妊娠とスポーツ☆妊娠とスポーツ家電製品の普及により家事労働が軽減し、自動車の普及により歩行距離の減少とあいまって妊婦さんも慢性的な運動不足の状態にあると考えられます。 妊娠中でも積極的に身体を動かす方が妊娠経過や分娩に良い影響を与えると思います。 【妊婦スポーツの目的】 ●運動不足を解消し、肥満を予防しましょう ●他の妊婦さんやインストラクターとの楽しい会話で気分転換をはかれます ●お産は、初めてのときは半日かかります。お産に備えて体力を維持し、持久力を獲得しましょう ●定期的に、適度なスポーツで健康を増進し、妊娠期間を楽しく過ごしましょう そして、落込みがちな体力や気力を充実させストレスからの解放と分娩への自信を勝ち取ります ●ついでに不快症状(しびれ、むくみ、腰痛)も軽くなりますよ 妊婦に適した運動:母児が安全であること、 運動効果が得られること継続できること、 楽しいこと 種目:水泳・エアロビクス・ジョギング・サイクリング・ウォーキング・ヨガ 妊婦に適さない運動:激しすぎたり、 人との接触や回転、跳躍を必要とするもの、 勝敗や記録にこだわるものなど 種目:バレーボール・バスケットボール・ラケットボール・山登り・水上スキー・スキューバダイビング 楽日本産婦人科医会 「妊娠中のスポーツ」より 【スポーツの開始と終了の時期 】 妊娠に気付けば一旦スポーツは中止する。 妊娠中のスポーツの開始時期は通常胎盤の完成する15~16週ころ。 終了の時期は妊娠35週くらい。 水泳については出産予定日まで泳いでも妊娠、分娩経過に差異を認めていません 【運動処方】 ●少なくとも週に3回、1回60分以内にすること ●心拍数は毎分140以内とする ●激しい運動は15分以内とし、非妊婦時の 60~70%程度に抑えます ●母体の体温は38度以下に保つ ●妊娠5ヶ月以降は仰臥位での運動は避けます ♪心拍数が140以内とする理由 脈拍数120までは全身の血の巡りが満遍なくよくなります。子宮への血流も保たれるかむしろよくなります。 脈拍数150までだんだんと強度が増すにつれて、内臓や子宮の血流量が減って、筋肉などに重点配置されるようになります。脈拍数150までが安静時と比較して深刻に子宮の血流量が減らないといわれています。 脈拍数150を越えると、子宮の血流量が問題になるくらい減ります。短時間ならいいですが、長時間続けないほうが良いですね。 ♪脈拍数についてもうひとつおまけに良いこと 脈拍数120は、インスリン感受性を改善するための最適強度です。また脂肪燃焼効率も最適な強度です。ストレス無く、全身の網細血管が開き血液循環がよくなる。筋肉の収縮弛緩に伴い、下肢の静脈がポンプのようにしごかれ、下半身のうっ血を取る(この作用を筋肉ポンプといいます)。これらは、妊娠中毒症、糖尿病のリスクを下げます。肥満を予防。不快な浮腫みを取る。爽快な気分転換になる。など多くのメリットがあります。 脈拍数120のときの自覚的強度を覚えておきましょう。おしゃべりしながら続けられるニコニコペースですね。 ♪体温が38度以下とする理由 体温が高くなると子宮平滑筋中のエピネフリンが減少して子宮収縮が増加するという報告があるそうです ♪仰臥位で体操をしない理由 仰臥位では大きくなった子宮が下大静脈を圧迫するので、静脈還流が減少して血圧が下がることがあります:仰臥位低血圧症候群といいます <運動してはいけないとき> 切迫流早産徴候が見られる 胎児切迫仮死の徴候がある 感染症の合併 貧血(Hb 9.0g/dl以下) 前置胎盤など胎盤異常 子宮内胎児発育不全 その他医師の注意による場合 妊娠中毒症の合併 重症高血圧症の合併 甲状腺疾患の合併 多胎妊娠 骨盤位など胎位の異常 羊水過多症・羊水過少症 |