ということで、ヴァージンシネマズ六本木にて、
深夜0時40分から「踊る大捜査線２」を再度観賞。
家族で集まっての６人での観賞だ。

本編前にはしっかりと「解夏」特報の上映もあり、
ほっとひと安心。

その後、ドルビーデジタルのトレーラー
（5.1chサラウンド上映であることのデモンストレーション）、
続いてTHXのトレーラー（ルーカスフィルムの開発した、
映画のミキシングルームの音響をそのまま再現するシステム）が上映され、
いよいよ気分を盛り上げてくれる。

そして本編の上映がスタート。
2時間18分、笑って、手に汗握って、じわっと涙させて･･･
この夏休み映画の中にあって、こうした娯楽的要素の
すべてのバランスがいちばんとれている作品といっていい。

テレビシリーズ、テレビの特番、映画版などなど、
これまでの「踊る」作品との巧妙なリンク（200もあるらしい）は、
ファンにとってはあれこれ探すだけでも楽しいだろう･･･
制作者サイドが声高にアピールするのは、商売っ気がミエミエだけど。

ただ、こうしたファンサービスが充実している分、
余計な要素が多い映画にもなってしまっている点は否めない。
それでも、物語自体が散漫になっているわけでもなく、
ギリギリのところで踏みとどまっているのは見事である。

本広監督の作品の傾向を見ると「やりすぎ」が常につきまとう。
まだまだ感覚がテレビドラマという
“45分”の枠の中で起承転結を見せるリズムなんだろう。

「踊る１」のラスト近く、青島が重傷を負って以降の展開。
「スペース･トラベラーズ」は、笑いの部分の軽妙さと、
泣かせの部分のクドさがアンバランスで、ちょっといびつな印象。
「サトラレ」も同様で、「さぁ泣け！」という押しの強い演出で、
いい気分が台無しになってしまったりもして。

その意味では「踊る２」は出来がイイ。
ここぞ！というシーンになると、まだクドさは抜けないのだが･･･
いや、テレビというわかりやすいエンタテインメントに慣れた我々のために、
登場人物の感情表現をわかりやすく見せてくれているだけなのだろうけど･･･
それでも、2時間18分、最初から最後まであっという間に見せてしまい、
単純に“面白かったー！！”と言わせてしまうは、大したものだと思う。

本作で「踊る」に初めて触れた人でも、
しっかりと各登場人物が描かれているから、
きっと混乱してしまうことはないだろう。
それどころか、過去のシリーズを見たくなってしまうかもしれないし、
その後に「２」をもう一度見たくなるかもしれない。

「COSMIC RESCUE」の佐藤信介監督のこんなコメントを、
僕はメイキングDVDに収録している。

「あー、映画が終わっちゃう。もうこの人たちに会えないのかなあ？
　もう一度、この人たちに会えたらうれしいなあって、
　キャラクターたちに対して思ってもらえたらうれしいんですよね」

このコメントが、「踊る２」には見事に当てはまる。
他の誰でもない、役者たち自身が各自の役を再度演じることを、
心から楽しんでいることが画面全体から伝わってくるのだ。
だからこそ、観客である僕らも、ついついノってしまうんだろうな。

ともあれ、現状の邦画界が達成しうる最良の商業映画に仕上がった本作。
ビデオだとシネスコ画像の迫力が体感できないから、
これはぜひ劇場で踊らされるべし。