2023/01/07(土)08:00
春の七草の歌 芹なづなごぎやうはこべら仏の座すずなすずしろこれぞ七種
よみ人知らず
芹せり 薺なづな 御形ごぎやう 繁縷はこべら 仏の座
菘すずな 清白すずしろ これぞ七種ななくさ
註
南北朝時代の1360年代に、学者・歌人の四辻義成によって著された『河海抄』という源氏物語の注釈書・随筆が初出とされる。
秋の七種の方は古代の万葉集に見え、歌人・山上憶良というれっきとした作者がいるが、こちらは当時の俗謡か。四辻義成その人の作との説もあるが、不詳。
いずれにしても、野趣溢れ人口に膾炙した、なかなかの秀歌と言えよう。
芹せり:セリ科。
薺なづな:アブラナ科。通称ぺんぺん草。生長すると花茎の塔(とう、あららぎ)が立ち、三味線の撥(ばち)のような果実を付ける。晩冬から早春の若葉(ロゼット)を食べる。
御形ごぎやう:「おぎょう」ともいう。母子草(ハハコグサ)。キク科。
繁縷はこべら:ハコベ。ナデシコ科。
仏の座:コオニタビラコ(小鬼田平子)。キク科。現在の和名でいうホトケノザとは別種。
菘すずな:蕪(かぶら、かぶ)。アブラナ科。語源は、丸い形を鈴に見立てたか。ちなみに、「おちんちん」の語源も、睾丸をちんちん鳴る鈴に見立てたものである。
清白すずしろ:大根(アブラナ科)の美称。「蘿蔔」とも書く。