2021/09/23(木)06:15
法然 月かげのいたらぬ里はなけれども眺むる人の心にぞすむ
法然(ほうねん)
月かげのいたらぬ里はなけれども
眺むる人の心にぞすむ
浄土宗宗歌
月光が届かない里はないけれども
まことの光はしみじみと見つめる人の心にこそ澄みわたっている。
〔尊い阿弥陀如来の慈悲は
全ての人に平等に注がれているけれども
それを虚心に受け入れて
見つめる人の心にこそ住んでおられるのだ。〕
註
浄土宗宗祖・法然上人の一首。道歌(どうか、思想・宗教観念などを表現した和歌)の類いだが、一個の作品として見ても、象徴主義的な隠喩を用いた秀歌であると思う。
眺む(る):じっと見つめて物思いに耽ること。現代語「眺める」の語源だが、ニュアンスは異なる。
「すむ」は「澄む」かと思うが、「住む」が掛けてあるとも思われる。
■ 浄土宗ウェブサイト
■ 木版画「法然上人 月かげ」