うたのおけいこ 短歌の領分

2023/01/07(土)08:00

春の七草の歌  芹なづなごぎやうはこべら仏の座すずなすずしろこれぞ七種

その他の和歌(227)

よみ人知らず 芹せり 薺なづな 御形ごぎやう 繁縷はこべら 仏の座         菘すずな 清白すずしろ これぞ七種ななくさ 註 南北朝時代の1360年代に、学者・歌人の四辻義成によって著された『河海抄』という源氏物語の注釈書・随筆が初出とされる。 秋の七種の方は古代の万葉集に見え、歌人・山上憶良というれっきとした作者がいるが、こちらは当時の俗謡か。四辻義成その人の作との説もあるが、不詳。 いずれにしても、野趣溢れ人口に膾炙した、なかなかの秀歌と言えよう。 芹せり:セリ科。 薺なづな:アブラナ科。通称ぺんぺん草。生長すると花茎の塔(とう、あららぎ)が立ち、三味線の撥(ばち)のような果実を付ける。晩冬から早春の若葉(ロゼット)を食べる。 御形ごぎやう:「おぎょう」ともいう。母子草(ハハコグサ)。キク科。 繁縷はこべら:ハコベ。ナデシコ科。 仏の座:コオニタビラコ(小鬼田平子)。キク科。現在の和名でいうホトケノザとは別種。 菘すずな:蕪(かぶら、かぶ)。アブラナ科。語源は、丸い形を鈴に見立てたか。ちなみに、「おちんちん」の語源も、睾丸をちんちん鳴る鈴に見立てたものである。 清白すずしろ:大根(アブラナ科)の美称。「蘿蔔」とも書く。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る