車両運搬船の車両火災の原因とキャンピングカー火災との関連は
大型車両運搬船の車両火災の原因はキャンピングカー火災との関連は大型車両運搬船の車両火災が2年で立て続けに発生しています。今年は最近(2023年-7月)の発生です。2022年2月に ヨーロッパでポルシェ・ランボルギーニ・ベントレー等 約4000台が絡む火災。その内200台がEV車。2023年7月30日に オランダ沖にて約3800台、内EV車498台。無事な車も下層部に2000台ほどあるそうですが、取り出す方法が困難な様子です。被害車のブランドは調査中 燃えた車と船体が一体化しているそうで、今後の調査で色々と分かってくるでしょう。リチウムバッテリーは化学反応で熱暴走が起こります。いったん発火すると化学反応で酸素が生み出されるため、消火剤を放射しても消えません。燃え尽きるのを待つしかないそうです。おそらくたったの1台が原因の為に数千台が犠牲になったのでしょう。BMW i8 EV車が発火したのでプールに水を満たし、落として鎮火させたそうです。車両運搬車に積載のEV車から出火。これらのバッテリー搭載車は新車なので、テストを含めてもほとんど新品のバッテリーには間違いないでしょう。リチウムは過充電・過放電に細心の注意をと言っています。それらを内部BMS(バッテリー・マネジメント・システム)が仕事をすることになっていますが、仕事をする前に燃えたようです。各自動車メーカーには電装やバッテリーの専門家がいます。それら専門家が設計ミスで発火する車を製造したとは思えません。いろいろな車種に搭載したバッテリーの中身である、セルと呼ばれる電池に共通性が見出せます。各社の電池はセルがほとんど共通と、糸で繋がっていることになります。世界のほとんどのEV車のリチウムバッテリーには三元系リチウムを採用しています。リン酸鉄リチウムも普及していますが、なぜ三元系に集中するのかの理由は、三元系が飛びぬけて能力が高く、さらに非常に軽量であるからです。重くなると燃費や構成部品の強化に影響します。リン酸鉄は重量が重く、トラックやバスなど大型車両には使えますが、多くのバッテリーを積むと積載重量が減る為、ほどほどの搭載で止めるので航続距離は短くなり、長距離輸送には向かないのです。小型・普通車では航続距離は長く、軽量化も可能なので三元系に頼っている構図なのです。運搬船の会社は、今後はEV車の輸送は行わないと宣言しています。それは消火する方法が無いためだと述べました。ヨーロッパの輸出花笠産業であるEV車が輸出できなくなる心配が無きにしも非ずです。韓国ではEV車は地下駐車場には入れないとのニュースも。ガソリン車・ディーゼル車を禁止してEV車にシフトを進めるヨーロッパの政策が見直されるのではとの憶測も噂されています。今や三元系バッテリーは私達車社会の生活の一部として根付くまでになりました。行く末が心配となります。リン酸鉄も含む熱暴走は、三元系はエネルギー密度が高いために、被害も大きなものになります。実際のバッテリー事故はあまり表に出てこないだけで、リン酸鉄でも破裂した山積みのバッテリーを目撃されているほど破裂事故は頻発してと聞きます。EV車のバッテリー事故が増えつつありますが、何故今まで大きな話題にならなかったのか、それは発生比率が余りに少なかったからではないかと思います。ただ一旦発生すると運搬船なら船丸ごと約4000台の被害になりますから大注目されて当然です。熱暴走の原因はすでに解明されています。一つの条件ではなく、どの様な条件が重なったときに100%熱暴走に至るのかの化学的なメカニズムはまだ解明されていません。研究途中なのです。それらの被害を無くす方法として全個体電池の開発が進められていますがまだ完成には至ってないようです。リチウムバッテリーの充電回数は約2000回と言われています。鉛は300回。0%~100%までの充放電サイクルを1回としてカウントします。リン酸鉄の継ぎ足し充電はカウントされません。キャンピングカーでは新車から使っても2000回の充電はないだろうと言われています。キャンピングカーでリチウムバッテリーを使う場合鉛バッテリーの使用に長けておられる多くのユーザーは、ツインやトリプルでの使用も思い浮かばれるでしょう。限られた設置場所を有効に使うには良い方法です。この場合ではしばらく使うとバッテリーバランスが崩れてきます。過酷な使用なら1年に1度は電圧を均等に保つように調整を勧められます。バランスが崩れたまま使うと、発熱して熱暴走の危険性も考えられます。~~~当社のキャンピングカー火災事故との関連について~~~被害者様はPL保険会社から損害賠償されます。ご安心くださいませ。当社からも直ちに損害賠償の内金として送金させて頂きました。被害者様には大変ご迷惑をお掛けすることになり、深くお詫びを申し上げます。最初に通報が入った時に、どこに火災の原因があるのだろうか、考えても考えられる原因が思い付きませんでした。現場検証後の会談でバッテリーが熱くなっていたとの一言で「異常発熱が原因」と確信致しました。内部BMSが管理する以前の、化学的なスルーが発端となって電気が集中する熱暴走が起きたのでしょう。「ユーザー様には責任はありません」とその場でお伝えして安心して頂きました。PL法の製造物責任のPL保険に加入しておりますので、その保険で損害賠償されます。上記に書きました自動車運搬船で発生した火災事故と同じことが起こっていたのです。周知されているバッテリー火災事故は2022年2月が最初であり、それ程注目はされていませんでしたが、まさしく原因は一致すると思っています。正式な調査はこれからなのでしょう。ツインやトリプルでの使用についても、この火災車両はトリプルでのご使用でした。3日に一度程の充電サイクルだとお聞きしていました。この充電頻度では年に120回、通常5年では600回なので、限界が約2000回までとすると1/3しか使ってないことになります。無理な使用方法ではないことを示しています。ご使用になられて約2年問程ですから、バッテリーバランスが崩れるほど過酷な使用ではないことになります。バッテリー火災で考えられる2つの要因は大分けしますと熱暴走と バッテリーバランス不良による発熱 の2つですバッテリー内部は三元系ではセルと呼ばれる乾電池のような形状で、リン酸鉄は長方形状の単体電池です。リン酸鉄で3.6V,三元系で4.2Vです。リン酸鉄は12V用では4個直列で14.4V、24V用では8個直列で28.8Vです。三元系は12V用では3個直列で12.6V、24V用では7個直列で29.4Vとなっています。企業などで使い方が激しいとバッテリー間に電圧の誤差が生じてきます。ツインやトリプルなど並列・直列使用では電圧の均等化を実施しなければなりません。バッテリー内部のセル間均等化では、抵抗を発熱させて電圧バランスを実行しているBMSもあります。その為にバッテリーのある部分が熱くなるのはバランス調整を行っている証拠です。熱くなっているところに放熱する抵抗があります。熱暴走の発熱とは異なりますのでご注意ください。このバッテリー連結による電圧誤差調整を自動的に行うバッテリーも存在します。非常に特殊な仕様で、それぞれのバッテリーから信号を受け取り、それぞれの健康状態をチェックし、バランス調整 電圧均等化も行います。このシステムを採用するバッテリーを当社のバレンシア580に採用いたします。サブバッテリーリチウム化で一番の注意点は過充電・過放電です。特に過放電はバッテリーに深い傷を負わせます。ちょっと手前が丁度良いのでは。BMSも働いてくれますが、独自の考慮も良い場合があります。当社では電圧制御、電流制御も含めた独自の対策を考案し、必要に応じて採用しています。納車済み車両におきましても、仕様に応じた追加安全対策を進めています。この度の火災事故では色々と勉強できました。これを生かしさらに安全安心なキャンピングカーを制作いたします。今後ともよろしくお願い申し上げます