物、汁の実、酢のもの、ごまあえ、つくだになどに利用できます。 スギナは、ほとんどの民間薬が中国伝来の漢方植物に対して、西洋系でヨーロッパでは古くからスギナが熱をさげたり、ガンを予防することが知られていました。日本で民間療法に用いられたのは、江戸時代でオランダやポルトガルとの交易で、スギナの薬効が日本に伝えられたとされています。 スギナの薬効成分は、サポニン(あわのようなもの)の1種エキセトニンやケイ酸、ベーターシトステロールです。 スギナは、皮膚病にも用います、スギナ風呂は、ウルシかぶれのようなかぶれやかゆみなどの和らげる効果も強く、アトピー性皮膚炎などにも効果があるとされます。 スギナ、トクサの仲間には、ミズドクサ、スギナ、イヌスギナ、ヤチスギナ、イヌドクサなど数種類が、日本に分布しています。 |