まぜごはん　ｐａｒｔ２

　ホームでは毎月お誕生日会をします。

　手作りケーキだったり、時には社長からケーキのプレゼントがあったり・・・。

　先々月も先月も社長からのケーキでした。

　今月。５月１日生まれのおばあちゃんがいます。当日、みんなで『お誕生日、おめでとう!』と声かけだけはしていました。お誕生日会は後日予定していたので。

　職員の間では、今月は柏餅を創ってお誕生日会にしよう!と決めていました。でも、このおばあちゃんのことだからきっとケーキを買ってほしいと言うのはわかっていました。

　おばあちゃんにしてみれば、いつ誕生日会をしてくれるのか、職員の顔色を伺っていたのです。いつまで経っても話が出ないのでやきもきしていたのでしょう。

　きのうのことです。おばあちゃんが近寄ってきて、いつものひそひそ声で言いました。

『私の誕生日会はせんでもええよ。誕生日のことは忘れてちょうだい。社長さんにも何も言わんでええよ』

　心の声を通訳すれば、

『あんたたち！　私の誕生日会はいつしてくれるん？　よもや忘れとりはせんじゃろうなあ？
社長さんにケーキを買ってくれるように言ってちょうだい』

　ナント　アタマノイイ　オバアチャン！

『誕生日会、せんでもええの？　明日することになっとるんじゃけど』

　おばあちゃんの目がきらりと光ります。

『ケーキはいらんの？』

　おばあちゃんがムムムと口ごもります。

『今月は柏餅でお祝いしようと思うとるんよ。ケーキは毎月誰かの誕生日に食べられるけど、柏餅は一年のうち５月しか食べられんよ。そうじゃろう？』

　おばあちゃんはもう一度ムムムと口ごもります。


『柏餅よりケーキがいいならケーキ買ってあげるよ』

『柏餅のほうが・・・ええわ・・・』

　おばあちゃんが頷きました。


　と言うわけで、本日はお誕生日会、柏餅でお祝いします。