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The world's end -Arim Lab log

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2005.11.29
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カテゴリ:SS用ネタ
望んだのか、望まなかったのか、よくわからないまま世界は音を立てて崩れ、一瞬にして色彩は剥がれ落ちた。
後に残ったのはモノクロの誰もいない世界だった。
行く当てが無いのは定かだったので、少女は途方にくれてしまった。
それでも此処ではないどこかへ行かなくてはという強迫観念から、少女は諦念と共に歩き始めた。
風は汚染物質を運び撒き散らし、建築物の残骸が砂の様にさらさらと崩れていく。
荒んだ大地に散らばる瓦礫を乗り越え、灰色の雨に濡れながら、随分と長い時間彷徨い歩き、辿り着いたのは廃墟。疲れ果てた少女にはまるで、魔法の扉の様に思えた。


「この先にはきっときれいな世界が広がっているんだ。」


これは、夢。
少女はそう信じ込もうとし、夢から覚めるべくして傾いた廃墟の重く冷たい扉に手をかけた。
足を踏み入れる。
刹那、世界は揺らぎ、渦を描いて少女を飲み込んだ。
それは禁断の地への入り口。そこは絶対不可侵領域だった。



体を強かに打った少女が呻きながら顔を上げると、目の前に白い髪と赤い目を持ち、少女の形をした機械がいた。
機械は少女を覗き込みながら、何をするでもなくじっと見詰めているのだった。


「どこへ行けばいいの。」
「…最早、あなたには安息の地など無い。」


無慈悲な声で、機械は機械らしく答えた。
そうして、続ける。

「あなたは虚無と同じものになったのですよ。」



これが、少女の旅の始まりだった。





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最終更新日  2005.11.29 20:53:45
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