2010/12/24(金)12:32
正岡子規 いましめの司等門の雪はけといふ
正岡子規(まさおか・しき) 旋頭歌せどうか
いましめの司等つかさら門かどの雪はけといふ
雪はけど女力をみなぢからの掃はきがてぬかも
明治33年(1900)作
歌集「竹乃里歌」(明治37年・1904)
警邏の巡査が門の前の雪を掃けと命令する。
雪は掃いても、か弱い女の力では掃ききれないよなあ。
註
明治時代の警官は、薩長の士族などが多く、威張っていたのだろう。いささかの怒り、嘆きと理不尽への筆誅めいた諷詠の趣もある異色作。
いましめの司等つかさら:おそらく、「警察官」や「巡査」という言葉を、子規がやまとことばに直したもの。子規の言葉に対する美意識とともに、言葉遊びの感覚も感じられる。
女をみな:根岸の自宅(現「子規庵」)で晩年の子規を看病していた妹・律(りつ)。
旋頭歌については、こちらを参照。