バリュー投資に騙されるな!

2014/04/07(月)08:52

物差しを片手に、歩いて回った。

物差しを片手に、歩いて回った。驚いた事に、物差しは変幻自在で、延びたり縮んだり歪んだりした。 それだけじゃない。じっとしている事ができないようで、あっちこっち勝手に動き回った。動き回った挙句の果てに、怖い怖いと震え出す始末。 そんな様子を見ていて、この物差しは全く役に立ちそうもないな、と悟った。もう随分昔の事だ。 芯のない鉛筆の方がまだ幾分かましに思えた。そして実際、そうだった。  これはそんな物差しの話。 そう、僕の株式投資の話だ。 退屈だろうが我慢して欲しい。僕だって、眠りそうになるほど退屈なのを我慢して書いているんだ。   僕が大事に持っていたその物差しは、黄ばんでいて、汚らしかった。 下の方に大きく『PBR』と書いてあった。 その物差しは使い勝手が良かったが、測ってみたら汚れてしまうという欠点があった。 別に株なんて汚れても構わないと思っていたけど、気が付いたら淀んでいたのは僕の眼の方だった。という事で、別の物差しに変えた。 僕が大事に持っていたその物差しは、曇っていて、見え難かった。 下の方に大きく『PER』と書いてあった。 その物差しは予想していた通り使い勝手は悪くなかったが、測ってみたら霞んでしまうという欠点があった。 別に株なんて霞んでも構わないと思っていたけど、気が付いたら濁っていたのは僕の眼の方だった。という事で、別の物差しに変えた。 僕が大事に持っていたその物差しは、変形していて、使い難そうだった。 下の方に大きく『ROE』と書いてあった。 その物差しは驚くほど使い勝手が悪く、測る度に曲がってしまうという欠点があった。 別に株なんて曲がっても構わないと思っていたけど、気が付いたら歪んでいたのは僕の眼の方だった。 なるほど、この世は世知辛い。 もうたくさんだ、と釣竿片手に旅に出た。 行き先決めずに悩んだ挙句。山は嫌だと海にした。 変幻自在の尺度をもとに、釣った魚を計りけり。 雷鳴れども落雷は無し。 そうと分かれば、怖くない。 嵐だって、他人事。 藻屑に飲まれる人観て笑い。 暫くしてからまた笑い。いつの間にか日は沈み。月の光も届かない。 助けを呼ぼうと叫んでみても、真っ暗闇に掻き消され。 荒れ狂う波。波。波。手作りボートが波揺られ。酔った挙句に吐く始末。 助けを呼ぼうと叫んでも、真っ暗闇に消えていく。なるほど、この世は世知辛い。 穴開きポッケを弄って、やっと出てきたこの定規。 やっと見つけた宝物。やっと分かった宝物。 念仏唱えて測ってみれば、二束三文、雀の涙。やっぱり山にするべきだった。 神を呪いしこの境遇。幾ら呪えどまだ足りぬ。 悪態吐くども吐き足りぬ。 体の震えが収まる頃に、荒波消え行く地平線。 北へ南へ東へ西へ。見渡す限りに何も無し。 頼れるものは何も無い。何度思った事だろう。定規片手になんのその。また来る嵐は何処からか。 問う相手もいないまま、大海原を突き進む。 進んでいるのかいないのか。定規の他に何もなく。定規が何の役に立つ。 問う相手もいないまま、大海原を突き進む。 進んでいるのかいないのか。定規の他に何望む。何がお前の役に立つ。 問う相手もいないまま、大海原を突き進む。 進んでいるのかいないのか。やっぱり山にするべきだった。 何をするにも相手も居らず。 笑い話はもう沢山と、自ら掲げたこの拳。 責めて誰かの役立てば。気合を込めて振り下ろす。 下ろした先に水はなく、蝋燭ばかりが並んでる。幾ら違うと叫んでみても、訂正される訳でなし。 寝ても覚めても解釈できず。匙を投げたり見えざる手。定規がお前の役に立つ。定規はお前そのものだから。 神に唾棄するその姿、満身創痍の青息吐息。 傍から見ても勝ち目はないが、己が信念曲げられぬ。 ここは愚者の楽園か。はたまた賢者の修行場か。 踊る阿呆に見る阿呆。 寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ここは鉄火場一丁目。 弥が上にも高まる期待に、一念発起の先は闇。 鬼も十八番茶も出花。思いもよらぬ舌先三寸。 寸暇を惜しんで責任転嫁。極悪非道の独壇場。 知らぬが仏と言うなかれ。 せめてこう言え豚に真珠。幾ら定規を眺めてみても、淀み濁って歪んだ眼。 昔は見えた尺度の目盛、確かに見えた尺度の目盛。もう良い、もう良い、もう沢山だ。 下手な考え休むに似たり。 どうせ次々人は来る。僕も昔はその一人。僕が貴方で貴方が僕で。 踊る阿呆に見る阿呆。 寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ここは鉄火場一丁目。 弥が上にも高まる期待に、一念発起の先は闇。 鬼も十八番茶も出花。思いもよらぬ舌先三寸。 寸暇を惜しんで責任転嫁。極悪非道の独壇場。

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