口福的アジアンデザート紀行

お題:So Sweet Sweet Days in Asia!!(*^-^*)

           coffee

アジアンデザートに目覚めたのは、初めてタイ・プーケットに行
った時だった。初めての海外旅行先は香港だったので、そこで
アジアのデザートって好きかも。。と思ったが、それはレストラ
や飲茶屋で食べる「スイーツ」で、現地の人が普段食べる「おや
つ」とはちょっと違う気がする。タイで目覚めてしまったのは、
「おやつ」としてのアジアンデザート類だ。

1日だけ観光が付いているツアーっていうのに参加すると、大概
買い物に連れていかれる。高いものが置いてある、大して買いた
い物がない巨大なお店に連れていかれ、出入口にカギをかけられ
半監禁状態で店員に付きまとわれる羽目になる。しかし、これが
ついているかいないかでツアー料金が変わってくる。全フリーの
ツアーより半日でも観光が付いてる方が割安で、そういうツアー
を選ぶとこの「次は買い物です~」攻撃は覚悟しないといけない。

で、はじめてプーケット島に行った時、夜にバンコクに着いて
次の日半日市内観光してプーケットに行く、というツアーにした。
そして物凄く高くてぎらぎらっと大きな宝石ばかり置いてある
宝石屋に連れていかれた。その時一緒のツアーで旅していたのが
関東某県某市のキャバレーの経営者&おねぇちゃん計4名、と
いう人達だった。金の太い鎖を頚やら腕やらにこれ見よがしに
付けて金ぴかのロレックスを着け、目一杯派手派手はシャツを着
た、お約束のような格好の経営者さん(でもこの人はこの一行の
中で唯一社交性があった。流石。。かな?)&まともな日本語が
喋れないらしい(お互いの会話を聞いてても訳わかんない。でも
ちゃんと日本人。。)どこからどう見てもお水ファッションに身
を包んだおねぇちゃん達は、宝石よりも輝いた目で品物を物色し
始めた。

しかし。。私&友人は汚いTシャツにジーパン、所持金少し、の
いつもの旅行の標準装備。。浮きまくってとりあえず店内一周
すごい勢いで回り、総ガラス張りの出入口の前にぺたんと座りこ
んでいた。なかなか時間が過ぎず、しかも他の一行様が戻ってこ
ないので痺れを切らし、ガードマンを威嚇して(笑)外に出しても
らう。高い壁には囲まれているが、門は常時開いているようなの
で、とことこ門の外へ。そこで天秤棒を下ろしておやつを売って
いるおばちゃんを発見したのだ。大きな笊の上には3cm角くらい
の青い葉っぱに包まれたお菓子らしきものと、見た目はすあまみ
たいな鮮やかな色のお菓子が並んでいた。これ何だろう??

もちろん言葉は全くわからない。しかもタイなので、文字も数字
も全く分からないので筆談も不可能。でも「どうしても食べたい
んじゃ~!!」というオーラを発しまくり、数分の交渉の後、5個
一セットだったらしい葉っぱに包まれたお菓子を2個だけげっと。
値段は高いのか安いのか全然分からなかったけど、おばちゃんの
にこにこ顔に気をよくして、戦利品片手にお店の入り口前に座り
こんでそれを食べた。
葉っぱの中には白いもちもちした、ういろうみたいなものが入っ
ていた。食べると中には黒砂糖で煮たココナッツフレークが一杯
入っていて。。うまうま~~(*^-^*)
始めは「それ食べるの?」と呆れ顔で横目で見ていたガードマン
さんも私達のうまうま顔を見て「おいしい?」と英語で話しかけ
てきた。うんうん!と言葉じゃなくて頷いて返事。お互い笑顔。
大袈裟じゃなく、その素朴で力強い、いかにも現地の人が食べて
るおやつです!という感じの味には感動した。もう一回買いに行
こう、としたが時間切れ。ああ。。あの時5個買っておけば良か
った!と思ったが、後の祭り。。これでアジアンデザートに開眼
してしまった。(キャバレーねぇちゃんには信じられないって顔
をされたけどね。)

それからは旅先では必ず屋台や行商の人を見ると追いかけてしま
うクセがついてしまったのだ(^-^;

「ブラック・ライス・プディング」も初めて食べたのはバリ島の道
端だった。自転車の後ろにこれが入った箱(中に鍋?みたいなもの
が入っている)を乗せた屋台で、おじさんがよく売り歩いている。
「Bubur Injin」と書いてあればこのブラック・ライス・プディン
グの屋台。「ブブル~♪」と独特の呼び声とハンドベルを鳴らし
ながらウブドのチャンプアン通りの凄い傾斜の坂道を軽々と登っ
て行くおじさんを追いかけて、ぜ~ぜ~言いながら買ったそれは
めちゃめちゃ美味しかった。レストランのデザートメニューにも
あるけど、現地の人が食べているブブル・インジンはそんなに甘
くない。朝食代わりにする、というだけあって、ほんの~り甘い
かな~?程度の甘さしかない。でもこっちの方が私は好き。
(余談だが、その時ピタ・マハに泊まっていた私達は、延々とその
道を登ってホテルまで帰る羽目になる。とにかく凄い傾斜の坂で
とても暑く、車がいっぱい通るので排気ガスで真っ黒に。。涙。 
今は人気レストラン「インドゥス」とかも出来て開けてきたが、
当時はピタ・マハが出来てすぐくらいだったのでお店もほとんど
なく、ホテルに電話をかけたくても公衆電話さえなかった。。
教訓、インドゥスやピタ・マハ、ましてやネカ美術館には歩いて
行こうと思わないこと!。。普通、歩こうとは思わないか。。)

香港でも、街角で「蛋撻」を買って食べる。これは日本ではカス
タードタルトの名前で一時流行ったもので、元々はポルトガルの
お菓子だ。日本では鳥の玉子を使って作るのできれいな黄色の
カスタードがタルトに詰まっているが、香港ではアヒルの玉子を
使うのでもっとオレンジがかった色合いで味の濃いカスタードが
詰まっている。はっきりいって美味しさも味わいの濃さも全然
違うもので、横浜中華街でこれを買って食べた時は「あ~これ
はほとんど違う食べ物だ~」と思ってしまうほどだった。それは
それで美味しかったけど、違う。

まだ香港の空港が移転する前、昔の空港から歩いてすぐの所に
九龍要塞の後に出来た九龍城の街があった。ごちゃごちゃとした
いかにも中国の下町っぽい街並みのここには、安くて美味しい
ものが食べられるお店がいっぱいあって、空港関係者などもよく
食べにきているようだった。
前はよく帰りの便のチェック・インを早めに済ませて、ここに
香港最後の食事を楽しみに行っていた。各種中国料理の専門店に
お粥屋・麺屋、スイーツ専門店に中国式ベーカリー。いろいろな
お店が並んでいて、メニューはもちろん、お店の人も広東語以外
は分からないってお店も多かった。混んでそうなお店を探しては
突入し、手振り身振りで注文。それでもリーズナブルでかなり
美味しいものにありつけた。

ある時友人が、街角の小さな中国式ベーカリーで焼きたての蛋撻
を「お土産にしたい」といい出した。まず一個づつ買って味見。
うま~(*^-^*) で、彼女は「8個!お土産で!」とジェスチャー
でお願いした。愛想のいいお店のおばちゃんはにこにこして直径
6~7cmもある蛋撻をぽんぽんっ!と紙の箱に入れて包装し、紐
をかけた。かくして出来上がったそれは、まんま「酔っ払いのお
土産」!!(マンガとかで良く酔っ払ったおとうさんがお土産して
くる、箱に紐をかけてぶら下げられるようにした寿司折とか。。
イメージ湧くかな?)友人と私は顔を見合わせて「これ持って
成田帰るの~??」と爆笑(^O^) 結局、それを機内に持ち込み、
ぶらさげて日本に帰還。検疫でも呼び止められもせずスル~パス。
税関の係官も笑って通してくれた。
あの頃は平和だったのだ。。(^-^;
そうして持ち帰った蛋撻はご家族の皆さんにも好評だったそうだ。
で、「また行ったら買ってきてね!」と言われたそうだが、きっと
そうそう毎回見逃してはもらえない気がしないでもない(笑)

暑いから甘い物が欲しくなる。けどあまり甘すぎると後味がすっき
りしない。だから素朴なおやつの味が身体に馴染む。ここに挙げた
のなんてほんの一部。まだまだ奥は深いのだ。
レストランのデザートとは全く違うアジアンデザートに是非トライ!
ハマる人はハマっちゃうよ(^_-)-☆


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