テーマ:お勧めの本(7262)
カテゴリ:本読み
賽の目次第に身罷りますのも、また乙なもんでござんす。上は吉原涙橋、本所駒形向島 までの百余町、盆の内外、決してぬかりゃござんせん。桜の一門打ち揃いやして、これよ りお送りいたしやんす。いやさ八代目、とくお立ちなせえ。
浅田次郎の「プリズンホテル」の二作目。 前作の感動覚めやらぬうちに次を、と「秋」を読んだ訳なんだが。 ・・・・・・ちくしょう、泣けるぜ。 何だよ、前よりも感動してしまったよ。 冒頭の口上は、亡くなった八代目関東桜会総長の相良直吉を送り出したときの台詞。 ここからして既に鳥肌が止まらなかったなぁ。 極道物ってことで、少し敬遠してたのが馬鹿みたいだ。 勿論、ホテルのオーナーが木戸仲蔵親分だという時点で、カタギから外れてると言えばそうなんだけどさ。 それだけじゃないのが、この「プリズンホテル」っていう作品。 この荒れた世の中、何も抱えないで生きてく方が難しい訳で・・・・・・ そういうそれぞれの事情のあるお客様(極道カタギに関わらず。)が、人生を見つめ直し やり直すお手伝いを誠意をもって請け負ってくれる、頼もしいホテルの面々(笑) コメディに人情、社会派。 台詞のひとつひとつが胸にきて、しょうがない。 軽いようでいて、ブレがない真っ直ぐなストーリーに、久しぶりに泣かされた。
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最終更新日
2010年09月26日 17時37分56秒
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