2007/07/19(木)16:24
壬生忠岑 暮るるかとみれば
壬生忠岑(みぶのただみね)
暮るるかとみればあけぬる夏の夜をあかずとや鳴く山郭公ほととぎす
古今和歌集 157
日が暮れるかとみればもう明けてしまう夏の夜を、飽き足りないと鳴くのだろうか、山のホトトギス。
註
「暮るる」は古語の動詞「暮(く)る」(現代語「暮れる」)の連用形。
「溢(あふ)る・溢るる」などと同様。
「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形。「・・・てしまう」の意味。
詠嘆のニュアンスを持つことも多い。
「風と共に去りぬ」は「風と共に去ってしまった」の意。
字数の限られた和歌・短歌表現においては、非常に便利な言葉ともいえる。
「郭公」と書いてあっても「カッコウ」ではなく、不如帰(ほととぎす)のこと。
ホトトギスが夜鳴くのかどうか知らないが、そういう前提で詠んでいる。
「明けぬる」と「飽かず」が、品のいい言葉遊びになっている。