2021/12/21(火)06:30
藤原顕輔 さらぬだに寝覚めがちなる冬の夜を楢の枯葉にあられ降るなり
藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)
さらぬだに寝覚めがちなる冬の夜を
楢ならの枯葉にあられ降るなり
続後撰しょくごせん和歌集
ただでさえ目覚めがちな冬の寒い夜なのに
降り積もったナラの枯葉に、あられがけたたましく降っている
(ので、うるさくてますます眠れないなあ)。
註
王朝和歌としては珍しく諧謔味・ユーモアを感じさせる佳品。
昔の日本の木造家屋は(おそらく作者のような貴族の邸宅であっても)、すきま風は吹き込み、寝具・暖房も未発達で、京都盆地の都の冬はことのほか厳しかったろう。
さらぬだに:そうでなくてさえ。「さ」(そう)+「あらぬ」(・・・でなく)+「だに」(さえ)。
(冬の夜)を:さらに、その上。助詞「を」が、不満・被害意識などのニュアンスを示す。ものを(・・・なのに)。